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口裂け女リターンズ
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わたしは口裂け女だ。
長らく自宅に引き篭もっていたが、新型感染症でほとんどの人間がマスクをつけて外出するようになり、これさいわいとわたしもマスクをして外に出ることにした。
マスクをしていても、まったく注目されない。
マスクをしていれば、口裂け女だとばれることはない。
ふふふふふ……。
わたしの口は耳たぶのそばまで裂けている。
大きめのマスクをつけ、それを隠す。
わたしにはわたし以外の口裂け女を感知する能力がある。マスクをしていても、同族はわかるのだ。
めったに会うことのない口裂け女と道でたくさんすれちがった。
あの娘も、あの老婆も、口裂け女だ。
マスクをして、外出している。
新型感染症バンザイ。
ひひひひひ……。
わたしは顔を晒して男と話すことはない。
口裂けを見ると、男は恐怖し、必ず逃げる。
マスクをしたままなら話すことができる。
「こんにちは。今日は暑いですね」と話しかけると、
「暑いな、お嬢さん」と返してくれる。
お嬢さん!
わたしはそんなふうに呼ばれたことはなかった。
新型感染症バンザイ。
ははははは……。
口裂け女は都市伝説だと思われているが、実はかなり多く実在している。
100人の女がいれば、そのうちのひとりは確実に口裂け女だ。
なぜか口裂け男はいない。
どうしてか、わたしにもわからない。
とにかく、口裂け女は実在する。
都市伝説でもネットロアでもない。
ここにいるのだ。
わたしが口裂け女で、あの角で男を漁っている女も口裂け女だ。
へへへへへ……。
「ねえ、カラオケ行かない?」
ナンパされた。
「えーっ、わたしですかあ?」
「うん。ふたりで心ゆくまで歌おうよ」
「マスクをしたまま歌ってもいいですかあ?」
「もちろんかまわないよ。その方が衛生的だよね」
「マスク越しでキスしてくれますか?」
「あ、ああ」
わたしは男の腕に絡みついた。
おっぱいを押しつけると、男は鼻の下を伸ばした。
ちょろい。
ほほほほほ……。
長らく自宅に引き篭もっていたが、新型感染症でほとんどの人間がマスクをつけて外出するようになり、これさいわいとわたしもマスクをして外に出ることにした。
マスクをしていても、まったく注目されない。
マスクをしていれば、口裂け女だとばれることはない。
ふふふふふ……。
わたしの口は耳たぶのそばまで裂けている。
大きめのマスクをつけ、それを隠す。
わたしにはわたし以外の口裂け女を感知する能力がある。マスクをしていても、同族はわかるのだ。
めったに会うことのない口裂け女と道でたくさんすれちがった。
あの娘も、あの老婆も、口裂け女だ。
マスクをして、外出している。
新型感染症バンザイ。
ひひひひひ……。
わたしは顔を晒して男と話すことはない。
口裂けを見ると、男は恐怖し、必ず逃げる。
マスクをしたままなら話すことができる。
「こんにちは。今日は暑いですね」と話しかけると、
「暑いな、お嬢さん」と返してくれる。
お嬢さん!
わたしはそんなふうに呼ばれたことはなかった。
新型感染症バンザイ。
ははははは……。
口裂け女は都市伝説だと思われているが、実はかなり多く実在している。
100人の女がいれば、そのうちのひとりは確実に口裂け女だ。
なぜか口裂け男はいない。
どうしてか、わたしにもわからない。
とにかく、口裂け女は実在する。
都市伝説でもネットロアでもない。
ここにいるのだ。
わたしが口裂け女で、あの角で男を漁っている女も口裂け女だ。
へへへへへ……。
「ねえ、カラオケ行かない?」
ナンパされた。
「えーっ、わたしですかあ?」
「うん。ふたりで心ゆくまで歌おうよ」
「マスクをしたまま歌ってもいいですかあ?」
「もちろんかまわないよ。その方が衛生的だよね」
「マスク越しでキスしてくれますか?」
「あ、ああ」
わたしは男の腕に絡みついた。
おっぱいを押しつけると、男は鼻の下を伸ばした。
ちょろい。
ほほほほほ……。
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