作家志望愛詩輝の私小説

みらいつりびと

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愛詩輝の短編「宇宙の巨人」

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 春休み、ボクはSF短編を書いた。
 以下に掲載する。
「宇宙の巨人」というタイトル。
 ちょっと、たぶん、きっと、面白くない。
 読まなくていいよ。
 ああっ、恥ずかしい。ボク、文章が下手。
 ☆ ☆ ☆
 たくさんの星々が瞬いていた。新月の夜。絶好の観測日和だ、と天文学者の山中博士は思った。
 北アルプスの山中にある天文台。博士は巨大な高性能望遠鏡をのぞき込んだ。
「よく見える。土星の環が綺麗だ」
 博士は上機嫌だった。
「山中博士、僕にも見せてくださいよ」と助手が言った。
「ちょっと待て。変な物が見える」
「何が見えるんですか」
「私の目がおかしくなったのかもしれん」博士は首を傾げた。「土星の近くに人の形をしたものが見える」
 助手が代わって、望遠鏡を見た。
「確かに、人みたいな物が見えますね。頭、手足、胴体が見える。何なんでしょうか」
「これは大発見かもしれん。私はこれから新聞社に電話する。毎朝新聞の社会部に知り合いがいる。彼に知らせる」
 ☆ ☆ ☆ 
 これが書き出し。才能ねぇな。でもがんばって書き続けるよ。
 ☆ ☆ ☆
 毎朝新聞の社会面に写真付きの天文記事が掲載された。
「宇宙の巨人、土星に最接近」という見出しだった。
 西東京大学天文学研究室の竹内教授はモーニングコーヒーを飲みながら、その記事を読んでいた。
 スマホが鳴った。電話だ。
「竹内です」
「山中です。朝早くにすみません。いまお話していいですか」
「いいですよ。ちょうど山中先生の発見した巨人の記事を読んでいたところです。ギャグですよね、これ」
「ギャグじゃありません。マジですよ。徹夜で観測し続けていたんです、その巨人を。顔だって見える。あれは宇宙を飛翔する巨人です。今夜あたり、木星付近に到達するでしょう。私の軌道計算だと、巨人は地球と月の間を通ります」
「あははは。山中先生が真剣に冗談を言っている。笑えますね」
「だから、冗談じゃないんですって」山中博士の声には怒りが混ざっていた。「竹内先生にも観測してもらいたいんです。今夜、木星周辺を見てください。巨人を確認してください」
 その夜、竹内教授は木星の大赤斑を背景に、巨人が推進していくのを見て、あぜんとした。
 ☆ ☆ ☆
 はぁ、つまらないよね。こんなんで意気消沈して、いつもやめちゃうんだ。書く気がなくなっちゃうんだよね。でも続けるよ。
 ☆ ☆ ☆
 世界中の天文学者が太陽系を飛翔する人型の物体を観測した。ホモサピエンスの男性と同じ形をしているが、サイズが違う。身長1万キロメートルの巨体だ。天文学者たちは騒然とし、それが世間の人々に伝染していった。
 新聞もテレビも宇宙の巨人を報道した。ネットにもその写真や動画が投稿された。
「宇宙の巨人。その正体は何か。生きているのか、死んでいるのかも不明です。そもそも生物なのでしょうか。もし生物なのだとしたら、地球外知的生命体の可能性が大きいと言われています。天文学者、宇宙物理学者、生物学者、人類学者、その他さまざまな人々がこの巨人の研究をしています。地球に衝突する可能性もあるらしいです」
 美しすぎる女性アナウンサーが語る。宇宙の巨人は今や地球人全員の注目の的だ。
 木星を過ぎ、小惑星帯を突破し、火星軌道も通過して、地球に接近してくる。
 とうとう宇宙の巨人は月に着地した。巨人はずしんとあぐらで座り、地球を見つめた。生きている。この巨人は生きているのだ。
 ☆ ☆ ☆
 やめていいかな。でももう少し書いたら終わりそう。
 ☆ ☆ ☆
 宇宙の巨人は月からジャンプし、その両手で地球に触れた。右手がワシントンを、左手がニューヨークを押しつぶした。
 巨人は地球を押して、宇宙を進み始めた。
 地球人は大パニック。国連は巨人との交渉を試みたが、応答はなかった。
「地球の軌道が変わった。このままでは太陽に衝突して、地球は消滅する!」と山中博士は叫んだ。
「その前に高温ですべての生物が死に絶える。ひいぃぃぃっ!」と竹内教授は悲鳴をあげた。
 巨人が金星軌道に到達したころ、地球人類は滅亡していた。植物と地中の生物と海の生物の一部はまだ生き延びていた。
 宇宙の巨人は反転し、地球をもとの軌道に戻した。
 人類を滅ぼすのが目的だったのだろうか。
 それは誰にもわからない。
 巨人は地球から離れ、どこへともなく飛翔していく。
 それを観測する人間はもはやいない。〈完〉
 ☆ ☆ ☆
 ぎゃあああああ。つまらない。超絶つまらないよっ。でも完結させたよっ。
 これ、SFでいいのかな? いやぁ、もう何が何だかわからない。最後の方、めっちゃ急ぎ足だし。
 恥っず! 死ぬぅ。
 あああああっ。最後まで読んだ人いる? 
 ボク、推敲する気はないよ。誤字脱字? 知らないよっ。
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