15 / 39
益州攻略開始
しおりを挟む
女忍隊が天下の情報を南鄭城に集めてくれている。
曹操軍は涼州で叛乱を起こした馬超や韓遂の軍と戦っている。
孫権軍は北伐に出て、揚州九江郡の合肥を攻めている。
魏軍は涼州と合肥の二方面で戦線を抱え、荊州や益州に軍旅を出す余力はない。
私が劉璋軍と戦う機は熟していた。
劉璋から手紙が届いた。
劉禅殿、漢中郡を平定してくれたこと、ありがたいと思っている。
しかし、戦は終わったので、貸し与えた法正と孟達、そして一万の兵を返していただきたい。
また、できるだけすみやかに荊州へ帰り、漢中郡を明け渡してもらいたい。
益州全土はこの劉璋のものである。
報酬は金銭でお支払いする。
以上、お願い申し上げる。
私はこの手紙を魏延、法正、孟達に見せた。
「あはははは、笑止千万です。劉璋様は劉禅様が血を流して獲った漢中郡を、金銭で買うと言っておられる。この漢中は劉禅様のものです。劉璋様は乱世を知らぬとしか言いようがありません」と孟達は嗤った。
法正は黙って首を振った。
「この要求は無視しましょう。荊州へ帰れと書かれたこと、ある種の宣戦布告と見ることもできます。やや強引ですが、劉璋様には乱世を生きる資格なしとして、益州を攻める口実といたしましょう」と魏延は言った。
「そうですね。父からも成都へゆけと命じられました。そろそろ、益州を攻める頃合いでしょう。法正、孟達、ご苦労さまでした」
私はふたりを去らせ、魏延だけを残した。
「文長、どのような指揮官と兵力で、益州を攻めますか。この漢中郡にも、守備を残しておかなければなりません」
「黄忠将軍ははずせませんね。あの方は、戦を求めてここに来られました」
「そうです。兵の調練も苛烈と思えるほどにやっておられる。黄忠には戦場に出てもらうしかありません」
「益州の地理に詳しい法正殿と孟達殿にも出陣してもらいたいですね」
「新参の王平にも活躍の場を与えたいと思っています」
「わかりました。それでは、劉禅様と自分、黄忠殿、法正殿、孟達殿、王平殿で益州を攻めましょう。張飛殿、趙雲殿、龐統殿を漢中に残せば、ここが乱れることはありますまい」
「漢中軍の兵力はどう分けますか。攻撃と守備」
漢中郡に駐屯する兵力は現在、八万になっていた。この兵力を維持できているのは、龐統と法正の内治の成功のおかげである。
「遠征兵力は半分ですね。四万の軍で攻めましょう」
「益州は豊かです。四万で勝てるでしょうか」
「劉禅軍は強く、劉璋軍は弱い。そう信じて戦うしかありません」
「油断大敵ですよ、文長。特に広漢郡の雒城と蜀郡の成都城は堅城です」
雒城は前世で龐統が戦死した地である。
「油断はしません。敵の準備が整っていないうちに、雷撃的に攻撃します。劉璋軍の迎撃態勢が整った後は、じっくりと腰を据えて、戦うことにいたします」
「わかりました。それでは幹部を集め、軍議を開催しましょう。魏延、説明は任せますよ」
私は劉禅軍の幹部を招集した。
武将は張飛、趙雲、黄忠、孟達、王平で、文官は龐統、法正である。
「劉璋様は弱腰で、魏と戦うことはできない人です。私は曹操を倒したい。そのための地盤として、益州を得る必要があります。劉璋軍と戦います。これは、父からの命令でもあります」と私は言った。
「戦略の説明は、軍師の魏延に任せます」
魏延が立った。
「四万の兵力で、雷撃的に成都へ進出します。劉璋軍には戦への備えはなく、うまくやれば、一気に成都城を落とすことができると考えております」
「それは楽観的すぎるのではないですか、文長」と龐統が言った。
「そうですね。敵の迎撃態勢が整ったら、そううまくはいかないでしょう。そのときは、臨機応変に戦います。孫氏は、兵をあらわすの極みは、無形に至る、と書いています。敵の態勢に無限に対応して戦います。必要があれば、漢中か荊州に援軍を乞います」
「それがわかっているのなら、いいのです」
「魏延、遠征軍の陣容を教えてくれ。俺は、先鋒でいいぞ」と張飛が言った。
魏延は苦笑した。
「先鋒は、黄忠将軍にお願いします。歩兵一万を率いてもらいます」
「なにっ、俺は先鋒ではないのか。老将の黄忠殿には、荷が重いのではないか」
「なにを言われる、張飛殿。わしは一騎討ちでも、おぬしに負けはせぬぞ」
「黄忠殿、大言はせぬ方がよいぞ。俺の蛇矛の一撃で、あなたの首は胴から離れるであろう」
張飛と黄忠が睨み合った。
「張飛、今回はあなたには留守を命じます。漢中郡を守るために、張飛の魏軍への睨みが必要なのです」
「若君、俺が留守だと言われたのか」
「そうです。漢中を守ってください。これは命令です」
張飛の口から、魂が抜け出たように見えた。
「なんてこった。この俺が守備役とは……」
「張飛だけではありません。趙雲、龐統にも漢中守備を命じます。それだけ、漢中郡の守りは重要なのです」と私は言った。
趙雲と龐統は黙ってうなずいた。
「孟達殿、騎兵五千を率いてください。よい機会を見つけたら、敵兵を切り裂いてください」と魏延が言った。
「この私に騎兵将軍を任せてくださるのですか。必ず、武功を立ててみせます」
私は「よろしく頼みますよ、孟達」と言った。彼はいつか裏切る可能性があるが、きちんと使えば役に立つ男だ。処遇をまちがわなければ、私に生涯忠実でいてくれるかもしれない。総大将は、清濁あわせ飲まなければならないものであろう。
「中軍の歩兵二万は、自分が率います」
「魏延殿、軍師は若君のそばにいるべきではないのか」と趙雲が言った。
「益州攻略戦は、楽な戦いとはならないでしょう。自分は軍師であるとともに、将軍として前線にも立ちます」
「そうか。では、懸命に戦われよ」
「はい」
「法正殿は兵站を担ってください。南鄭城にとどまる龐統殿とよく連絡を取り合ってください」
「承知しました」
「王平殿には、親衛隊長をお願いします。兵は五千名です。劉禅様を守ってください」
「私がそんな大役を……」
王平は驚き、絶句した。
「頼みますよ、王平」
私がにこりと微笑むと、「命にかえてもお守りいたします」と王平は言った。
彼は任務に忠実な男だ。本当に命がけで私を守ってくれるだろう。
「私が留守の間の漢中郡の総指揮は、龐統に任せます。張飛、趙雲は龐統を輔弼してください」
建安十八年春、劉禅軍四万は、南鄭城から出陣した。
黄忠は溌剌として、先頭を歩いていた。
彼が死に急いでいるようで、心配だった。
曹操軍は涼州で叛乱を起こした馬超や韓遂の軍と戦っている。
孫権軍は北伐に出て、揚州九江郡の合肥を攻めている。
魏軍は涼州と合肥の二方面で戦線を抱え、荊州や益州に軍旅を出す余力はない。
私が劉璋軍と戦う機は熟していた。
劉璋から手紙が届いた。
劉禅殿、漢中郡を平定してくれたこと、ありがたいと思っている。
しかし、戦は終わったので、貸し与えた法正と孟達、そして一万の兵を返していただきたい。
また、できるだけすみやかに荊州へ帰り、漢中郡を明け渡してもらいたい。
益州全土はこの劉璋のものである。
報酬は金銭でお支払いする。
以上、お願い申し上げる。
私はこの手紙を魏延、法正、孟達に見せた。
「あはははは、笑止千万です。劉璋様は劉禅様が血を流して獲った漢中郡を、金銭で買うと言っておられる。この漢中は劉禅様のものです。劉璋様は乱世を知らぬとしか言いようがありません」と孟達は嗤った。
法正は黙って首を振った。
「この要求は無視しましょう。荊州へ帰れと書かれたこと、ある種の宣戦布告と見ることもできます。やや強引ですが、劉璋様には乱世を生きる資格なしとして、益州を攻める口実といたしましょう」と魏延は言った。
「そうですね。父からも成都へゆけと命じられました。そろそろ、益州を攻める頃合いでしょう。法正、孟達、ご苦労さまでした」
私はふたりを去らせ、魏延だけを残した。
「文長、どのような指揮官と兵力で、益州を攻めますか。この漢中郡にも、守備を残しておかなければなりません」
「黄忠将軍ははずせませんね。あの方は、戦を求めてここに来られました」
「そうです。兵の調練も苛烈と思えるほどにやっておられる。黄忠には戦場に出てもらうしかありません」
「益州の地理に詳しい法正殿と孟達殿にも出陣してもらいたいですね」
「新参の王平にも活躍の場を与えたいと思っています」
「わかりました。それでは、劉禅様と自分、黄忠殿、法正殿、孟達殿、王平殿で益州を攻めましょう。張飛殿、趙雲殿、龐統殿を漢中に残せば、ここが乱れることはありますまい」
「漢中軍の兵力はどう分けますか。攻撃と守備」
漢中郡に駐屯する兵力は現在、八万になっていた。この兵力を維持できているのは、龐統と法正の内治の成功のおかげである。
「遠征兵力は半分ですね。四万の軍で攻めましょう」
「益州は豊かです。四万で勝てるでしょうか」
「劉禅軍は強く、劉璋軍は弱い。そう信じて戦うしかありません」
「油断大敵ですよ、文長。特に広漢郡の雒城と蜀郡の成都城は堅城です」
雒城は前世で龐統が戦死した地である。
「油断はしません。敵の準備が整っていないうちに、雷撃的に攻撃します。劉璋軍の迎撃態勢が整った後は、じっくりと腰を据えて、戦うことにいたします」
「わかりました。それでは幹部を集め、軍議を開催しましょう。魏延、説明は任せますよ」
私は劉禅軍の幹部を招集した。
武将は張飛、趙雲、黄忠、孟達、王平で、文官は龐統、法正である。
「劉璋様は弱腰で、魏と戦うことはできない人です。私は曹操を倒したい。そのための地盤として、益州を得る必要があります。劉璋軍と戦います。これは、父からの命令でもあります」と私は言った。
「戦略の説明は、軍師の魏延に任せます」
魏延が立った。
「四万の兵力で、雷撃的に成都へ進出します。劉璋軍には戦への備えはなく、うまくやれば、一気に成都城を落とすことができると考えております」
「それは楽観的すぎるのではないですか、文長」と龐統が言った。
「そうですね。敵の迎撃態勢が整ったら、そううまくはいかないでしょう。そのときは、臨機応変に戦います。孫氏は、兵をあらわすの極みは、無形に至る、と書いています。敵の態勢に無限に対応して戦います。必要があれば、漢中か荊州に援軍を乞います」
「それがわかっているのなら、いいのです」
「魏延、遠征軍の陣容を教えてくれ。俺は、先鋒でいいぞ」と張飛が言った。
魏延は苦笑した。
「先鋒は、黄忠将軍にお願いします。歩兵一万を率いてもらいます」
「なにっ、俺は先鋒ではないのか。老将の黄忠殿には、荷が重いのではないか」
「なにを言われる、張飛殿。わしは一騎討ちでも、おぬしに負けはせぬぞ」
「黄忠殿、大言はせぬ方がよいぞ。俺の蛇矛の一撃で、あなたの首は胴から離れるであろう」
張飛と黄忠が睨み合った。
「張飛、今回はあなたには留守を命じます。漢中郡を守るために、張飛の魏軍への睨みが必要なのです」
「若君、俺が留守だと言われたのか」
「そうです。漢中を守ってください。これは命令です」
張飛の口から、魂が抜け出たように見えた。
「なんてこった。この俺が守備役とは……」
「張飛だけではありません。趙雲、龐統にも漢中守備を命じます。それだけ、漢中郡の守りは重要なのです」と私は言った。
趙雲と龐統は黙ってうなずいた。
「孟達殿、騎兵五千を率いてください。よい機会を見つけたら、敵兵を切り裂いてください」と魏延が言った。
「この私に騎兵将軍を任せてくださるのですか。必ず、武功を立ててみせます」
私は「よろしく頼みますよ、孟達」と言った。彼はいつか裏切る可能性があるが、きちんと使えば役に立つ男だ。処遇をまちがわなければ、私に生涯忠実でいてくれるかもしれない。総大将は、清濁あわせ飲まなければならないものであろう。
「中軍の歩兵二万は、自分が率います」
「魏延殿、軍師は若君のそばにいるべきではないのか」と趙雲が言った。
「益州攻略戦は、楽な戦いとはならないでしょう。自分は軍師であるとともに、将軍として前線にも立ちます」
「そうか。では、懸命に戦われよ」
「はい」
「法正殿は兵站を担ってください。南鄭城にとどまる龐統殿とよく連絡を取り合ってください」
「承知しました」
「王平殿には、親衛隊長をお願いします。兵は五千名です。劉禅様を守ってください」
「私がそんな大役を……」
王平は驚き、絶句した。
「頼みますよ、王平」
私がにこりと微笑むと、「命にかえてもお守りいたします」と王平は言った。
彼は任務に忠実な男だ。本当に命がけで私を守ってくれるだろう。
「私が留守の間の漢中郡の総指揮は、龐統に任せます。張飛、趙雲は龐統を輔弼してください」
建安十八年春、劉禅軍四万は、南鄭城から出陣した。
黄忠は溌剌として、先頭を歩いていた。
彼が死に急いでいるようで、心配だった。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
天竜川で逢いましょう 起きたら関ヶ原の戦い直前の石田三成になっていた 。そもそも現代人が生首とか無理なので平和な世の中を作ろうと思います。
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!?
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三国志 群像譚 ~瞳の奥の天地~ 家族愛の三国志大河
墨笑
歴史・時代
『家族愛と人の心』『個性と社会性』をテーマにした三国志の大河小説です。
三国志を知らない方も楽しんでいただけるよう意識して書きました。
全体の文量はかなり多いのですが、半分以上は様々な人物を中心にした短編・中編の集まりです。
本編がちょっと長いので、お試しで読まれる方は後ろの方の短編・中編から読んでいただいても良いと思います。
おすすめは『小覇王の暗殺者(ep.216)』『呂布の娘の嫁入り噺(ep.239)』『段煨(ep.285)』あたりです。
本編では蜀において諸葛亮孔明に次ぐ官職を務めた許靖という人物を取り上げています。
戦乱に翻弄され、中国各地を放浪する波乱万丈の人生を送りました。
歴史ものとはいえ軽めに書いていますので、歴史が苦手、三国志を知らないという方でもぜひお気軽にお読みください。
※人名が分かりづらくなるのを避けるため、アザナは一切使わないことにしました。ご了承ください。
※切りのいい時には完結設定になっていますが、三国志小説の執筆は私のライフワークです。生きている限り話を追加し続けていくつもりですので、ブックマークしておいていただけると幸いです。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる