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クロエ1
夏冬の聖女の婚約破棄と追放
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「婚約破棄だ! おまえが魔女だったとはな! 我が国から追放する!」
工房へいきなり入ってきて、サイラス・オースティン王子が言った。
わたしは黒水晶を作っているところだった。夏の酷暑を吸収する魔石。
「誤解です。わたしは夏冬の聖女。魔女ではありません。国を守っているのです!」
「黒魔術を使っているではないか、クロエ・ブライアン! さっさと失せろ!」
王子は聞く耳を持たず、わたしを足蹴にした。
「きゃっ!」
サイラス王子が権力をふりかざして乱暴するのは初めてではない。殴る蹴るは常習で、女相手に関節技をきめたりもする。最悪の婚約者。ろくでなしのくそ王子だ。
わたしはブライアン公爵家の令嬢で、家の体面を守るために我慢してきたけれど、堪忍袋の緒が切れた。
オースティン王家とブライアン公爵家の絆を強くするための政略結婚。その婚約も王子の方から破棄するというのだから、非は王家の方にある。
こんな国を守るのは馬鹿らしい。わたしは王宮の一室を借りてつくった魔法工房から退去した。国外追放すると言うなら、出て行ってやる。
わたしは17歳の夏冬の聖女。3年前に母が亡くなってから役目を引き継ぎ、オースティン王国のために尽くしてきた。でも、もうこの国のことなんか知らない。
王子が泣いて後悔しても、絶対に助けてあげないんだから!
◇ ◇ ◇
3年前、母が死んだ。
ソフィア・ブライアン。公爵夫人であり、夏冬の聖女でもあった。
「わたしの宝物、クロエ。あなたの兄ワイアットはブライアン公爵家の跡継ぎとなってくれるでしょう。クロエはわたしの後継者となり、夏冬の聖女として、世界を守ってくださいね」
やさしくて責任感の強い女性だった。
母の家系は元天使エリエルの末裔。エリエルは反神的で、黒魔術にハマって堕天使になったとされている。多くの太陽教徒から忌み嫌われ、その子孫である夏冬の聖女も同様に嫌われ、魔女だと誤解されている。
でも真実は異なる。地上の支配者であると驕りたかぶり、太陽神の怒りを買って滅ぼされそうになった人類を、エリエルは季節の魔法で守ったのだ。暑すぎる夏で大地を干上がらせようとした神に抵抗し、寒すぎる冬で川と湖を凍らせようとした神に反抗した。
堕天使エリエルは人間と結婚し、その力を子孫に残した。
エリエルの力を顕現できるのは女性に限られる。それが夏冬の聖女。
聖女は代々、季節の魔法を行使して、酷暑の夏から熱を奪って黒水晶に封じ、厳寒の冬から冷気を吸って白水晶に閉じ込める役目を負っている。そのことにより大熱波と大寒波から世界を守ってきた。
太陽神はいまでも人間に嫌悪感を持っている。
エリエルの志を継いで、季節の魔法を行使する夏冬の聖女の献身で、世界は守護されているのだ。
とりわけ、聖女が住むオースティン王国の気候は温暖で、繁栄を謳歌している。
「クロエ、太陽神はいつかきっと、人間を許してくださる。そのときまで聖女は世界を守るのよ」
母がわたしに語りつづけてきた台詞だ。
「わかっているわ、お母様。でも、夏冬の聖女が誤解されて、魔女だと思われているのは我慢ならないわ」
「誰になんて思われてもいいじゃない。聖女は誇りを持って、役目を果たしつづければいいのよ。それにこのブライアン公爵領はエリエル様に同情的な土地柄。わたしはマティス・ブライアン公爵に見初めていただいて、しあわせな人生を送れている。これ以上は望まないわ」
マティス公爵はわたしのお父様だ。夏冬の聖女の本当の役目を知っている数少ない人のひとり。
王家ですら、エリエル様を異端視している。
お母様が夏冬の聖女で、わたしがその後継者であることを、オースティン王家は知らない。
ブライアン公爵家は、エリエル様が堕天する前からその加護を受けていて、この国で例外的にエリエル信仰をつづけている。
正統太陽教会から睨まれるので、父も表立ってエリエル様を崇拝することはできないが、聖女である母と結婚し、彼女が亡くなるまで保護してくださった。
母は肉体に負荷のかかる季節の魔法をずっと行使して、とうとう病気になって死んでしまった。
亡くなる前に、母はわたしに伝えた。
「エリエル様は太陽神に追われ、大氷河に封じられてしまった。でもいまでも生きていらっしゃるのよ。人間が驕りを捨て、真の信仰を取り戻したとき、エリエル様と人間は同時に救済されるでしょう。わたしの母、あなたの祖母から教えられたわ。夏冬の聖女代々の伝承なの」
14歳のわたしは、病に倒れた母のベッドの横で、その言葉を真剣に聞いていた。
「クロエ、まだ子どものあなたに聖女の重責を担わせるわたしを許してね。でもわたしはもう長くない。あなたにしかできないことなの」
「はい、お母様。わたしはしっかりと跡を継ぎます。だから安心して、天国へ行ってください」
「ごめんなさいね、クロエ。素敵な方と結婚して、次の聖女を生みなさい……」
◇ ◇ ◇
しかし、わたしの婚約者は女に暴力をふるうくそ野郎だった。
政略婚約の相手、サイラス・オースティン第一王子。
この人が王位についたら、いくら聖女ががんばっても、国が滅ぶのではないかと思うようなわがままで理不尽な乱暴者。浮気をしまくり、恋人を何人も殺した外道……。
お母様、わたしの婚約者は素敵とはほど遠い男でした。理由もなく何度も殴られました。憎むことはできても、愛するなんてとうてい無理。
婚約破棄されて、かえって胸がすっとした。
お父様、わたしはこの国から出ます。だって追放を言い渡されたのですもの。
お兄様と一緒にがんばって、なんとかブライアン公爵領を守ってください。これからこの国の夏と冬はきびしくなると思うけれど……。
国外追放だけど、外国旅行だと思えばつらくない。
わたしはとりあえず、隣国のヴァレンティン王国に向かうことにした。
一番近くにある国だからという単純な理由だ。
路銀はたっぷりとある。公爵令嬢で、破棄されたとはいえ、王子の婚約者だったわたし。宝石や金銀はたっぷりと持っている。魔力を封じた黒水晶と白水晶も鞄に入れて、わたしは王宮から立ち去った。
ヴァレンティン王国で、素敵な方に出会えるといいな。そしたらわたしはその人のために、季節の魔法をいくらでも使ってあげる。愛してくれる人がいたら、全力で尽くしたい。
そんなことを思いながら、わたしは自分の足でしっかりと歩いていった。
工房へいきなり入ってきて、サイラス・オースティン王子が言った。
わたしは黒水晶を作っているところだった。夏の酷暑を吸収する魔石。
「誤解です。わたしは夏冬の聖女。魔女ではありません。国を守っているのです!」
「黒魔術を使っているではないか、クロエ・ブライアン! さっさと失せろ!」
王子は聞く耳を持たず、わたしを足蹴にした。
「きゃっ!」
サイラス王子が権力をふりかざして乱暴するのは初めてではない。殴る蹴るは常習で、女相手に関節技をきめたりもする。最悪の婚約者。ろくでなしのくそ王子だ。
わたしはブライアン公爵家の令嬢で、家の体面を守るために我慢してきたけれど、堪忍袋の緒が切れた。
オースティン王家とブライアン公爵家の絆を強くするための政略結婚。その婚約も王子の方から破棄するというのだから、非は王家の方にある。
こんな国を守るのは馬鹿らしい。わたしは王宮の一室を借りてつくった魔法工房から退去した。国外追放すると言うなら、出て行ってやる。
わたしは17歳の夏冬の聖女。3年前に母が亡くなってから役目を引き継ぎ、オースティン王国のために尽くしてきた。でも、もうこの国のことなんか知らない。
王子が泣いて後悔しても、絶対に助けてあげないんだから!
◇ ◇ ◇
3年前、母が死んだ。
ソフィア・ブライアン。公爵夫人であり、夏冬の聖女でもあった。
「わたしの宝物、クロエ。あなたの兄ワイアットはブライアン公爵家の跡継ぎとなってくれるでしょう。クロエはわたしの後継者となり、夏冬の聖女として、世界を守ってくださいね」
やさしくて責任感の強い女性だった。
母の家系は元天使エリエルの末裔。エリエルは反神的で、黒魔術にハマって堕天使になったとされている。多くの太陽教徒から忌み嫌われ、その子孫である夏冬の聖女も同様に嫌われ、魔女だと誤解されている。
でも真実は異なる。地上の支配者であると驕りたかぶり、太陽神の怒りを買って滅ぼされそうになった人類を、エリエルは季節の魔法で守ったのだ。暑すぎる夏で大地を干上がらせようとした神に抵抗し、寒すぎる冬で川と湖を凍らせようとした神に反抗した。
堕天使エリエルは人間と結婚し、その力を子孫に残した。
エリエルの力を顕現できるのは女性に限られる。それが夏冬の聖女。
聖女は代々、季節の魔法を行使して、酷暑の夏から熱を奪って黒水晶に封じ、厳寒の冬から冷気を吸って白水晶に閉じ込める役目を負っている。そのことにより大熱波と大寒波から世界を守ってきた。
太陽神はいまでも人間に嫌悪感を持っている。
エリエルの志を継いで、季節の魔法を行使する夏冬の聖女の献身で、世界は守護されているのだ。
とりわけ、聖女が住むオースティン王国の気候は温暖で、繁栄を謳歌している。
「クロエ、太陽神はいつかきっと、人間を許してくださる。そのときまで聖女は世界を守るのよ」
母がわたしに語りつづけてきた台詞だ。
「わかっているわ、お母様。でも、夏冬の聖女が誤解されて、魔女だと思われているのは我慢ならないわ」
「誰になんて思われてもいいじゃない。聖女は誇りを持って、役目を果たしつづければいいのよ。それにこのブライアン公爵領はエリエル様に同情的な土地柄。わたしはマティス・ブライアン公爵に見初めていただいて、しあわせな人生を送れている。これ以上は望まないわ」
マティス公爵はわたしのお父様だ。夏冬の聖女の本当の役目を知っている数少ない人のひとり。
王家ですら、エリエル様を異端視している。
お母様が夏冬の聖女で、わたしがその後継者であることを、オースティン王家は知らない。
ブライアン公爵家は、エリエル様が堕天する前からその加護を受けていて、この国で例外的にエリエル信仰をつづけている。
正統太陽教会から睨まれるので、父も表立ってエリエル様を崇拝することはできないが、聖女である母と結婚し、彼女が亡くなるまで保護してくださった。
母は肉体に負荷のかかる季節の魔法をずっと行使して、とうとう病気になって死んでしまった。
亡くなる前に、母はわたしに伝えた。
「エリエル様は太陽神に追われ、大氷河に封じられてしまった。でもいまでも生きていらっしゃるのよ。人間が驕りを捨て、真の信仰を取り戻したとき、エリエル様と人間は同時に救済されるでしょう。わたしの母、あなたの祖母から教えられたわ。夏冬の聖女代々の伝承なの」
14歳のわたしは、病に倒れた母のベッドの横で、その言葉を真剣に聞いていた。
「クロエ、まだ子どものあなたに聖女の重責を担わせるわたしを許してね。でもわたしはもう長くない。あなたにしかできないことなの」
「はい、お母様。わたしはしっかりと跡を継ぎます。だから安心して、天国へ行ってください」
「ごめんなさいね、クロエ。素敵な方と結婚して、次の聖女を生みなさい……」
◇ ◇ ◇
しかし、わたしの婚約者は女に暴力をふるうくそ野郎だった。
政略婚約の相手、サイラス・オースティン第一王子。
この人が王位についたら、いくら聖女ががんばっても、国が滅ぶのではないかと思うようなわがままで理不尽な乱暴者。浮気をしまくり、恋人を何人も殺した外道……。
お母様、わたしの婚約者は素敵とはほど遠い男でした。理由もなく何度も殴られました。憎むことはできても、愛するなんてとうてい無理。
婚約破棄されて、かえって胸がすっとした。
お父様、わたしはこの国から出ます。だって追放を言い渡されたのですもの。
お兄様と一緒にがんばって、なんとかブライアン公爵領を守ってください。これからこの国の夏と冬はきびしくなると思うけれど……。
国外追放だけど、外国旅行だと思えばつらくない。
わたしはとりあえず、隣国のヴァレンティン王国に向かうことにした。
一番近くにある国だからという単純な理由だ。
路銀はたっぷりとある。公爵令嬢で、破棄されたとはいえ、王子の婚約者だったわたし。宝石や金銀はたっぷりと持っている。魔力を封じた黒水晶と白水晶も鞄に入れて、わたしは王宮から立ち去った。
ヴァレンティン王国で、素敵な方に出会えるといいな。そしたらわたしはその人のために、季節の魔法をいくらでも使ってあげる。愛してくれる人がいたら、全力で尽くしたい。
そんなことを思いながら、わたしは自分の足でしっかりと歩いていった。
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