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第31話 ラパーム市 第100悪魔少女狩り小隊
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ギギ・バルーンは教皇の姪で、ダダの姉。17歳で銀髪、長身の美少女だ。
第100悪魔少女狩りの小隊長で、その任地はパーム県ラパーム市。ラパーム教区の司教でもある。
自らも悪魔少女で、遠話の異能の使い手だ。
配下の悪魔少女は7人。
首都マーロから連れてきた神聖少女騎士は3人。ラン・ガジェット、ミク・ダゴン、ダリア・ゴーン。
ラパーム市で新たに配下に加えた少女騎士は4人。アイ・グリーン、ルンルン・キーラ、ハル・ドグラマグラ、マイ・ズーム。
自らを加えて8人の悪魔少女を擁する。強力な小隊である。
ギギは表面的には穏やかに見える少女だ。しかし、その内面はダダを超える野心家で、次の教皇の座を虎視眈々と狙っている。目的のためには手段を選ばない面もある。実はかなり冷酷な性格。ダダのように見るからに残虐でない分、次期教皇の有力な候補と言える。
父はバルデバラン教皇の弟、ガルンバ・バルーン枢機卿である。ガルンバは教皇国の財務大臣を務めていて、辣腕を振るっている。バルデバランには子どもがいない。ガルンバの子どもたちは、将来の教皇国の中枢を占めることが確実視されている。
ギギは長女で、妹がひとりと弟がふたりいる。
弟のひとり、ダダ・バルーンは向日葵の悪魔少女レンレン・ヴィンジーノに倒されたが、ギギはまだそのことを知らない。
ラン・ガジェットは18歳。眼鏡をかけた知的な美少女で、ギギがもっとも信頼する部下だ。
ラパーム市のピッツェリア『カナリア亭』で小隊全員揃って夕食を取っているとき、ギギはランに話しかけた。
「ラパーム市での仕事もほぼ終わりね。4人の悪魔少女を神聖少女騎士にし、11人を処刑した」
ランは生ハムのピザを食べていたが、食事をいったんやめ、右手の人差し指で眼鏡をくいっと上げてから答えた。
「まだひとり、悪魔少女疑惑が濃厚な15歳の少女が残っています。ペットショップの娘、リカリカ・ドーランです」
リカリカは異常なほど爬虫類を愛していて、トカゲ、ヘビ、ワニなどを大切に世話している。その執着ぶりは父ケン・ドーランを呆れさせるほどだ。リカリカがペットショップ『ドーランの生き物店』を継いだら、総合ペット店が爬虫類専門店になるのではないかと周囲の人々に思われている。
「ああ、あの黒髪でボーイッシュな子ね。かっこいいわよね、あの子」
ギギがリカリカの容姿を褒めたとき、ルンルンの目が嫉妬で光った。彼女は14歳、金髪ツインテールの小柄な美少女で、同性愛者。カリスマ性があるギギに惚れている。
「リカリカを早く殺しましょう、ギギ様ぁ。アタシはギギ様とともに首都へ行き、マーロの繁栄ぶりを見たいですぅ」
ルンルンの語尾はかなり甘ったれていて、ギギに媚びている。
ギギはそんなルンルンを可愛いと思っている。彼女は両性愛者である。
「明日、ドーランの生き物店へ行きましょう。あたくしも早くマーロへ帰りたいわ」
翌日、第100悪魔少女狩り小隊の面々は、ラパーム市役所のそばにあるドーランの生き物店へ向かった。
午前8時。まだペットショップは開いていない。
ドンドン、とルンルンが扉を叩いた。
「出てきやがれ、リカリカ・ドーラン! ギギ様がお出ましだぞぉ」
ツインテールの美少女は、ギギ以外には口が悪い。
「ルンルン、あまり注目を浴びるような行動は慎みなさい」とランがたしなめる。
「なんだとぉ、ラン。てめぇ、ちょっと頭がいいからって、図に乗んなよ。ギギ様に1番忠実な家来は、アタシだかんなぁ」
「いいえ、私です」
「アタシだ!」
ランとルンルンの口論を聞きながら、ギギは涼しい顔をしている。あたくしを取り合って争う女の子たちを見るのは楽しい、と思っている。
「うるさいなあ。うちの開店は10時だよ」
リカリカが店の扉を開けた。
はっとするほど美しい中性的な美貌。艶のあるショートカットの黒髪。ギギは思わず見惚れた。できればこの子を殺したくない。
「ボクに何か用?」
「てめえ、悪魔少女だろ。正体を現せ! 処刑してやるからよお」
ルンルンは本当に口が悪い。
「おとなしく投降して、ギギ様に忠誠を誓うなら、命は助かるわよ」
ランの口調は平板だ。
「またその話? もう、うんざりだよ」
リカリカの目がキラリと光った。
「わかった。正体を現すよ。昨夜、両親にもボクの真実を伝えた。きみたちと戦う覚悟はできている」
「やはり悪魔少女なのね。あたくしに投降しなさい。悪いようにはしないから」
「ギギさん、あなたの本心はわかっている。温和そうに見えて、実は冷酷な人だ。ボクを部下にして、使いつぶすつもりでしょ?」
「そんなことはないわよ」
ギギは微笑む。リカリカは勘がいい。ますます配下にしたくなった。
「広場で戦おう。ここでは多くの人の迷惑になる」
リカリカは悠々と広場に向かった。
ルンルンが背中を剣で刺そうとしたが、ギギが手で制した。
「正々堂々と戦いましょう。あたくしたちは誇り高き第100悪魔少女狩り小隊なのだから」
ルンルンはそう言ったギギをうっとりと見つめた。
「さすがですぅ、ギギ様ぁ」
広場に到着した。
ベースボールができるほどの広さがある。
リカリカはギギたちと対面した。
「ボクは簡単には殺せないよ」
彼女は美しい少年にも見えるその中性的な美貌をほころばせた。
「あたくしたちは8人なのよ。勝ち目はないわ」
「どうかな。青竜の悪魔に変身」とリカリカが唱えた直後、爆風のようなものが彼女の周囲に巻き起こり、体長15メートルほどの青い竜が出現した。
「ドラゴンかよ。でけえ!」
ルンルンが叫び、ギギは目を見張った。
第100悪魔少女狩りの小隊長で、その任地はパーム県ラパーム市。ラパーム教区の司教でもある。
自らも悪魔少女で、遠話の異能の使い手だ。
配下の悪魔少女は7人。
首都マーロから連れてきた神聖少女騎士は3人。ラン・ガジェット、ミク・ダゴン、ダリア・ゴーン。
ラパーム市で新たに配下に加えた少女騎士は4人。アイ・グリーン、ルンルン・キーラ、ハル・ドグラマグラ、マイ・ズーム。
自らを加えて8人の悪魔少女を擁する。強力な小隊である。
ギギは表面的には穏やかに見える少女だ。しかし、その内面はダダを超える野心家で、次の教皇の座を虎視眈々と狙っている。目的のためには手段を選ばない面もある。実はかなり冷酷な性格。ダダのように見るからに残虐でない分、次期教皇の有力な候補と言える。
父はバルデバラン教皇の弟、ガルンバ・バルーン枢機卿である。ガルンバは教皇国の財務大臣を務めていて、辣腕を振るっている。バルデバランには子どもがいない。ガルンバの子どもたちは、将来の教皇国の中枢を占めることが確実視されている。
ギギは長女で、妹がひとりと弟がふたりいる。
弟のひとり、ダダ・バルーンは向日葵の悪魔少女レンレン・ヴィンジーノに倒されたが、ギギはまだそのことを知らない。
ラン・ガジェットは18歳。眼鏡をかけた知的な美少女で、ギギがもっとも信頼する部下だ。
ラパーム市のピッツェリア『カナリア亭』で小隊全員揃って夕食を取っているとき、ギギはランに話しかけた。
「ラパーム市での仕事もほぼ終わりね。4人の悪魔少女を神聖少女騎士にし、11人を処刑した」
ランは生ハムのピザを食べていたが、食事をいったんやめ、右手の人差し指で眼鏡をくいっと上げてから答えた。
「まだひとり、悪魔少女疑惑が濃厚な15歳の少女が残っています。ペットショップの娘、リカリカ・ドーランです」
リカリカは異常なほど爬虫類を愛していて、トカゲ、ヘビ、ワニなどを大切に世話している。その執着ぶりは父ケン・ドーランを呆れさせるほどだ。リカリカがペットショップ『ドーランの生き物店』を継いだら、総合ペット店が爬虫類専門店になるのではないかと周囲の人々に思われている。
「ああ、あの黒髪でボーイッシュな子ね。かっこいいわよね、あの子」
ギギがリカリカの容姿を褒めたとき、ルンルンの目が嫉妬で光った。彼女は14歳、金髪ツインテールの小柄な美少女で、同性愛者。カリスマ性があるギギに惚れている。
「リカリカを早く殺しましょう、ギギ様ぁ。アタシはギギ様とともに首都へ行き、マーロの繁栄ぶりを見たいですぅ」
ルンルンの語尾はかなり甘ったれていて、ギギに媚びている。
ギギはそんなルンルンを可愛いと思っている。彼女は両性愛者である。
「明日、ドーランの生き物店へ行きましょう。あたくしも早くマーロへ帰りたいわ」
翌日、第100悪魔少女狩り小隊の面々は、ラパーム市役所のそばにあるドーランの生き物店へ向かった。
午前8時。まだペットショップは開いていない。
ドンドン、とルンルンが扉を叩いた。
「出てきやがれ、リカリカ・ドーラン! ギギ様がお出ましだぞぉ」
ツインテールの美少女は、ギギ以外には口が悪い。
「ルンルン、あまり注目を浴びるような行動は慎みなさい」とランがたしなめる。
「なんだとぉ、ラン。てめぇ、ちょっと頭がいいからって、図に乗んなよ。ギギ様に1番忠実な家来は、アタシだかんなぁ」
「いいえ、私です」
「アタシだ!」
ランとルンルンの口論を聞きながら、ギギは涼しい顔をしている。あたくしを取り合って争う女の子たちを見るのは楽しい、と思っている。
「うるさいなあ。うちの開店は10時だよ」
リカリカが店の扉を開けた。
はっとするほど美しい中性的な美貌。艶のあるショートカットの黒髪。ギギは思わず見惚れた。できればこの子を殺したくない。
「ボクに何か用?」
「てめえ、悪魔少女だろ。正体を現せ! 処刑してやるからよお」
ルンルンは本当に口が悪い。
「おとなしく投降して、ギギ様に忠誠を誓うなら、命は助かるわよ」
ランの口調は平板だ。
「またその話? もう、うんざりだよ」
リカリカの目がキラリと光った。
「わかった。正体を現すよ。昨夜、両親にもボクの真実を伝えた。きみたちと戦う覚悟はできている」
「やはり悪魔少女なのね。あたくしに投降しなさい。悪いようにはしないから」
「ギギさん、あなたの本心はわかっている。温和そうに見えて、実は冷酷な人だ。ボクを部下にして、使いつぶすつもりでしょ?」
「そんなことはないわよ」
ギギは微笑む。リカリカは勘がいい。ますます配下にしたくなった。
「広場で戦おう。ここでは多くの人の迷惑になる」
リカリカは悠々と広場に向かった。
ルンルンが背中を剣で刺そうとしたが、ギギが手で制した。
「正々堂々と戦いましょう。あたくしたちは誇り高き第100悪魔少女狩り小隊なのだから」
ルンルンはそう言ったギギをうっとりと見つめた。
「さすがですぅ、ギギ様ぁ」
広場に到着した。
ベースボールができるほどの広さがある。
リカリカはギギたちと対面した。
「ボクは簡単には殺せないよ」
彼女は美しい少年にも見えるその中性的な美貌をほころばせた。
「あたくしたちは8人なのよ。勝ち目はないわ」
「どうかな。青竜の悪魔に変身」とリカリカが唱えた直後、爆風のようなものが彼女の周囲に巻き起こり、体長15メートルほどの青い竜が出現した。
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