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「結構入ってるから。
“Hatori”の別のコートは無理でもある程度の物なら買えるから、望が欲しい物を好きに買えよ。」
見たことがあるはずで。
これはご主人様が一平さんと一美さんの誕生日に準備をしているプレゼントだった。
買いに行く時間が取れない時には私が何度か代わりに準備をしていた。
“こういうプレゼントってお父さんらしいけど、全然嬉しいとは思えなくて。
私はハンカチ1枚でもやっぱり何か欲しかったな。”
一美さんがたまに私に吐き出してきたその言葉が今、戻ってきてしまった。
戻ってきてしまった・・・。
だから、思ってしまって・・・。
私も思ってしまって・・・。
“全然嬉しくない”と、そう思ってしまって・・・。
「結局、金が1番だよな。
望もあいつからのお年玉が貰いたかったってブスな顔しながら言ってたしな!!」
楽しそうに笑っている青さんに私も笑いながら口を開いた。
商品券のプレゼントを受けとることなく、口を開いた。
「青さん、飴持ってますか?」
「飴?持ってねーけど。」
「ラムネは?」
「ラムネとか久しぶりに聞いたレベルだよ。」
「じゃあ・・・じゃあ、ハンカチは?」
「ハンカチ、は・・・ああ、さっき隣に座ってた女に貸したら欲しいとか言われたから渡したところだった。」
「そっか・・・。」
“いいな。”
笑顔を作りながらもそう思った。
「この金で後で一緒に買いに行くか?」
そう言われて・・・
その気持ちとその言葉を私には渡してくれて・・・。
私は首を横に振った。
「大丈夫です・・・。」
商品券を見ることなく言った。
「青さん、私・・・青さんにもう1つ報告があって・・・。」
青さんが商品券を下に下ろすことなく私のことを見下ろしているのが分かる。
「青さん、私・・・」
「うん。」
「私・・・」
「うん。」
「私・・・」
“三山社長に頬にキスをされて、口にもキスをされそうになりました。”
その言葉を言おうとするのに出てこなくて。
全然、全然その報告が出来なくて。
「まあ、一緒に暮らしてるし帰ったらゆっくり聞く。
お前パソコンまだ使えねーからしばらくは口頭で報告聞いてやるから。
俺は二次会にもちょっと顔出して、金は大量に出してから帰るから。
望は疲れた顔してるからこのまま帰って風呂入ってゆっくりしてろよ。」
青さんがそう言った後、意地悪な顔で私に笑い掛けてきた。
「この金でクリスマスケーキでも買って帰るから。」
青さんは私にクリスマスケーキを買ってくれる。
それを最初から渡して貰えていれば、私は喜んで受け取れた。
きっと、大喜びで受け取っていた。
でも、今はクリスマスケーキなんて全然欲しくなくて。
もう、私が貰って嬉しい物はクリスマスケーキではなくて。
「青さん・・・・・・っっ」
青さんの名前を呼んだ瞬間、私の目からは涙が大量に溢れた。
昔、青さんに割られた心から私の望みが浮かび上がってきた。
勢いよく、浮かび上がってきた。
だから、言った。
「わたし・・・・っっ青さんに“日記”を送りたい・・・っっ」
“Hatori”の別のコートは無理でもある程度の物なら買えるから、望が欲しい物を好きに買えよ。」
見たことがあるはずで。
これはご主人様が一平さんと一美さんの誕生日に準備をしているプレゼントだった。
買いに行く時間が取れない時には私が何度か代わりに準備をしていた。
“こういうプレゼントってお父さんらしいけど、全然嬉しいとは思えなくて。
私はハンカチ1枚でもやっぱり何か欲しかったな。”
一美さんがたまに私に吐き出してきたその言葉が今、戻ってきてしまった。
戻ってきてしまった・・・。
だから、思ってしまって・・・。
私も思ってしまって・・・。
“全然嬉しくない”と、そう思ってしまって・・・。
「結局、金が1番だよな。
望もあいつからのお年玉が貰いたかったってブスな顔しながら言ってたしな!!」
楽しそうに笑っている青さんに私も笑いながら口を開いた。
商品券のプレゼントを受けとることなく、口を開いた。
「青さん、飴持ってますか?」
「飴?持ってねーけど。」
「ラムネは?」
「ラムネとか久しぶりに聞いたレベルだよ。」
「じゃあ・・・じゃあ、ハンカチは?」
「ハンカチ、は・・・ああ、さっき隣に座ってた女に貸したら欲しいとか言われたから渡したところだった。」
「そっか・・・。」
“いいな。”
笑顔を作りながらもそう思った。
「この金で後で一緒に買いに行くか?」
そう言われて・・・
その気持ちとその言葉を私には渡してくれて・・・。
私は首を横に振った。
「大丈夫です・・・。」
商品券を見ることなく言った。
「青さん、私・・・青さんにもう1つ報告があって・・・。」
青さんが商品券を下に下ろすことなく私のことを見下ろしているのが分かる。
「青さん、私・・・」
「うん。」
「私・・・」
「うん。」
「私・・・」
“三山社長に頬にキスをされて、口にもキスをされそうになりました。”
その言葉を言おうとするのに出てこなくて。
全然、全然その報告が出来なくて。
「まあ、一緒に暮らしてるし帰ったらゆっくり聞く。
お前パソコンまだ使えねーからしばらくは口頭で報告聞いてやるから。
俺は二次会にもちょっと顔出して、金は大量に出してから帰るから。
望は疲れた顔してるからこのまま帰って風呂入ってゆっくりしてろよ。」
青さんがそう言った後、意地悪な顔で私に笑い掛けてきた。
「この金でクリスマスケーキでも買って帰るから。」
青さんは私にクリスマスケーキを買ってくれる。
それを最初から渡して貰えていれば、私は喜んで受け取れた。
きっと、大喜びで受け取っていた。
でも、今はクリスマスケーキなんて全然欲しくなくて。
もう、私が貰って嬉しい物はクリスマスケーキではなくて。
「青さん・・・・・・っっ」
青さんの名前を呼んだ瞬間、私の目からは涙が大量に溢れた。
昔、青さんに割られた心から私の望みが浮かび上がってきた。
勢いよく、浮かび上がってきた。
だから、言った。
「わたし・・・・っっ青さんに“日記”を送りたい・・・っっ」
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