39 / 78
第39話 鯉と臨時収入
しおりを挟む
来週から期末試験が始まる。
真央と美沙希とカズミの勉強会はつづいている。
真央は平日も休日もガリ勉している。
美沙希とカズミは平日は勉強をがんばっているが、休日は遊んでいる。釣りだ。
7月最初の土曜日もふたりでフィールドに出た。
まだ梅雨がつづいているが、この日は晴天だった。
日差しがきびしい。
ふたりともTシャツを着ている。
美沙希は速乾の登山用Tシャツ。白地に黒で「富士山」と書いてある微妙なロゴのシャツだ。
カズミはサバイバルゲーム用の迷彩柄Tシャツ。下はダメージデニム。脚線美がわかるぴったりしたパンツで、太ももの肌が一部露出していて、カッコいい。
ふたりとも顔と首と腕に日焼け止めを塗っている。
「最初はどこに行きたい?」と美沙希が訊いた。
「えっ、あたしが決めるの?」
「今日はカズミがリードして。私は従う」
「じゃあ、キタウラに行ってみたい」
「いいよ」
カズミがスマホで地図を見た。
先頭に立ち、自転車を走らせる。
ジングウ橋に到着。
茫漠たる湖が広がっていた。
早速釣り始める。
南下しながら、ふたりともソフトルアーを使って、岸沿いを攻めた。
「浅いね」
「浅すぎる」
あたりがない。
しだいに湖の幅が狭くなり、キタウラがいつのまにかワニ川になっていた。
水深が深くなってきた。
やがてマエ川がワニ川に流れ込む水門に至った。
「ヒット!」
美沙希のスピニングロッドが大きく曲がった。
ジジジーとリールが音を立てて、ラインが引き出されていく。
「でかいよ、この魚」
慎重に寄せる美沙希。
魚が見えてきた。
ブラックバスではなかった。鯉だ。
「でかすぎる……」
20分はファイトした。
獲った鯉は70センチの大物だった。
カズミが鯉を両手で持つ美沙希を撮影した。
迫力がある写真が撮れた。
彼女はその写真を添付したメールを小鳥遊優に送信した。
電話がかかってきた。
「いまどこにいるんだ?」
「ワニ川水門。マエ川の流れ込み」
「15分で行くから、その魚をキープしておいてくれ」
小鳥遊が四輪駆動車に乗ってやってきた。
でかい鯉を持つ美沙希を一眼レフデジタルカメラで撮影する。
「これで昼飯でも食ってくれ」
小鳥遊は美沙希に3千円を渡し、あわただしく帰っていった。
「臨時収入。ラーメンをおごる」と美沙希が言った。
「やったー」と喜ぶカズミ。
ふたりはラーメン純樹に行った。
美沙希は塩バジルラーメン大盛り。
カズミはしょうゆ坦々つけ麺大盛り。
「旨ーい」
「旨ーい」
彼女たちはしあわせだった。
来週の期末試験のことはすっかり忘れていた。
真央と美沙希とカズミの勉強会はつづいている。
真央は平日も休日もガリ勉している。
美沙希とカズミは平日は勉強をがんばっているが、休日は遊んでいる。釣りだ。
7月最初の土曜日もふたりでフィールドに出た。
まだ梅雨がつづいているが、この日は晴天だった。
日差しがきびしい。
ふたりともTシャツを着ている。
美沙希は速乾の登山用Tシャツ。白地に黒で「富士山」と書いてある微妙なロゴのシャツだ。
カズミはサバイバルゲーム用の迷彩柄Tシャツ。下はダメージデニム。脚線美がわかるぴったりしたパンツで、太ももの肌が一部露出していて、カッコいい。
ふたりとも顔と首と腕に日焼け止めを塗っている。
「最初はどこに行きたい?」と美沙希が訊いた。
「えっ、あたしが決めるの?」
「今日はカズミがリードして。私は従う」
「じゃあ、キタウラに行ってみたい」
「いいよ」
カズミがスマホで地図を見た。
先頭に立ち、自転車を走らせる。
ジングウ橋に到着。
茫漠たる湖が広がっていた。
早速釣り始める。
南下しながら、ふたりともソフトルアーを使って、岸沿いを攻めた。
「浅いね」
「浅すぎる」
あたりがない。
しだいに湖の幅が狭くなり、キタウラがいつのまにかワニ川になっていた。
水深が深くなってきた。
やがてマエ川がワニ川に流れ込む水門に至った。
「ヒット!」
美沙希のスピニングロッドが大きく曲がった。
ジジジーとリールが音を立てて、ラインが引き出されていく。
「でかいよ、この魚」
慎重に寄せる美沙希。
魚が見えてきた。
ブラックバスではなかった。鯉だ。
「でかすぎる……」
20分はファイトした。
獲った鯉は70センチの大物だった。
カズミが鯉を両手で持つ美沙希を撮影した。
迫力がある写真が撮れた。
彼女はその写真を添付したメールを小鳥遊優に送信した。
電話がかかってきた。
「いまどこにいるんだ?」
「ワニ川水門。マエ川の流れ込み」
「15分で行くから、その魚をキープしておいてくれ」
小鳥遊が四輪駆動車に乗ってやってきた。
でかい鯉を持つ美沙希を一眼レフデジタルカメラで撮影する。
「これで昼飯でも食ってくれ」
小鳥遊は美沙希に3千円を渡し、あわただしく帰っていった。
「臨時収入。ラーメンをおごる」と美沙希が言った。
「やったー」と喜ぶカズミ。
ふたりはラーメン純樹に行った。
美沙希は塩バジルラーメン大盛り。
カズミはしょうゆ坦々つけ麺大盛り。
「旨ーい」
「旨ーい」
彼女たちはしあわせだった。
来週の期末試験のことはすっかり忘れていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた
ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。
俺が変わったのか……
地元が変わったのか……
主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。
※他Web小説サイトで連載していた作品です
女の子なんてなりたくない?
我破破
恋愛
これは、「男」を取り戻す為の戦いだ―――
突如として「金の玉」を奪われ、女体化させられた桜田憧太は、「金の玉」を取り戻す為の戦いに巻き込まれてしまう。
魔法少女となった桜田憧太は大好きなあの娘に思いを告げる為、「男」を取り戻そうと奮闘するが……?
ついにコミカライズ版も出ました。待望の新作を見届けよ‼
https://www.alphapolis.co.jp/manga/216382439/225307113
【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。
一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか?
おすすめシチュエーション
・後輩に振り回される先輩
・先輩が大好きな後輩
続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。
だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。
読んでやってくれると幸いです。
「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195
※タイトル画像はAI生成です
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。
千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。
風月学園女子寮。
私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…!
R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。
おすすめする人
・百合/GL/ガールズラブが好きな人
・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人
・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人
※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。
※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる