釣りガールズ

みらいつりびと

文字の大きさ
上 下
25 / 78

第25話 釣り人の朝

しおりを挟む
 美沙希は午前3時25分に目覚めた。
 目覚まし時計は3時30分にしかけていたのだが、ベルが鳴る前に目が覚めた。
 起きようと思っている時間の少し前に起きるのは、美沙希にとって珍しいことではなかった。釣りの日は特に。
 パジャマを脱いで、アウトドアルックで身を包む。
 お父さんを起こさないように静かに階段を下り、洗面所で顔を洗う。
 200gのパックご飯をレンジでチンして、卵と醤油をかけて食べた。卵かけご飯は究極のメニューのひとつだと思う。
 歯を磨き、トイレに入って用を足した。
 この時点で4時15分。余裕がある。

 美沙希は音を立てないよう気をつけて階段を上り、釣り部屋に入った。
 カズミの分のタックルも用意する約束だ。
 今日は水路で葦撃ちをする予定。
 テキサスリグで撃ちまくろう。
 大小いくつかのオフセットフック、重軽各種のタングステンバレットシンカーをウエストバッグに収納。
 ワームは信頼するゲーリーヤマモト社のものをいくつかチョイスした。4インチグラブ、6インチジャンボグラブ、4インチカットテール、4インチヤマセンコー、6インチヤマセンコー。カラーはウォーターメロンとスモーク。全10袋をバッグに入れた。
 
 ロッドは6フィート(約180センチ)のツーピースのベイトロッドを2本。6フィートは使いやすい長さだ。そして3フィートに分割できるので、自転車の前カゴに入れて移動できる。
 そして15000円で買ったダイワのベイトリールをふたつ、カラーボックスから取り出した。

 今日の釣りはベイトリールの使い方をカズミに教えることから開始かな。

 美沙希は準備万端整えて、4時55分に玄関を出て、カズミを待った。

 カズミは午前4時20分に目覚めた。
 目覚まし時計は3時30分にセットしておいたのだが、二度寝してしまったのだ。
 ヤバい! 
 彼女は跳ね起きた。

 寝巻きを脱いで、昨日お母さんに買ってもらったホットピンクの長袖Tシャツとダメージデニムを着る。
 顔を洗って、髪に櫛を入れる。カズミの髪は少しカールしたくせ毛で、整えるのに時間がかかる。
 朝ご飯をちゃんと食べて出発するつもりだったが、その時間はなさそうだ。美沙希にコンビニに寄ってもらうよう頼もう。朝食はそこで。
 歯を磨き、トイレに行き、サイフとスマホをリュックに入れて、カズミは玄関を出た。今日はロッドとリールは持って行かなくていい。美沙希が貸してくれることになっている。
 このとき、4時50分。

 カズミの家はひので町にある。
 美沙希の家ほど大きくはないが、瓦屋根の一軒家だ。
 あやめ町の美沙希の家まで、自転車を飛ばせば10分で着くはずだ。

 遅刻したくない。
 美沙希からだらしない子だと思われたくない。

 カズミは自転車を立ち漕ぎして、ダッシュした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

美少女幼馴染が火照って喘いでいる

サドラ
恋愛
高校生の主人公。ある日、風でも引いてそうな幼馴染の姿を見るがその後、彼女の家から変な喘ぎ声が聞こえてくるー

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...