303 / 362
6
6-50
しおりを挟む
結局、樹里は他の物は選ばずに、フラっと店を出た。
目の前を見ているようで見ていない、そんな目をしていた。
家からの最寄り駅まで、樹里は無言だった。
そんなに・・・あの指輪が欲しかったのかと、今になって気付いた。
駅からの道、無言のままの樹里に話し掛ける。
「あの指輪、また今度の休みに買いに行こう・・・。」
俺の言葉に、樹里は何も言わなかった。
それに、焦る・・・。
付き合ったその日から、俺はミスをした。
付き合ったその瞬間から、俺は・・・
物足りない男になった・・・。
俺といる時、あんなに楽しそうにしていた樹里が・・・
こんなに、無言で・・・
俺の方も見ず・・・
ただ、足を動かしている・・・。
震えてきた両手を、握り締めた。
「俺、頑張るから・・・。
ちゃんと頑張って、ちゃんと足りてる樹里の“彼氏”になるから・・・。」
そう伝えても、樹里は何も言わなかった。
「俺から・・・離れるなよ・・・。
繋げたから・・・。」
そう言って、俺は左手を見る。
「元々繋がる権利は俺になかったけど、頑張って繋げたから。
無理矢理でも、繋げたから・・・。
“赤い糸”、繋げたから・・・。」
左手を見ながら、今日買った指輪のことを思い出す。
「今の職場で、結構その・・・人生で1番くらいの勢いで色々言い寄られてるけど、“彼女”出来たって言うから。
今日、俺指輪買ったんだよな・・・それつけとくか。」
そう言ったタイミングで、樹里の家に着いた。
「また今度、他の店も行ってみるか!」
「あんなに高いの、貰えないよ・・・。」
樹里がやっと話してくれたことに、安堵した。
「じゃあ・・・来年、また買いに行くか。
今度はいくつか回って、ゆっくり探そう!」
「来年でも、貰えないよ。」
「俺がプレゼントしたいから。
樹里の誕生日に・・・。」
俺が、プレゼントをしたかった。
俺が樹里に、プレゼントをしたかった。
俺の“彼女”だと証明になる物を、俺が樹里につけていて欲しかった。
「来年の誕生日までに、どうするか考えておく。」
「うん・・・。
今年は何もプレゼント出来なくてごめんな!」
「樹里が待ち合わせ場所に行けなかったから・・・ごめん。」
樹里がそう謝るので、樹里の頭をポンッとした。
そんな俺を、樹里が可愛い顔で見上げた・・・
そして・・・
「キス、してほしい・・・。」
と、言った・・・。
目の前を見ているようで見ていない、そんな目をしていた。
家からの最寄り駅まで、樹里は無言だった。
そんなに・・・あの指輪が欲しかったのかと、今になって気付いた。
駅からの道、無言のままの樹里に話し掛ける。
「あの指輪、また今度の休みに買いに行こう・・・。」
俺の言葉に、樹里は何も言わなかった。
それに、焦る・・・。
付き合ったその日から、俺はミスをした。
付き合ったその瞬間から、俺は・・・
物足りない男になった・・・。
俺といる時、あんなに楽しそうにしていた樹里が・・・
こんなに、無言で・・・
俺の方も見ず・・・
ただ、足を動かしている・・・。
震えてきた両手を、握り締めた。
「俺、頑張るから・・・。
ちゃんと頑張って、ちゃんと足りてる樹里の“彼氏”になるから・・・。」
そう伝えても、樹里は何も言わなかった。
「俺から・・・離れるなよ・・・。
繋げたから・・・。」
そう言って、俺は左手を見る。
「元々繋がる権利は俺になかったけど、頑張って繋げたから。
無理矢理でも、繋げたから・・・。
“赤い糸”、繋げたから・・・。」
左手を見ながら、今日買った指輪のことを思い出す。
「今の職場で、結構その・・・人生で1番くらいの勢いで色々言い寄られてるけど、“彼女”出来たって言うから。
今日、俺指輪買ったんだよな・・・それつけとくか。」
そう言ったタイミングで、樹里の家に着いた。
「また今度、他の店も行ってみるか!」
「あんなに高いの、貰えないよ・・・。」
樹里がやっと話してくれたことに、安堵した。
「じゃあ・・・来年、また買いに行くか。
今度はいくつか回って、ゆっくり探そう!」
「来年でも、貰えないよ。」
「俺がプレゼントしたいから。
樹里の誕生日に・・・。」
俺が、プレゼントをしたかった。
俺が樹里に、プレゼントをしたかった。
俺の“彼女”だと証明になる物を、俺が樹里につけていて欲しかった。
「来年の誕生日までに、どうするか考えておく。」
「うん・・・。
今年は何もプレゼント出来なくてごめんな!」
「樹里が待ち合わせ場所に行けなかったから・・・ごめん。」
樹里がそう謝るので、樹里の頭をポンッとした。
そんな俺を、樹里が可愛い顔で見上げた・・・
そして・・・
「キス、してほしい・・・。」
と、言った・・・。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。
鯖
恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。
パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13
Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ
慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。
その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは
仕事上でしか接点のない上司だった。
思っていることを口にするのが苦手
地味で大人しい司書
木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)
×
真面目で優しい千紗子の上司
知的で容姿端麗な課長
雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29)
胸を締め付ける切ない想いを
抱えているのはいったいどちらなのか———
「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」
「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」
「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」
真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。
**********
►Attention
※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです)
※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
なし崩しの夜
春密まつり
恋愛
朝起きると栞は見知らぬベッドの上にいた。
さらに、隣には嫌いな男、悠介が眠っていた。
彼は昨晩、栞と抱き合ったと告げる。
信じられない、嘘だと責める栞に彼は不敵に微笑み、オフィスにも関わらず身体を求めてくる。
つい流されそうになるが、栞は覚悟を決めて彼を試すことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる