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私に一言の返事もくれることはなくなっていた青さんが、捨てられた私のことを拾ってくれ“家”と“ほぼ家族”をくれた。



私のことを“ほぼ家族”にしてくれた。



それはとても嬉しいはずなのに、何故かこんなにも泣けた。



悲しくて悲しくて、こんなにも泣いた。



私が青さんから欲しかった物は“家”でも“ほぼ家族”でもなく、メッセージの返事だけだった。



一言だっていい、“迷惑だ”という言葉でも“もう送ってくるな”という言葉だって良かった。



だって私はずっと待っていた。



ずっと・・・ずっと、青さんが暇になる時を待ち続けていた。



「望の身体も望の人生も小関の“家”のモノなんかじゃない。
望のその身体も人生もちゃんと自分で可愛がってやれ。」



青さんがそんなことを“また”言ってくる。



そんなことを言ってくれる。



「小関の“家”の人間達の幸せの為じゃなく、望自身が幸せになれるまでこの“家”にいればいい。」



そんなモノなんて私は欲しくないはずなのに、青さんがそんなモノをくれようとする。



それを渡されそうになるといつも混乱してしまう。



本当はソレが欲しかったと・・・



ソレを望んでいたと、そんなことを思って混乱してしまう。



「俺の会社は絶対に増田になんて吸収させない。」



青さんが怖い顔で笑い、両手で私の頬を横に引っ張った。



「だから俺の弱みを握る為に一生だってこの“家”にいられるからな?」



泣いている私の顔を青さんの両手で無理矢理にでも笑顔にさせられる。



「どんなに時間が掛かってもいいから、ちゃんと望自身が幸せになれよ?」



青さんがそんな言葉をくれる。



そんな言葉は貰うことなんて出来ないのに、青さんが昔のように渡そうとしてくる。



「無理矢理にでも笑ってろ、望。
笑ってないとまた昔みたいにブスな女になるぞ!!」



昔だって“可愛い顔”と評価されていた私の顔を青さんはそう言ってきて、それには言い返したい気持ちはあったけれど素直に頷いた。



泣きながら、素っ裸の青さんに両手で頬を横に引っ張られながら、私は頷いた。



私にずっと返事をくれなかった意地悪な青さんなはずなのに、青さんはやっぱりとても優しい人だった。



やっぱり、私が好きになってしまった青さんのままだった。



そう思いながらダッフルコートの上から一平さんの第2ボタンに、この“家”の鍵を握った片手を置いた。



“青さんが認める私自身の幸せは一生ないはずだから、私はずっとこの“家”に・・・青さんの傍にいてもいいのかな・・・。”



そんな“幸せ”にも思える未来を想像して・・・



“私は青さんの“ほぼ家族”として・・・青さんの新しい彼女さんや青さんの奥さんになった人と一緒に生活して・・・。
そしていつか青さんとその女の人の赤ちゃんも増えた“本当の家族”がいるこの“家”で、“ほぼ家族”みたいな家政婦としての私はこの“家”でもそれを眺めているだけの人生なのかな・・・。”



そんな未来がすぐに思い浮かび、私は泣いた。



でも、ちゃんと笑った。



青さんの両手はもうないけれど必死に笑った。



“女は笑ってる顔の方が絶対に可愛い”



初めて青さんに会った日に言われた言葉を思い浮かべ、今日も泣きながらでも必死に笑った。
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