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それから段ボールだらけの部屋の中にある1つだけの家具、ベッドの掛け布団に顔までくるまった。
そしたら段々と布団の中が青さんの家にあったシャンプーとトリートメント、ボディーソープや洗顔料の匂いで満たされていくような気がしてきた。
それに少しだけ安心出来た。
それに少しだけ気持ちが浮上した。
さっきの“日記”を打ち込んだことによりまたドン底まで沈んでいた気持ちが。
片手でゴシゴシと頬を擦った。
さっきお風呂で何度も何度もゴシゴシと擦ったけれど、もっともっとゴシゴシと擦った。
でもまだあの感覚が残っていて。
その怖さも気持ち悪さも消えていくことがなくて・・・。
苦しくて苦しくて、悲しくて、虚しくて、どうしてもそうなって・・・。
「一平さん・・・。」
愛している人の名前を、絶対に私に何も渡してはくれない人の名前を呼び・・・
「青さん・・・。」
青さんの名前を呼んだ。
速攻で、ダッシュで帰って来てくれると言っていたのに、なかなか帰ってくることはない青さんの名前を。
「苦しいよぉ・・・。」
頬をゴシゴシと擦る。
いっぱい・・・いっぱいいっぱい擦る。
“ごめん・・・っっ!!
ごめん・・・・本当ごめんね!!!”
マナリーに助けて貰った私に三山社長は誠心誠意謝っていた。
悪い人には見えなかった。
私にあんなことをしたけど、私には悪い人には見えなくて・・・。
「私が小関の“家”のモノだって三山社長は知らないからね・・・。
他の人の物は取ったらダメなんだよ・・・。
そんなの幼稚園児だって知ってること・・・。」
三山社長の不倫相手はどんな女の人なのか。
そのことも考えながら頬を擦り続ける。
「時間が経てばどうにかなるかな・・・。」
この怖さもこの気持ち悪さも、この苦しみや悲しみや虚しさも、時間が経てばどうにかなるのだと信じるしかない。
そんな希望を持って生きるしか今はない。
「世界を吹き飛ばしてはダメ・・・。」
自分で自分に言い聞かせる。
「でも、やっぱり怖いです・・・やっぱり気持ち悪い・・・。」
痛くなってきた頬をこれ以上擦ることが出来ずに手を止めた。
「ぅぅぅ────────────っっっ」
そしたら涙が流れてきて、また泣いた。
そして泣きながら身体を丸めた時、私の胸の間にある一平さんの第2ボタンが胸の谷間をスッ─────...と流れた。
それに気付き・・・
私は自然とネックレスを首から外し、一平さんの第2ボタンを眺めた。
“一平の、奪い取ってきてやった!!”
“あの時”の出来事を思い出し、一平さんの第2ボタンで私の頬を優しく撫でた。
そしたら・・・
そしたら、さっきよりも怖さがなくなって。
さっきよりも気持ち良さは引いていき・・・。
私は必死に一平さんの第2ボタンで頬を撫で続けた。
そしたら段々と布団の中が青さんの家にあったシャンプーとトリートメント、ボディーソープや洗顔料の匂いで満たされていくような気がしてきた。
それに少しだけ安心出来た。
それに少しだけ気持ちが浮上した。
さっきの“日記”を打ち込んだことによりまたドン底まで沈んでいた気持ちが。
片手でゴシゴシと頬を擦った。
さっきお風呂で何度も何度もゴシゴシと擦ったけれど、もっともっとゴシゴシと擦った。
でもまだあの感覚が残っていて。
その怖さも気持ち悪さも消えていくことがなくて・・・。
苦しくて苦しくて、悲しくて、虚しくて、どうしてもそうなって・・・。
「一平さん・・・。」
愛している人の名前を、絶対に私に何も渡してはくれない人の名前を呼び・・・
「青さん・・・。」
青さんの名前を呼んだ。
速攻で、ダッシュで帰って来てくれると言っていたのに、なかなか帰ってくることはない青さんの名前を。
「苦しいよぉ・・・。」
頬をゴシゴシと擦る。
いっぱい・・・いっぱいいっぱい擦る。
“ごめん・・・っっ!!
ごめん・・・・本当ごめんね!!!”
マナリーに助けて貰った私に三山社長は誠心誠意謝っていた。
悪い人には見えなかった。
私にあんなことをしたけど、私には悪い人には見えなくて・・・。
「私が小関の“家”のモノだって三山社長は知らないからね・・・。
他の人の物は取ったらダメなんだよ・・・。
そんなの幼稚園児だって知ってること・・・。」
三山社長の不倫相手はどんな女の人なのか。
そのことも考えながら頬を擦り続ける。
「時間が経てばどうにかなるかな・・・。」
この怖さもこの気持ち悪さも、この苦しみや悲しみや虚しさも、時間が経てばどうにかなるのだと信じるしかない。
そんな希望を持って生きるしか今はない。
「世界を吹き飛ばしてはダメ・・・。」
自分で自分に言い聞かせる。
「でも、やっぱり怖いです・・・やっぱり気持ち悪い・・・。」
痛くなってきた頬をこれ以上擦ることが出来ずに手を止めた。
「ぅぅぅ────────────っっっ」
そしたら涙が流れてきて、また泣いた。
そして泣きながら身体を丸めた時、私の胸の間にある一平さんの第2ボタンが胸の谷間をスッ─────...と流れた。
それに気付き・・・
私は自然とネックレスを首から外し、一平さんの第2ボタンを眺めた。
“一平の、奪い取ってきてやった!!”
“あの時”の出来事を思い出し、一平さんの第2ボタンで私の頬を優しく撫でた。
そしたら・・・
そしたら、さっきよりも怖さがなくなって。
さっきよりも気持ち良さは引いていき・・・。
私は必死に一平さんの第2ボタンで頬を撫で続けた。
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