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そんな私達のことを鎌田さんは交互に見てきて、驚いた顔になった。



「2人、もしかして知り合いなの?」



「はい。」



先に返事をしたのはマナリー。
知らないフリはもう出来ないと私も思った時だったので、それには私も続き鎌田さんに伝える。



「マナリーは高校からの私の“友達“です。」



友達1人作るのにもお兄ちゃんからも審査があるのを知っている鎌田さんは、やっぱり苦笑いで頷いた。



「”マナリー“・・・だね。
真中理衣(まなかりい)、確かにマナリーだね。
青からそのアダ名は昔から聞いてたよ。
早く教えてよ、真中。
望ちゃんの”友達“ならもっと優遇したのに。」



「レズが原因で問題を起こしてしまう私のことを雇ってくれただけで本当に有り難かったので、青さんにお願いをしてそれについては辞退をしました。」



「うん、そっか・・・、うん、望ちゃんの”友達“も良い子だね。」



そう答えた鎌田さんのことをマナリーと一緒に見上げる。



「鎌田さんにとって私は”可哀想“に見えるかもしれませんけど、私は”可哀想“ではありません。
私は全然”可哀想“なんかじゃない。」



苦しいことや悲しいこと、虚しいことだって沢山ある。
でも、私は小関の”家“の人達のことを愛していて、そんな小関の”家“の人達のことを支える秘書の”家“に生まれたことは”可哀想“なんかではない。



絶対に、”可哀想“なんかではない。



「私だって全然”可哀想“じゃない。
”普通“の恋愛が出来なくても全然”可哀想“じゃないもん。」



「それは真中、アレだろ?
あんなに良い男が傍にいてくれるからだろ?
それは真中は可哀想ではないよ。」



田代君が手土産でも持ってまたマナリーが働くお店に来たのだと分かり、それには自然と笑ってしまった。
私の”友達“でもある田代君の姿を思い浮かべ、思い浮かべるだけでクスッと笑えて、入りすぎていた力が抜けてくるのを感じる。



「愛姉さんと子どもの傍に店長がいたら、愛姉さんも子どももきっと”可哀想“にならないから大丈夫ですって!!」



「いや・・・、だから何でそこに俺が出てくるの?」



「鎌田さんってヤリ◯ンだからな、誰かのことを愛し抜くこととか出来ないか~。
”何か“がある子どもを産んだ愛姉さんのことも、”何か“があった子どものことを愛し抜くことも、それは出来ないか~。」



もう、鎌田さんのことを殺さずにこのままいこうと思う。



だって、あんなに苦しそうであんなに泣きそうな鎌田さんの姿なんて見ていられなかった。



このまま生きて、このまま進めば良いと思ってしまった。



鎌田さんがムキになっている顔で反論しようとしている顔を見て手応えを感じるけれど・・・。



でも、鎌田さんは口をキツく結んだまま開かない。



その口が全然開かない。



”あ、失敗した・・・。“



”やっぱり、殺さないといけなかった・・・?“



”青さんのバカ・・・!!!!
私の上司としてここでの指示を何も出してくれないとか、そんなの”ダメ秘書“の私には無理だったって・・・!!!!!“



自分のミスを心の中で青さんのせいにした。



そしたら・・・














「私はみっちゃんのことを男の人として好きなわけではないから、私はみっちゃんとは結婚したくないよ?
みっちゃんは従弟だもん、そんな気持ちになるわけがないし、結婚なんてするわけないよ。」



まさかの愛姉さんが、鎌田さんのことを殺しにかかってきた。
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