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怪奇ラフレシア女
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真偽不明のネット記事
怪奇な物と美しい女性の顔を組み合わせて描きつづけた漫画家タロイモ五郎。締め切りを一週間過ぎても彼からの返事がないことに業を煮やした編集者がひとり暮らしの五郎のアパートを訪れたところ、餓死した彼とラフレシアの花を発見した。花の上には干からびた女の顔が落っこちていて、生前の五郎が好んで描いた怪奇ラフレシア女を思わせたという。
同棲中の男女
「タロイモ五郎死んだのか」
「タロイモ……なに?」
「漫画家だよ。怪奇ラフレシア女って知らない?」
「知らない」
「これ」
「ぎゃーっ、変な絵見せないでーっ! 気持ちわるっ!」
「ラフレシアって臭いらしいんだよなあ。世界最大の花っていうと興味を惹かれるけど、便所の臭いがするらしいよ」
「ラフレシアの話はもういいよ」
「その臭いで死肉で繁殖するハエを吸引するんだって」
「ラフレシアの話はもういいって!」
月刊実話怪談編集部
「タロイモ先生の部屋にラフレシア女がいたってホントか?」
「いるわけねえだろ」
「いや、だっておまえ、あの日めちゃくちゃ顔色悪かったじゃん」
「タロイモ先生がドロドロに腐って死んでたんだぞ。顔色悪くもなるって」
「あー、そういやおまえが第一発見者だっけ」
「そうだよ。ラフレシアの花があったのはホントだけどな」
「えっ、タロイモ先生、ラフレシア育ててたの?」
「ビビったよ。暖房がんがんに効かせて、熱帯気候を再現してたわ。ラフレシアの花が咲いて、その近くでタロイモ先生が倒れててさ……」
真偽不明のネット記事
タロイモ五郎は収入のほとんどを熱帯植物の育成に費やしていた。ことにラフレシアには異常な熱意を注ぎ、受粉のために部屋の中にオビキンバエを飼っていたほどだった。ラフレシアは汲み取り便所にも似た悪臭を放ち、アパートの住民を嫌がらせていたらしい。タロイモ五郎と住民は対立し、口げんかが絶えなかったそうだ。
オタクふたり
「ラフレシア女の呪いだ!」
「ラフレシア女の呪いだ!」
××警察署屋上喫煙所
「タロイモ五郎の件、事件性はないんだろ?」
「ねえよ。でもちょっと気持ちわりぃ死に方でな。体がラフレシアの花に入り込んで、溶かされたみたいに見えたんだよ。その周りに怪奇ラフレシア女の原稿が飛び散っていてな」
「死因はなんだよ?」
「脳梗塞」
「ふうん」
「事件性はねえ……」
「ラフレシアって、発見された当時は人食い花じゃないかって、恐れられたそうだな」
「らしいな。だが、ラフレシアは無害な植物だ。ただ猛烈に臭いだけでな」
月刊実話怪談編集部
「タロイモ先生の遺作があるそうだな」
「怪奇ラフレシア女の最終回です」
「それ、追悼号に載せよう」
「でも編集長、ラフレシア女が漫画家を食べるって話なんですよ。タロイモ先生の死に方を憶測させるような漫画で、載せるには不謹慎って言うか……」
「馬鹿言うな。タロイモ先生は脳梗塞で死んだんだろ」
「そうですけど」
「先生の最後の作品だ。世間に発表しなけりゃ、先生が浮かばれねえだろ」
「そうかもしれませんけど」
「載せろ! 遺族に了解を取るの、忘れんなよ!」
同棲中の男女
「おもしれーっ! こええーっ!」
「なんなのいったい?」
「タロイモ五郎の最後の漫画。漫画家が怪奇ラフレシア女に食われてんの! 本物のタロイモ五郎もおんなじ死に方したのかもな」
「またラフレシア女?」
「おまえも見る?」
「見せないでーっ! その絵嫌いなのよ!」
「そう言わないで見てみろよ。壮絶におもしれえから!」
「ぎゃーっ、見せんな! あっち行け!」
真偽不明のネット記事
月刊実話怪談の編集長が脳梗塞で亡くなった。編集長は怪奇ラフレシア女の最終回を掲載することを強行した。タロイモ五郎の担当編集者は気乗りせず、反対していたという。
オタクふたり
「ラフレシア女の呪いだ!」
「ラフレシア女の呪いだ!」
月刊実話怪談編集部
「編集長、総務部へ異動だってな」
「遺族の了解を得られなかったのに、ラフレシア女の最終回を強引に載せたから。相当強い抗議があったらしいよ」
「それで異動?」
「それが異動理由かどうかはわからない。体調不良が理由だって本人は言ってる。脳梗塞で倒れて、一時はあぶなかったらしいよ。しばらく編集長の激務はこなせないってさ」
「ふうん」
「でもさ、ラフレシア女の単行本、いまめちゃくちゃ売れてるんだよ。作者の死とか編集長の死とかネットで騒がれて、すごい注目作になってさ。実際あの漫画怖くて面白いし」
「編集長死んでないけどな」
アパートの大家
「くっせえなあ。本当に迷惑な借家人だったな。死んでも迷惑かけやがって。ラフレシアなんか育ててんじゃねえよ。ん? 女の顔? なんでラフレシアに女の顔がくっついてんの? うわっ、気持ちわりー!」
真偽不明のネット記事
タロイモ五郎はラフレシアを育て、その上に女の蝋人形を乗せていたという。その顔は自作漫画のキャラクター、怪奇ラフレシア女にそっくりだった。五郎は怪奇な物と美しい女性の顔の組み合わせを心から愛していたとされる。その異様に描き込みの細かい作画は熱狂的なファンを生み、タロイモストとも呼ばれている。タロイモストらは五郎がラフレシア女を愛するあまり、彼女に食い殺されることを望み、ラフレシア女に溶かし殺されたと信じている。
真偽不明のネット記事
ラフレシア女は実在したんだって!
当局は説明不能の植物?動物?を隠蔽するため、情報統制したらしいよ!
ラフレシア女こえー。漫画よりこえー。
その記事にはアパートの部屋の中で育てられたラフレシアの花とその上で微笑む美しい女の顔の写真が載っている。
アパートの大家
「えっ、ラフレシア女、こっち見やがった! い、生きてる……?」
怪奇な物と美しい女性の顔を組み合わせて描きつづけた漫画家タロイモ五郎。締め切りを一週間過ぎても彼からの返事がないことに業を煮やした編集者がひとり暮らしの五郎のアパートを訪れたところ、餓死した彼とラフレシアの花を発見した。花の上には干からびた女の顔が落っこちていて、生前の五郎が好んで描いた怪奇ラフレシア女を思わせたという。
同棲中の男女
「タロイモ五郎死んだのか」
「タロイモ……なに?」
「漫画家だよ。怪奇ラフレシア女って知らない?」
「知らない」
「これ」
「ぎゃーっ、変な絵見せないでーっ! 気持ちわるっ!」
「ラフレシアって臭いらしいんだよなあ。世界最大の花っていうと興味を惹かれるけど、便所の臭いがするらしいよ」
「ラフレシアの話はもういいよ」
「その臭いで死肉で繁殖するハエを吸引するんだって」
「ラフレシアの話はもういいって!」
月刊実話怪談編集部
「タロイモ先生の部屋にラフレシア女がいたってホントか?」
「いるわけねえだろ」
「いや、だっておまえ、あの日めちゃくちゃ顔色悪かったじゃん」
「タロイモ先生がドロドロに腐って死んでたんだぞ。顔色悪くもなるって」
「あー、そういやおまえが第一発見者だっけ」
「そうだよ。ラフレシアの花があったのはホントだけどな」
「えっ、タロイモ先生、ラフレシア育ててたの?」
「ビビったよ。暖房がんがんに効かせて、熱帯気候を再現してたわ。ラフレシアの花が咲いて、その近くでタロイモ先生が倒れててさ……」
真偽不明のネット記事
タロイモ五郎は収入のほとんどを熱帯植物の育成に費やしていた。ことにラフレシアには異常な熱意を注ぎ、受粉のために部屋の中にオビキンバエを飼っていたほどだった。ラフレシアは汲み取り便所にも似た悪臭を放ち、アパートの住民を嫌がらせていたらしい。タロイモ五郎と住民は対立し、口げんかが絶えなかったそうだ。
オタクふたり
「ラフレシア女の呪いだ!」
「ラフレシア女の呪いだ!」
××警察署屋上喫煙所
「タロイモ五郎の件、事件性はないんだろ?」
「ねえよ。でもちょっと気持ちわりぃ死に方でな。体がラフレシアの花に入り込んで、溶かされたみたいに見えたんだよ。その周りに怪奇ラフレシア女の原稿が飛び散っていてな」
「死因はなんだよ?」
「脳梗塞」
「ふうん」
「事件性はねえ……」
「ラフレシアって、発見された当時は人食い花じゃないかって、恐れられたそうだな」
「らしいな。だが、ラフレシアは無害な植物だ。ただ猛烈に臭いだけでな」
月刊実話怪談編集部
「タロイモ先生の遺作があるそうだな」
「怪奇ラフレシア女の最終回です」
「それ、追悼号に載せよう」
「でも編集長、ラフレシア女が漫画家を食べるって話なんですよ。タロイモ先生の死に方を憶測させるような漫画で、載せるには不謹慎って言うか……」
「馬鹿言うな。タロイモ先生は脳梗塞で死んだんだろ」
「そうですけど」
「先生の最後の作品だ。世間に発表しなけりゃ、先生が浮かばれねえだろ」
「そうかもしれませんけど」
「載せろ! 遺族に了解を取るの、忘れんなよ!」
同棲中の男女
「おもしれーっ! こええーっ!」
「なんなのいったい?」
「タロイモ五郎の最後の漫画。漫画家が怪奇ラフレシア女に食われてんの! 本物のタロイモ五郎もおんなじ死に方したのかもな」
「またラフレシア女?」
「おまえも見る?」
「見せないでーっ! その絵嫌いなのよ!」
「そう言わないで見てみろよ。壮絶におもしれえから!」
「ぎゃーっ、見せんな! あっち行け!」
真偽不明のネット記事
月刊実話怪談の編集長が脳梗塞で亡くなった。編集長は怪奇ラフレシア女の最終回を掲載することを強行した。タロイモ五郎の担当編集者は気乗りせず、反対していたという。
オタクふたり
「ラフレシア女の呪いだ!」
「ラフレシア女の呪いだ!」
月刊実話怪談編集部
「編集長、総務部へ異動だってな」
「遺族の了解を得られなかったのに、ラフレシア女の最終回を強引に載せたから。相当強い抗議があったらしいよ」
「それで異動?」
「それが異動理由かどうかはわからない。体調不良が理由だって本人は言ってる。脳梗塞で倒れて、一時はあぶなかったらしいよ。しばらく編集長の激務はこなせないってさ」
「ふうん」
「でもさ、ラフレシア女の単行本、いまめちゃくちゃ売れてるんだよ。作者の死とか編集長の死とかネットで騒がれて、すごい注目作になってさ。実際あの漫画怖くて面白いし」
「編集長死んでないけどな」
アパートの大家
「くっせえなあ。本当に迷惑な借家人だったな。死んでも迷惑かけやがって。ラフレシアなんか育ててんじゃねえよ。ん? 女の顔? なんでラフレシアに女の顔がくっついてんの? うわっ、気持ちわりー!」
真偽不明のネット記事
タロイモ五郎はラフレシアを育て、その上に女の蝋人形を乗せていたという。その顔は自作漫画のキャラクター、怪奇ラフレシア女にそっくりだった。五郎は怪奇な物と美しい女性の顔の組み合わせを心から愛していたとされる。その異様に描き込みの細かい作画は熱狂的なファンを生み、タロイモストとも呼ばれている。タロイモストらは五郎がラフレシア女を愛するあまり、彼女に食い殺されることを望み、ラフレシア女に溶かし殺されたと信じている。
真偽不明のネット記事
ラフレシア女は実在したんだって!
当局は説明不能の植物?動物?を隠蔽するため、情報統制したらしいよ!
ラフレシア女こえー。漫画よりこえー。
その記事にはアパートの部屋の中で育てられたラフレシアの花とその上で微笑む美しい女の顔の写真が載っている。
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