5 / 345
1
1-5
しおりを挟む
私に一言の返事もくれることはなくなっていた青さんが、捨てられた私のことを拾ってくれ“家”と“ほぼ家族”をくれた。
私のことを“ほぼ家族”にしてくれた。
それはとても嬉しいはずなのに、何故かこんなにも泣けた。
悲しくて悲しくて、こんなにも泣いた。
私が青さんから欲しかった物は“家”でも“ほぼ家族”でもなく、メッセージの返事だけだった。
一言だっていい、“迷惑だ”という言葉でも“もう送ってくるな”という言葉だって良かった。
だって私はずっと待っていた。
ずっと・・・ずっと、青さんが暇になる時を待ち続けていた。
「望の身体も望の人生も小関の“家”のモノなんかじゃない。
望のその身体も人生もちゃんと自分で可愛がってやれ。」
青さんがそんなことを“また”言ってくる。
そんなことを言ってくれる。
「小関の“家”の人間達の幸せの為じゃなく、望自身が幸せになれるまでこの“家”にいればいい。」
そんなモノなんて私は欲しくないはずなのに、青さんがそんなモノをくれようとする。
それを渡されそうになるといつも混乱してしまう。
本当はソレが欲しかったと・・・
ソレを望んでいたと、そんなことを思って混乱してしまう。
「俺の会社は絶対に増田になんて吸収させない。」
青さんが怖い顔で笑い、両手で私の頬を横に引っ張った。
「だから俺の弱みを握る為に一生だってこの“家”にいられるからな?」
泣いている私の顔を青さんの両手で無理矢理にでも笑顔にさせられる。
「どんなに時間が掛かってもいいから、ちゃんと望自身が幸せになれよ?」
青さんがそんな言葉をくれる。
そんな言葉は貰うことなんて出来ないのに、青さんが昔のように渡そうとしてくる。
「無理矢理にでも笑ってろ、望。
笑ってないとまた昔みたいにブスな女になるぞ!!」
昔だって“可愛い顔”と評価されていた私の顔を青さんはそう言ってきて、それには言い返したい気持ちはあったけれど素直に頷いた。
泣きながら、素っ裸の青さんに両手で頬を横に引っ張られながら、私は頷いた。
私にずっと返事をくれなかった意地悪な青さんなはずなのに、青さんはやっぱりとても優しい人だった。
やっぱり、私が好きになってしまった青さんのままだった。
そう思いながらダッフルコートの上から一平さんの第2ボタンに、この“家”の鍵を握った片手を置いた。
“青さんが認める私自身の幸せは一生ないはずだから、私はずっとこの“家”に・・・青さんの傍にいてもいいのかな・・・。”
そんな“幸せ”にも思える未来を想像して・・・
“私は青さんの“ほぼ家族”として・・・青さんの新しい彼女さんや青さんの奥さんになった人と一緒に生活して・・・。
そしていつか青さんとその女の人の赤ちゃんも増えた“本当の家族”がいるこの“家”で、“ほぼ家族”みたいな家政婦としての私はこの“家”でもそれを眺めているだけの人生なのかな・・・。”
そんな未来がすぐに思い浮かび、私は泣いた。
でも、ちゃんと笑った。
青さんの両手はもうないけれど必死に笑った。
“女は笑ってる顔の方が絶対に可愛い”
初めて青さんに会った日に言われた言葉を思い浮かべ、今日も泣きながらでも必死に笑った。
私のことを“ほぼ家族”にしてくれた。
それはとても嬉しいはずなのに、何故かこんなにも泣けた。
悲しくて悲しくて、こんなにも泣いた。
私が青さんから欲しかった物は“家”でも“ほぼ家族”でもなく、メッセージの返事だけだった。
一言だっていい、“迷惑だ”という言葉でも“もう送ってくるな”という言葉だって良かった。
だって私はずっと待っていた。
ずっと・・・ずっと、青さんが暇になる時を待ち続けていた。
「望の身体も望の人生も小関の“家”のモノなんかじゃない。
望のその身体も人生もちゃんと自分で可愛がってやれ。」
青さんがそんなことを“また”言ってくる。
そんなことを言ってくれる。
「小関の“家”の人間達の幸せの為じゃなく、望自身が幸せになれるまでこの“家”にいればいい。」
そんなモノなんて私は欲しくないはずなのに、青さんがそんなモノをくれようとする。
それを渡されそうになるといつも混乱してしまう。
本当はソレが欲しかったと・・・
ソレを望んでいたと、そんなことを思って混乱してしまう。
「俺の会社は絶対に増田になんて吸収させない。」
青さんが怖い顔で笑い、両手で私の頬を横に引っ張った。
「だから俺の弱みを握る為に一生だってこの“家”にいられるからな?」
泣いている私の顔を青さんの両手で無理矢理にでも笑顔にさせられる。
「どんなに時間が掛かってもいいから、ちゃんと望自身が幸せになれよ?」
青さんがそんな言葉をくれる。
そんな言葉は貰うことなんて出来ないのに、青さんが昔のように渡そうとしてくる。
「無理矢理にでも笑ってろ、望。
笑ってないとまた昔みたいにブスな女になるぞ!!」
昔だって“可愛い顔”と評価されていた私の顔を青さんはそう言ってきて、それには言い返したい気持ちはあったけれど素直に頷いた。
泣きながら、素っ裸の青さんに両手で頬を横に引っ張られながら、私は頷いた。
私にずっと返事をくれなかった意地悪な青さんなはずなのに、青さんはやっぱりとても優しい人だった。
やっぱり、私が好きになってしまった青さんのままだった。
そう思いながらダッフルコートの上から一平さんの第2ボタンに、この“家”の鍵を握った片手を置いた。
“青さんが認める私自身の幸せは一生ないはずだから、私はずっとこの“家”に・・・青さんの傍にいてもいいのかな・・・。”
そんな“幸せ”にも思える未来を想像して・・・
“私は青さんの“ほぼ家族”として・・・青さんの新しい彼女さんや青さんの奥さんになった人と一緒に生活して・・・。
そしていつか青さんとその女の人の赤ちゃんも増えた“本当の家族”がいるこの“家”で、“ほぼ家族”みたいな家政婦としての私はこの“家”でもそれを眺めているだけの人生なのかな・・・。”
そんな未来がすぐに思い浮かび、私は泣いた。
でも、ちゃんと笑った。
青さんの両手はもうないけれど必死に笑った。
“女は笑ってる顔の方が絶対に可愛い”
初めて青さんに会った日に言われた言葉を思い浮かべ、今日も泣きながらでも必死に笑った。
9
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
サディストの飼主さんに飼われてるマゾの日記。
風
恋愛
サディストの飼主さんに飼われてるマゾヒストのペット日記。
飼主さんが大好きです。
グロ表現、
性的表現もあります。
行為は「鬼畜系」なので苦手な人は見ないでください。
基本的に苦痛系のみですが
飼主さんとペットの関係は甘々です。
マゾ目線Only。
フィクションです。
※ノンフィクションの方にアップしてたけど、混乱させそうなので別にしました。
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話
mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。
クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。
友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる