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青さんの家のお風呂で青さんのシャンプーとトリートメント、青さんのボディーソープ、青さんの洗顔料まで借りて全身を青さんの香りで包んだ。



「でも、なんか違う・・・。
香水の匂いとも違うけど、もっと良い匂いがした気がする・・・。」



小関の“家”で使っていた私のベッドに寝転がり、青さんに“業務報告日記”をスマホで入力していく。



“業務報告日記”とはいえ“日記”だから、いつもと同じように打ち込んでいく。



“今日の朝、小関の“家”を一平さんに連れられて出たこと”



“着いた先は青さんの家だったこと”



“すぐに青さんが出てきてくれたのかと思ったのに、服がはだけた綺麗な女の人が出てきたこと”



“私は青さんが迎えに来てくれなかったことが凄く寂しくて、青さんのことを呼んだこと”



“出てきてくれた青さんはボクサーパンツ1枚だったこと”



“その女の人とエッチをしていると思っていたこと”



“一平さんがいなくなってしまったこと”



“私が愛している一平さんは本当の意味でいなくなってしまったこと”



“なのに青さんは彼女さんとエッチをしていたからそれが凄くムカついて、心がグジャグジャになって、一平さんと叫びながら青さんに抱き付いたこと”



“そしたら青さんがボ○キしていたこと”



そこから始まった今日の日記にどんどん打ち込んでいく。
今日の私に起きた“ほぼ全て”の出来事を。
青さんへの気持ちは伏せたその日記に、打ち込んだ。



三山社長とのことも打ち込んだ。



三山社長との面接のこと、三山社長と食べたご飯のこと、三山社長から貰ったコートのこと。
その“ほぼ全て”を“日記”に打ち込んでいく。



私が青さんに知って欲しいと思う全てのコトをこの日記に打ち込む。
青さんはきっと何でも聞いてくれるから。
私の口からはなかなか出てこない言葉も“日記”になら青さんに言うことが出来る。



そう思いながら、今日も打ち込んだ。



《三山社長にコートのお礼を伝えたら、頬にキスをされました。
そして口にもキスをされそうになりました。
この身体は小関の“家”のモノだし、私は秘書だからどんなに汚いこともやれると決意をしながら受け入れようとしました。
でも、やっぱり嫌で、凄く凄く嫌で。
だって、頬にキスをされた時も全然嬉しくなかったから。
私、三山社長に頬にキスをされて全然嬉しくなかった。
凄く怖くて凄く気持ち悪かった。
それで“助けて”と思った時、たまたまそこにいたマナリーが助けてくれました。》



私の高校からの“友達”の1人であるマナリーのことを思い浮かべていたら、私の3人の“友達”達の姿が思い浮かんできた。



“疑問系で送りなよ。
そしたら返事が来るかもしれないよ。”



ソっちゃんの言葉も思い出す。
昔はそれでも返信がなかったけれど、今日からは青さんと一緒に暮らす。
だから帰って来てから口頭で返事を貰えるかもしれない。



だから、久しぶりに疑問系の言葉を打ち込んだ。



《本当のところ、女はキスやエッチは気持ち良いものなのかな?》



青さんの彼女さん達はどうだったんだろう。



“本当のところはどう思ってるのか気になりすぎて、俺は気持ち良くなれるくらいの余裕がマジでない。”



男子高校生だった青さんが最後まで言っていたその言葉を思い出し、それには小さくだけど笑えた。



そして、最後の言葉を打ち込んだ。



《いつかエッチするの、怖いなぁ。》



“嫌だな”と打ち込み、それから“怖いな”に変えた。



“嫌だ”ではなく“怖い”とも思うなんて、私はやっぱり“ダメ秘書”だなと自分で自分のことが嫌になりながら、青さんへこの“業務報告日記”を送った。
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