28 / 39
夏候淵軍
しおりを挟む
魏。
中国の北部。
南部の呉、蜀よりも人口密度が高く、五十万もの常備軍を有する。
民に無理を強いれば、百万の大軍を組織することも可能かもしれない。
魏を率いるのは、政治、軍事ともにすぐれた力量を持つ曹操孟徳。詩才もある。万能の天才と言っても過言ではない。
私はその曹操を倒したいと思っている。
曹操は河北の鄴に司令部を置き、天下を睥睨している。
鄴より南にある長安、洛陽、許昌は中国南部に対する軍事拠点である。
長安は益州を攻撃するときの起点となる都市。
曹操の命により、夏候淵軍二十万が長安から出発した。
成都城内の益州刺史室で、私は龐統、魏延と対策を協議した。
「現在、益州全軍の兵力は二十四万です。各郡の守備をおろそかにすることはできません。特に南部四郡はいつ異民族の叛乱が起こるかわからず、予断を許しません。全軍をもって魏軍の迎撃はできないこと、ご考慮ください」と龐統は言った。
「文長、迎撃兵力はどうする?」と私はたずねた。
「全兵力の半数、十二万でよろしいでしょう」と魏延は答えた。
「それだけでよいのか」
「こちらは城や山など、地の利を活かすことができます。漢中郡に十二万の兵力があれば、防衛することはできましょう。予備兵力として蜀郡に五万。守備兵力として他の郡に一万ずつ。軍の配置は、これでよいと考えます」
「漢中郡に赴く将軍は誰にする?」
「漢中郡太守の趙雲大将軍、すでに漢中へ派遣している馬岱は当然、迎撃軍の将となってもらいます。さらに、自分と馬忠で指揮します」
「私もゆくぞ」
私がそう言うと、龐統が顔色を変えた。
「劉禅様は、成都城にとどまってください」
「いや、士元がいくら止めようと、私はゆく」
前世で、私は消極的な皇帝だった。今生では、積極的に生きようと決めている。
「それでは、親衛隊長の李恢も出陣させ、若君を守らせましょう。本当は、王平も連れていきたいところですが」
「王平は当分の間、獄から出すわけにはいかぬ」
「そうですね。では、総大将を若君とし、軍師は自分、その指揮下に趙雲大将軍、馬岱将軍、馬忠将軍、李恢親衛隊長という陣容にいたしましょう」
漢中郡にはすでに五万の兵がいる。
追加の兵力として、すみやかに七万の兵を成都に集結させ、南鄭へ向かって進軍した。
道中で、魏延と魏軍についてのさまざまな話をした。
「夏候淵軍の進路はわかっているのか」
「女忍隊だけでなく、新たに組織した男忍隊にも調べさせております。子午道は使っていません。夏候淵は雍州扶風郡の郿へ向かっています。その先、斜谷道を通るか、箕谷道を通るかは、まだ判明していません」
「夏候淵とは、どのような将軍なのだ?」
「夏候淵妙才。潼関の戦いなどで戦功があります。兵糧監督を任されたこともあり、迅速な行軍により奇襲を成功させたこともあるようです。経験豊かな凡庸ならざる将軍です」
「配下の将は?」
「張郃と徐晃」
「そのふたりはどんな男だ?」
「張郃は官渡の戦いで曹操軍に降伏した将軍で、以後、数々の戦いで活躍しています。先鋒、殿軍ともにこなせる名将です。いまは夏候淵軍の先鋒となって進んでいます」
「徐晃は?」
「呂布征伐以来の歴戦の将軍です。于禁、張遼、楽進、張郃らと並んで、名将と謳われております」
「なんと。三人とも、名将ではないか」
私は驚き、魏延は苦笑した。
「三人の名将に二十万の大軍。勝てるのか?」
「まずは、負けぬ戦い方をしようと考えております。魏といえども、二十万の大軍を長期間遠征させれば、国力は疲弊します。我らの補給線は短く、守備に有利です」
「私は夏候淵を討ち、曹操軍に大打撃を与えたい」
「隙があれば」
七万の兵とともに、南鄭に到着した。
漢中郡に十二万の兵が集結。
南鄭城の一室に、私、魏延、趙雲、馬岱、馬忠、李恢が集まり、早速軍議となった。
李恢は将軍ではなく、まだ将校だが、将軍に準ずる扱いをすることになっている。彼は親衛隊五千を統率している。実質的には将軍である。夏候淵との戦いで軍務をきちんとこなせば、正式な将軍に任命することになるだろう。
「魏軍は陳倉に兵糧を集め、兵站基地としています。涼州武都郡を通って、漢中郡に至る箕谷道から来ることが明らかになりました」と魏延は言った。男忍隊から得た情報で、すでに私は報告を受けている。
「敵兵はひとつにまとまっているのか、魏延殿?」と趙雲が発言した。
「二十万全軍が、陳倉におります。子午道、斜谷道に分かれた軍はありません」
「大軍をまとめて、押しに押そうということか」
「おそらく。守備をかため、遠征軍を疲弊させようと自分は考えております」
「二十万対十二万。それが常識的な判断であろうな」
趙雲が指揮をすれば、二倍の敵でも打ち払えると私は思ったが、彼は大言壮語を吐かなかった。
「箕谷道は、陽平関、定軍山を経て、南鄭に至ります。敵を陽平関で削り、定軍山で破ることができれば、上々です。馬岱殿、三万の兵を率い、陽平関に籠もってください。けっして打って出ることのないように。もし城門を破られたら、無理をせず、定軍山まで退いてください」
馬岱はうなずいた。彼は馬超の従弟で、曹操軍と戦った経験がある。
「自分は七万の兵を率い、馬忠を副将として、定軍山で布陣します」
「定軍山の麓には、私がつくった牧場がある。幼い馬や雌馬、種馬は南鄭に避難させるが、残りは騎馬として使ってよいぞ」と趙雲が言った。
「ありがたく使わせていただきます。定軍山で決戦するか、守るかは、敵情を見て対応したいと思います」
「どうやら定軍山が主戦場となるようだ。私も定軍山へゆく」
私がそう言うと、皆の顔が蒼ざめた。
「若君は、趙雲殿とともに、南鄭城にとどまってください。定軍山は戦線になります」
「だからこそゆくのだ。我が父劉備は、いくたびも戦線をくぐり抜けた。私も曹操軍の圧力を最前線で感じたい」
「若君、我らはもう、流浪の軍ではありません。蜀の正規軍なのです。総大将が、好んで危険に身を投じることはありません」と趙雲に諫められた。
それでも私は首を振った。
「私は曹操に勝とうと思っているのだ。夏候淵も倒せないようなら、それまでの運命でしかなかったということ」
「ううむ。それでは、私も定軍山へ行きます。馬忠、南鄭城はおまえに任せる」と趙雲は言った。
「えっ、僕が南鄭にとどまるのですか」
「魏延殿、若君が出陣されるというなら、私も同行する。よいな」
「わかりました。李恢、おまえも定軍山へ行き、若君を守れ」
「命にかえても、劉禅様を守り抜きます」
馬岱は陽平関へ向かった。
私と魏延、趙雲、李恢は定軍山へ。
夏候淵軍が箕谷道を通り、陽平関に向かっているという情報が入ってきた。
中国の北部。
南部の呉、蜀よりも人口密度が高く、五十万もの常備軍を有する。
民に無理を強いれば、百万の大軍を組織することも可能かもしれない。
魏を率いるのは、政治、軍事ともにすぐれた力量を持つ曹操孟徳。詩才もある。万能の天才と言っても過言ではない。
私はその曹操を倒したいと思っている。
曹操は河北の鄴に司令部を置き、天下を睥睨している。
鄴より南にある長安、洛陽、許昌は中国南部に対する軍事拠点である。
長安は益州を攻撃するときの起点となる都市。
曹操の命により、夏候淵軍二十万が長安から出発した。
成都城内の益州刺史室で、私は龐統、魏延と対策を協議した。
「現在、益州全軍の兵力は二十四万です。各郡の守備をおろそかにすることはできません。特に南部四郡はいつ異民族の叛乱が起こるかわからず、予断を許しません。全軍をもって魏軍の迎撃はできないこと、ご考慮ください」と龐統は言った。
「文長、迎撃兵力はどうする?」と私はたずねた。
「全兵力の半数、十二万でよろしいでしょう」と魏延は答えた。
「それだけでよいのか」
「こちらは城や山など、地の利を活かすことができます。漢中郡に十二万の兵力があれば、防衛することはできましょう。予備兵力として蜀郡に五万。守備兵力として他の郡に一万ずつ。軍の配置は、これでよいと考えます」
「漢中郡に赴く将軍は誰にする?」
「漢中郡太守の趙雲大将軍、すでに漢中へ派遣している馬岱は当然、迎撃軍の将となってもらいます。さらに、自分と馬忠で指揮します」
「私もゆくぞ」
私がそう言うと、龐統が顔色を変えた。
「劉禅様は、成都城にとどまってください」
「いや、士元がいくら止めようと、私はゆく」
前世で、私は消極的な皇帝だった。今生では、積極的に生きようと決めている。
「それでは、親衛隊長の李恢も出陣させ、若君を守らせましょう。本当は、王平も連れていきたいところですが」
「王平は当分の間、獄から出すわけにはいかぬ」
「そうですね。では、総大将を若君とし、軍師は自分、その指揮下に趙雲大将軍、馬岱将軍、馬忠将軍、李恢親衛隊長という陣容にいたしましょう」
漢中郡にはすでに五万の兵がいる。
追加の兵力として、すみやかに七万の兵を成都に集結させ、南鄭へ向かって進軍した。
道中で、魏延と魏軍についてのさまざまな話をした。
「夏候淵軍の進路はわかっているのか」
「女忍隊だけでなく、新たに組織した男忍隊にも調べさせております。子午道は使っていません。夏候淵は雍州扶風郡の郿へ向かっています。その先、斜谷道を通るか、箕谷道を通るかは、まだ判明していません」
「夏候淵とは、どのような将軍なのだ?」
「夏候淵妙才。潼関の戦いなどで戦功があります。兵糧監督を任されたこともあり、迅速な行軍により奇襲を成功させたこともあるようです。経験豊かな凡庸ならざる将軍です」
「配下の将は?」
「張郃と徐晃」
「そのふたりはどんな男だ?」
「張郃は官渡の戦いで曹操軍に降伏した将軍で、以後、数々の戦いで活躍しています。先鋒、殿軍ともにこなせる名将です。いまは夏候淵軍の先鋒となって進んでいます」
「徐晃は?」
「呂布征伐以来の歴戦の将軍です。于禁、張遼、楽進、張郃らと並んで、名将と謳われております」
「なんと。三人とも、名将ではないか」
私は驚き、魏延は苦笑した。
「三人の名将に二十万の大軍。勝てるのか?」
「まずは、負けぬ戦い方をしようと考えております。魏といえども、二十万の大軍を長期間遠征させれば、国力は疲弊します。我らの補給線は短く、守備に有利です」
「私は夏候淵を討ち、曹操軍に大打撃を与えたい」
「隙があれば」
七万の兵とともに、南鄭に到着した。
漢中郡に十二万の兵が集結。
南鄭城の一室に、私、魏延、趙雲、馬岱、馬忠、李恢が集まり、早速軍議となった。
李恢は将軍ではなく、まだ将校だが、将軍に準ずる扱いをすることになっている。彼は親衛隊五千を統率している。実質的には将軍である。夏候淵との戦いで軍務をきちんとこなせば、正式な将軍に任命することになるだろう。
「魏軍は陳倉に兵糧を集め、兵站基地としています。涼州武都郡を通って、漢中郡に至る箕谷道から来ることが明らかになりました」と魏延は言った。男忍隊から得た情報で、すでに私は報告を受けている。
「敵兵はひとつにまとまっているのか、魏延殿?」と趙雲が発言した。
「二十万全軍が、陳倉におります。子午道、斜谷道に分かれた軍はありません」
「大軍をまとめて、押しに押そうということか」
「おそらく。守備をかため、遠征軍を疲弊させようと自分は考えております」
「二十万対十二万。それが常識的な判断であろうな」
趙雲が指揮をすれば、二倍の敵でも打ち払えると私は思ったが、彼は大言壮語を吐かなかった。
「箕谷道は、陽平関、定軍山を経て、南鄭に至ります。敵を陽平関で削り、定軍山で破ることができれば、上々です。馬岱殿、三万の兵を率い、陽平関に籠もってください。けっして打って出ることのないように。もし城門を破られたら、無理をせず、定軍山まで退いてください」
馬岱はうなずいた。彼は馬超の従弟で、曹操軍と戦った経験がある。
「自分は七万の兵を率い、馬忠を副将として、定軍山で布陣します」
「定軍山の麓には、私がつくった牧場がある。幼い馬や雌馬、種馬は南鄭に避難させるが、残りは騎馬として使ってよいぞ」と趙雲が言った。
「ありがたく使わせていただきます。定軍山で決戦するか、守るかは、敵情を見て対応したいと思います」
「どうやら定軍山が主戦場となるようだ。私も定軍山へゆく」
私がそう言うと、皆の顔が蒼ざめた。
「若君は、趙雲殿とともに、南鄭城にとどまってください。定軍山は戦線になります」
「だからこそゆくのだ。我が父劉備は、いくたびも戦線をくぐり抜けた。私も曹操軍の圧力を最前線で感じたい」
「若君、我らはもう、流浪の軍ではありません。蜀の正規軍なのです。総大将が、好んで危険に身を投じることはありません」と趙雲に諫められた。
それでも私は首を振った。
「私は曹操に勝とうと思っているのだ。夏候淵も倒せないようなら、それまでの運命でしかなかったということ」
「ううむ。それでは、私も定軍山へ行きます。馬忠、南鄭城はおまえに任せる」と趙雲は言った。
「えっ、僕が南鄭にとどまるのですか」
「魏延殿、若君が出陣されるというなら、私も同行する。よいな」
「わかりました。李恢、おまえも定軍山へ行き、若君を守れ」
「命にかえても、劉禅様を守り抜きます」
馬岱は陽平関へ向かった。
私と魏延、趙雲、李恢は定軍山へ。
夏候淵軍が箕谷道を通り、陽平関に向かっているという情報が入ってきた。
1
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

無敵の人あらば敵百万と雖も恐るるに足らず
みらいつりびと
歴史・時代
楚軍は垓下城に追いつめられていた。
四面から楚歌が湧き上がり、羽将軍は絶望し、弱気な詩を読んだ。
力拔山兮 氣蓋世
時不利兮 騅不逝
騅不逝兮 可奈何
虞兮虞兮 奈若何
「無敵の人あらば敵百万と雖も恐るるに足らず」とわたしは言った。
虞美人偽史。
三国志 群像譚 ~瞳の奥の天地~ 家族愛の三国志大河
墨笑
歴史・時代
『家族愛と人の心』『個性と社会性』をテーマにした三国志の大河小説です。
三国志を知らない方も楽しんでいただけるよう意識して書きました。
全体の文量はかなり多いのですが、半分以上は様々な人物を中心にした短編・中編の集まりです。
本編がちょっと長いので、お試しで読まれる方は後ろの方の短編・中編から読んでいただいても良いと思います。
おすすめは『小覇王の暗殺者(ep.216)』『呂布の娘の嫁入り噺(ep.239)』『段煨(ep.285)』あたりです。
本編では蜀において諸葛亮孔明に次ぐ官職を務めた許靖という人物を取り上げています。
戦乱に翻弄され、中国各地を放浪する波乱万丈の人生を送りました。
歴史ものとはいえ軽めに書いていますので、歴史が苦手、三国志を知らないという方でもぜひお気軽にお読みください。
※人名が分かりづらくなるのを避けるため、アザナは一切使わないことにしました。ご了承ください。
※切りのいい時には完結設定になっていますが、三国志小説の執筆は私のライフワークです。生きている限り話を追加し続けていくつもりですので、ブックマークしておいていただけると幸いです。
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
平隊士の日々
china01
歴史・時代
新選組に本当に居た平隊士、松崎静馬が書いただろうな日記で
事実と思われる内容で平隊士の日常を描いています
また、多くの平隊士も登場します
ただし、局長や副長はほんの少し、井上組長が多いかな
AIシミュレーション歴史小説『瑞華夢幻録』- 華麗なる夢幻の系譜 -
静風
歴史・時代
この物語は、ChatGPTで仮想空間Xを形成し、更にパラレルワールドを形成したAIシミュレーション歴史小説です。
【詳細ページ】
https://note.com/mbbs/n/ncb1a722b27fd
基本的にAIと著者との共創ですが、AIの出力を上手く引出そうと工夫しています。
以下は、AIによる「あらすじ」の出力です。
【あらすじ】
この物語は、戦国時代の日本を舞台に、織田信長と彼に仕えた数々の武将たちの壮大な物語を描いています。信長は野望を胸に秘め、天下統一を目指し勇猛果敢に戦い、国を統一するための道を歩んでいきます。
明智光秀や羽柴秀吉、黒田官兵衛など、信長に協力する強力な部下たちとの絆や葛藤、そして敵対する勢力との戦いが繰り広げられます。彼らはそれぞれの個性や戦略を持ち、信長の野望を支えながら自身の野心や信念を追い求めます。
また、物語は細川忠興や小早川隆景、真田昌幸や伊達政宗、徳川家康など、他の武将たちの活躍も描かれます。彼らの命運や人間関係、武勇と政略の交錯が繊細に描かれ、時には血なまぐさい戦いや感動的な友情、家族の絆などが描かれます。
信長の野望の果てには、国を統一するという大きな目標がありますが、その道のりには数々の試練や困難が待ち受けています。戦いの中で織り成される絆や裏切り、政治や外交の駆け引き、そして歴史の流れに乗る個々の運命が交錯しながら、物語は進んでいきます。
瑞華夢幻録は、戦国時代のダイナミックな舞台と、豪華なキャストが織り成すドラマチックな物語であり、武将たちの魂の闘いと成長、そして人間の尊厳と栄光が描かれています。一つの時代の終わりと新たな時代の始まりを背景に、信長と彼を取り巻く人々の情熱と野心、そして絆の物語が紡がれていきます。

曹操桜【曹操孟徳の伝記 彼はなぜ天下を統一できなかったのか】
みらいつりびと
歴史・時代
赤壁の戦いには謎があります。
曹操軍は、周瑜率いる孫権軍の火攻めにより、大敗北を喫したとされています。
しかし、曹操はおろか、主な武将は誰も死んでいません。どうして?
これを解き明かす新釈三国志をめざして、筆を執りました。
曹操の徐州大虐殺、官渡の捕虜虐殺についても考察します。
劉備は流浪しつづけたのに、なぜ関羽と張飛は離れなかったのか。
呂布と孫堅はどちらの方が強かったのか。
荀彧、荀攸、陳宮、程昱、郭嘉、賈詡、司馬懿はどのような軍師だったのか。
そんな謎について考えながら描いた物語です。
主人公は曹操孟徳。全46話。
富嶽を駆けよ
有馬桓次郎
歴史・時代
★☆★ 第10回歴史・時代小説大賞〈あの時代の名脇役賞〉受賞作 ★☆★
https://www.alphapolis.co.jp/prize/result/853000200
天保三年。
尾張藩江戸屋敷の奥女中を勤めていた辰は、身長五尺七寸の大女。
嫁入りが決まって奉公も明けていたが、女人禁足の山・富士の山頂に立つという夢のため、養父と衝突しつつもなお深川で一人暮らしを続けている。
許婚の万次郎の口利きで富士講の大先達・小谷三志と面会した辰は、小谷翁の手引きで遂に富士山への登拝を決行する。
しかし人目を避けるために選ばれたその日程は、閉山から一ヶ月が経った長月二十六日。人跡の絶えた富士山は、五合目から上が完全に真冬となっていた。
逆巻く暴風、身を切る寒気、そして高山病……数多の試練を乗り越え、無事に富士山頂へ辿りつくことができた辰であったが──。
江戸後期、史上初の富士山女性登頂者「高山たつ」の挑戦を描く冒険記。
【短編】輿上(よじょう)の敵 ~ 私本 桶狭間 ~
四谷軒
歴史・時代
【あらすじ】
今川義元の大軍が尾張に迫る中、織田信長の家臣、簗田政綱は、輿(こし)が来るのを待ち構えていた。幕府により、尾張において輿に乗れるは斯波家の斯波義銀。かつて、信長が傀儡の国主として推戴していた男である。義元は、義銀を御輿にして、尾張の支配を目論んでいた。義銀を討ち、義元を止めるよう策す信長。が、義元が落馬し、義銀の輿に乗って進軍。それを知った信長は、義銀ではなく、輿上の敵・義元を討つべく出陣する。
【表紙画像】
English: Kano Soshu (1551-1601)日本語: 狩野元秀(1551〜1601年), Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる