28 / 37
クロエ2
爆弾戦
しおりを挟む
わたしは登山隊員たちを司令塔1階の食堂に集めた。
100人いるが、そのうち6人はカイシュタイン山で負傷した。戦える者は94人。
「みなさん、すでにご存じだと思いますが、ライリー城はオースティン王国軍に包囲されました。イーノ城主は抗戦と籠城を決定し、わたしは協力を求められました。我々は誇り高き中央軍団の兵士です。戦いましょう!」
皆、静かにわたしの話を聞いている。誰しもが戦うのは当然だと思っている表情だ。
「指揮はわたしがつとめます」
シローが不思議そうにわたしを見つめた。
「クロエ様が戦うのでやすか?」
「もちろんです」
デヴィットがやめておけと言いたげに首を振った。
「わたしは黒水晶で爆弾をつくることができます」
黒水晶を兵器として使うのは本意ではない。試しに人のいないところで爆発させたことはある。暗殺者相手に投げたこともある。わたしはそういう使い方があることを、できるだけ秘密にしてきた。
だが、いまは非常時。戦争だ。生き残るため、そしてサイラス王を倒すため、わたしは手段を選ばない。
「わたしは爆弾をつくります。みなさんは投石のように、爆弾を敵兵めがけて投げてください」
「どんな爆弾なんでやすか」とシローに訊かれた。
「いろいろとつくれますが、投げやすいサイズの爆弾を生産しようと思います。ライリーの倉庫には3000キログラムの黒水晶があります。投げやすく、敵に当たった衝撃で爆発する爆弾を量産します」
「あっしらは爆弾投擲兵になるのでやすね。やってやりやす」
シローは闘志満々だった。
デヴィットはまだ心配そうな顔をしていた。
「敵には容赦しません」とわたしは断固として言った。特にサイラスには……!
「わたしたちは爆弾百人隊です!」
わたしは一時的に百人隊長になった。
シローを副隊長に指名し、デヴィットには副官になってもらった。
ふたりを連れて、イーノと3人の千人隊長と軍議をした。
「わたしたちは強力な爆弾隊です。熱と石の欠片を瞬時に飛散させる高い殺傷能力を持つ爆弾を使います。どんな敵と対峙させてもらってもかまいません」とわたしは言った。
「爆弾なんてどこにあるのですか?」と千人隊長のひとりが言った。
「わたしは黒水晶を爆弾に変えることができるのです。これから大至急製造します」
「そんな兵器があるのなら、私どもも使いたいです」
「ではそちらにも回しましょう」
「ありがとうございます」
「慎重に取り扱ってください。衝撃を与えたら爆発します。城壁の上から、敵兵に向かって投げてください」
「矢の先に取り付けても使えますか?」
「可能です」
「爆弾を持って突撃したいです」
わたしは考え込んだ。
イーノが発言した。
「当分の間、守備に専念する。必ず援軍が来るはずだ。それまで籠城に徹し、ライリーを堅守せよ」
城主の言葉で、方針が決まった。
「クロエ様、あなたは黒水晶の倉庫で、爆弾づくりに専念してください。登山隊員たちは、それを城壁の隅々まで配ってください。ライリーの守備隊すべて、爆弾兵となります」
それが一番良い戦い方だろう。
わたしは前線に立ち、サイラス王と戦いたかったが、イーノの指示に従うことにした。
倉庫には黒水晶がぎっしりと積まれていた。
「シロー、黒水晶を外に出し、ハンマーで投げやすいサイズに割ってください」
「わかりやした」
倉庫の外はただの舗装道だったが、たちまち爆弾工場と化した。
隊員たちが黒水晶を運び出し、ハンマーでかち割り、わたしが魔法で爆弾に変成する。
手のひらをかざして、黒水晶の内部を高温にする。猛烈な熱エネルギーを外側の薄い固体が包んでいる状態をつくり出す。
衝撃で外殻が壊れたら、瞬時にエネルギーが放出され、固体と高温の黒い蒸気が爆散する。それが投擲用黒水晶爆弾だ。
夏冬の聖女にしかつくることはできない。戦争で使用されるのは史上初だと思う。
周囲の城壁が騒がしくなった。戦闘が始まったようだ。
わたしは爆弾をどんどん製造した。
「シロー、爆弾を運んで。取り扱いには厳重に注意してね。地面に落としたら、爆発するわよ」
「はい、気をつけやす」
シローは爆弾を隊員たちに持たせ、行き先を指示した。東へ西へ、北へ南へ。城壁まで走っていく兵もいたし、おっかなびっくり歩く兵もいた。
ハンマーで割った黒水晶のサイズや形はさまざまだった。
急ぎの仕事なので、仕方がない。
100グラムから600グラムくらいまで、大小さまざまな爆弾をつくった。
500グラム爆弾をひとつつくるのに、20秒くらいかかる。
デヴィットがわたしの前に黒水晶を置く。
わたしが魔力を注入する。
できた爆弾をシローが兵に渡す。
最初の爆発音が聞こえてきたのは、12月13日の正午頃のことだった。
それからドカン、バーン、ズガン、ゴガッ、ドゴォ、ガーンというような音が次々と轟いた。
世界初の黒水晶爆弾戦。
戦果はどうなのだろう。
気になるが、爆弾の製造は危険な作業だ。わたしは意識を黒水晶に集中し、爆弾をつくりつづけた。
疲れたら少しだけ休憩し、水を飲んだ。
爆音は鳴りつづけている。激しい戦闘を思わせる叫び声も聞こえてくる。わたしは早々に爆弾の製造を再開する。
午後2時までに500発はつくったと思う。
集中力が途切れた。
「疲れたあ」
デヴィットが腸詰を挟んだパンを渡してくれた。
午後3時頃、こだましていた炸裂音が止んだ。
シローが城壁から駆けてきた。
「大戦果でやす。すごい威力でやす。オースティン軍は波状攻撃をかけてきやしたが、すべて撃退しやした。爆弾は城壁に近づく数万の敵兵を阻止し、千人以上倒しました。いまは敵軍はすべて、投擲範囲外に退いておりやす。イーノ様は小型の爆弾を矢先に結びつけるよう命令を下されやした」
「そう。爆弾は役立ったのね」
「役立ったなんてもんじゃありやせん。敵兵力は10万以上でやすよ。爆弾がなければ、城壁は突破され、落城していたかもしれやせん」
複雑な気分だった。
戦争とはいえ、わたしの魔法が人を殺した。
わたしは司令塔の屋上に登った。
城壁の外、微妙な距離を置いて、オースティン軍が布陣していた。
東の方に大きな獅子の旗が掲げられている。そこに敵の主力がいる。
4時頃、爆弾の矢の雨が敵陣に降った。
わたしは黒水晶爆弾の威力をこの目で見た。
光を発し、爆音を響かせ、敵兵を吹き飛ばしていた。
敵軍は乱れ、大幅に後退した。
地上に死体が散乱していた。
死ぬのはサイラスだけで良いのに。
100人いるが、そのうち6人はカイシュタイン山で負傷した。戦える者は94人。
「みなさん、すでにご存じだと思いますが、ライリー城はオースティン王国軍に包囲されました。イーノ城主は抗戦と籠城を決定し、わたしは協力を求められました。我々は誇り高き中央軍団の兵士です。戦いましょう!」
皆、静かにわたしの話を聞いている。誰しもが戦うのは当然だと思っている表情だ。
「指揮はわたしがつとめます」
シローが不思議そうにわたしを見つめた。
「クロエ様が戦うのでやすか?」
「もちろんです」
デヴィットがやめておけと言いたげに首を振った。
「わたしは黒水晶で爆弾をつくることができます」
黒水晶を兵器として使うのは本意ではない。試しに人のいないところで爆発させたことはある。暗殺者相手に投げたこともある。わたしはそういう使い方があることを、できるだけ秘密にしてきた。
だが、いまは非常時。戦争だ。生き残るため、そしてサイラス王を倒すため、わたしは手段を選ばない。
「わたしは爆弾をつくります。みなさんは投石のように、爆弾を敵兵めがけて投げてください」
「どんな爆弾なんでやすか」とシローに訊かれた。
「いろいろとつくれますが、投げやすいサイズの爆弾を生産しようと思います。ライリーの倉庫には3000キログラムの黒水晶があります。投げやすく、敵に当たった衝撃で爆発する爆弾を量産します」
「あっしらは爆弾投擲兵になるのでやすね。やってやりやす」
シローは闘志満々だった。
デヴィットはまだ心配そうな顔をしていた。
「敵には容赦しません」とわたしは断固として言った。特にサイラスには……!
「わたしたちは爆弾百人隊です!」
わたしは一時的に百人隊長になった。
シローを副隊長に指名し、デヴィットには副官になってもらった。
ふたりを連れて、イーノと3人の千人隊長と軍議をした。
「わたしたちは強力な爆弾隊です。熱と石の欠片を瞬時に飛散させる高い殺傷能力を持つ爆弾を使います。どんな敵と対峙させてもらってもかまいません」とわたしは言った。
「爆弾なんてどこにあるのですか?」と千人隊長のひとりが言った。
「わたしは黒水晶を爆弾に変えることができるのです。これから大至急製造します」
「そんな兵器があるのなら、私どもも使いたいです」
「ではそちらにも回しましょう」
「ありがとうございます」
「慎重に取り扱ってください。衝撃を与えたら爆発します。城壁の上から、敵兵に向かって投げてください」
「矢の先に取り付けても使えますか?」
「可能です」
「爆弾を持って突撃したいです」
わたしは考え込んだ。
イーノが発言した。
「当分の間、守備に専念する。必ず援軍が来るはずだ。それまで籠城に徹し、ライリーを堅守せよ」
城主の言葉で、方針が決まった。
「クロエ様、あなたは黒水晶の倉庫で、爆弾づくりに専念してください。登山隊員たちは、それを城壁の隅々まで配ってください。ライリーの守備隊すべて、爆弾兵となります」
それが一番良い戦い方だろう。
わたしは前線に立ち、サイラス王と戦いたかったが、イーノの指示に従うことにした。
倉庫には黒水晶がぎっしりと積まれていた。
「シロー、黒水晶を外に出し、ハンマーで投げやすいサイズに割ってください」
「わかりやした」
倉庫の外はただの舗装道だったが、たちまち爆弾工場と化した。
隊員たちが黒水晶を運び出し、ハンマーでかち割り、わたしが魔法で爆弾に変成する。
手のひらをかざして、黒水晶の内部を高温にする。猛烈な熱エネルギーを外側の薄い固体が包んでいる状態をつくり出す。
衝撃で外殻が壊れたら、瞬時にエネルギーが放出され、固体と高温の黒い蒸気が爆散する。それが投擲用黒水晶爆弾だ。
夏冬の聖女にしかつくることはできない。戦争で使用されるのは史上初だと思う。
周囲の城壁が騒がしくなった。戦闘が始まったようだ。
わたしは爆弾をどんどん製造した。
「シロー、爆弾を運んで。取り扱いには厳重に注意してね。地面に落としたら、爆発するわよ」
「はい、気をつけやす」
シローは爆弾を隊員たちに持たせ、行き先を指示した。東へ西へ、北へ南へ。城壁まで走っていく兵もいたし、おっかなびっくり歩く兵もいた。
ハンマーで割った黒水晶のサイズや形はさまざまだった。
急ぎの仕事なので、仕方がない。
100グラムから600グラムくらいまで、大小さまざまな爆弾をつくった。
500グラム爆弾をひとつつくるのに、20秒くらいかかる。
デヴィットがわたしの前に黒水晶を置く。
わたしが魔力を注入する。
できた爆弾をシローが兵に渡す。
最初の爆発音が聞こえてきたのは、12月13日の正午頃のことだった。
それからドカン、バーン、ズガン、ゴガッ、ドゴォ、ガーンというような音が次々と轟いた。
世界初の黒水晶爆弾戦。
戦果はどうなのだろう。
気になるが、爆弾の製造は危険な作業だ。わたしは意識を黒水晶に集中し、爆弾をつくりつづけた。
疲れたら少しだけ休憩し、水を飲んだ。
爆音は鳴りつづけている。激しい戦闘を思わせる叫び声も聞こえてくる。わたしは早々に爆弾の製造を再開する。
午後2時までに500発はつくったと思う。
集中力が途切れた。
「疲れたあ」
デヴィットが腸詰を挟んだパンを渡してくれた。
午後3時頃、こだましていた炸裂音が止んだ。
シローが城壁から駆けてきた。
「大戦果でやす。すごい威力でやす。オースティン軍は波状攻撃をかけてきやしたが、すべて撃退しやした。爆弾は城壁に近づく数万の敵兵を阻止し、千人以上倒しました。いまは敵軍はすべて、投擲範囲外に退いておりやす。イーノ様は小型の爆弾を矢先に結びつけるよう命令を下されやした」
「そう。爆弾は役立ったのね」
「役立ったなんてもんじゃありやせん。敵兵力は10万以上でやすよ。爆弾がなければ、城壁は突破され、落城していたかもしれやせん」
複雑な気分だった。
戦争とはいえ、わたしの魔法が人を殺した。
わたしは司令塔の屋上に登った。
城壁の外、微妙な距離を置いて、オースティン軍が布陣していた。
東の方に大きな獅子の旗が掲げられている。そこに敵の主力がいる。
4時頃、爆弾の矢の雨が敵陣に降った。
わたしは黒水晶爆弾の威力をこの目で見た。
光を発し、爆音を響かせ、敵兵を吹き飛ばしていた。
敵軍は乱れ、大幅に後退した。
地上に死体が散乱していた。
死ぬのはサイラスだけで良いのに。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
死に戻りの魔女は溺愛幼女に生まれ変わります
みおな
恋愛
「灰色の魔女め!」
私を睨みつける婚約者に、心が絶望感で塗りつぶされていきます。
聖女である妹が自分には相応しい?なら、どうして婚約解消を申し込んでくださらなかったのですか?
私だってわかっています。妹の方が優れている。妹の方が愛らしい。
だから、そうおっしゃってくだされば、婚約者の座などいつでもおりましたのに。
こんな公衆の面前で婚約破棄をされた娘など、父もきっと切り捨てるでしょう。
私は誰にも愛されていないのだから。
なら、せめて、最後くらい自分のために舞台を飾りましょう。
灰色の魔女の死という、極上の舞台をー
職業選択の自由~ネクロマンサーを選択した男~
新米少尉
ファンタジー
「私は私の評価を他人に委ねるつもりはありません」
多くの者達が英雄を目指す中、彼はそんなことは望んでいなかった。
ただ一つ、自ら選択した道を黙々と歩むだけを目指した。
その道が他者からは忌み嫌われるものであろうとも彼には誇りと信念があった。
彼が自ら選んだのはネクロマンサーとしての生き方。
これは職業「死霊術師」を自ら選んだ男の物語。
~他のサイトで投稿していた小説の転載です。完結済の作品ですが、若干の修正をしながらきりのよい部分で一括投稿していきますので試しに覗いていただけると嬉しく思います~
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
聖女の能力で見た予知夢を盗まれましたが、それには大事な続きがあります~幽閉聖女と黒猫~
猫子
恋愛
「王家を欺き、聖女を騙る不届き者め! 貴様との婚約を破棄する!」
聖女リアはアズル王子より、偽者の聖女として婚約破棄を言い渡され、監獄塔へと幽閉されることになってしまう。リアは国難を退けるための予言を出していたのだが、その内容は王子に盗まれ、彼の新しい婚約者である偽聖女が出したものであるとされてしまったのだ。だが、その予言には続きがあり、まだ未完成の状態であった。梯子を外されて大慌てする王子一派を他所に、リアは王国を救うためにできることはないかと監獄塔の中で思案する。
※本作は他サイト様でも掲載しております。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
婚約破棄された枯葉令嬢は、車椅子王子に溺愛される
夏海 十羽
恋愛
地味な伯爵令嬢のフィリアには美しい婚約者がいる。
第三王子のランドルフがフィリアの婚約者なのだが、ランドルフは髪と瞳が茶色のフィリアに不満を持っている。
婚約者同士の交流のために設けられたお茶会で、いつもランドルフはフィリアへの不満を罵詈雑言として浴びせている。
伯爵家が裕福だったので、王家から願われた婚約だっだのだが、フィリアの容姿が気に入らないランドルフは、隣に美しい公爵令嬢を侍らせながら言い放つのだった。
「フィリア・ポナー、貴様との汚らわしい婚約は真実の愛に敗れたのだ!今日ここで婚約を破棄する!」
ランドルフとの婚約期間中にすっかり自信を無くしてしまったフィリア。
しかし、すぐにランドルフの異母兄である第二王子と新たな婚約が結ばれる。
初めての顔合せに行くと、彼は車椅子に座っていた。
※完結まで予約投稿済みです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる