【完】ロリコンエロ親父(法務部長)から、ヘソ曲がりのおヘソを探されることになった※ロリコンではありません

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“樹里とは付き合えない”



そうは思っても、俺は樹里と会いたかった。
俺はいつだって、樹里と会いたかった。



俺の“命”だから・・・。
俺を動かす“命”だから・・・。



付き合えないとしても・・・。
いつか、他の男と樹里が結ばれたとしても・・・。



俺は、今日も、樹里に会いたかった・・・。








3月20日・・・






新年度前は忙しくなる。
法務部だけでなく、それはどこの部署も同じだった。
日曜日も出勤してくれている法務部の皆もお昼過ぎには帰り、俺も・・・。




腕時計を見ると、16時・・・。




今日は、樹里との“デート”だった。
樹里との、“誕生日デート”だった・・・。
女の子の格好をする樹里との、“特別”なデートだった・・・。




初めて、外で待ち合わせをする。
家まで送るでもなく、図書館でもなく、初めて外で待ち合わせをして、樹里と出掛ける・・・。




樹里は数日前からずっとはしゃいでいた。
最近はバイトがよく入っていて、終わる時間が夜になる日は毎回迎えに行っていた。




“女の子の格好でデートが出来る”
俺と、デートが出来ると・・・
ずっとはしゃいでいて・・・




可愛いなと、思っていた。




可愛いなと、思うだけにしていた。




それから先は、考えないようにしていた。




“グレーゾーン”の格好でない樹里に会うのは、正直不安でもあった。




“樹里とは付き合えない”のに、“女”になってしまう樹里と会うのは、不安でもあった。




それに・・・




“女”になってしまったら、きっと、すぐだ・・・。




少し震える手で、“赤い糸”である紙を見る。




「俺とは・・・繋がってない・・・。」




物足りない男とは、きっと繋がっていない。




ちゃんと、足りている男がいい。




目に涙を溜めながらも真っ直ぐ立ち続ける、“グレーゾーン”そのもののようなあの子を・・・
“樹”のようなあの子を・・・
ちゃんと足りている“何か”がある、そんな男が一緒にいる方がいい。