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 ライブが成功した……。
 その日の夜、みらいは夢見心地だった。
 わたしが人前で歌い、友だちが演奏し、大勢の人が喜んでくれて、拍手までしてくれた。
 ものすごく気持ちよかった。
 うれしかった。
 ライブをするのはずっと怖かったし、いまもまだ怖いけれど、もうそれだけじゃない。
 またやりたい……。
 もっと若草物語のライブをやりたい……!
 みらいはくり返しそう思い、眠りについた。
 樹子は満足していた。
 未来人が人前で歌声を披露した。大きな壁を突破した。
 本当によかった。
 これから、もっとたくさんのゲリラライブをやる。
 メジャーデビューはきっと遥かに遠いし、できるのかどうかわからない。
 でも、高みをめざして、いけるところまで行ってやる……!
 樹子は手応えを噛みしめていた。
 あっ、初ライブをラジカセで録音しておけばよかった、とも思ったが、それは後の祭りだった。
 ヨイチは祖父母に今日の出来事を話していた。
「未来人がうまく歌えてよかったよ。あいつ、やるときはやるやつだ。楽しかったよ」
「それはよかったのう。ライブというのは、演奏会のことだろう?」
「うん。まあ演奏会だな」
「わしも聴きたかったな」
「あたしも聴きたかったよ」
「いつか機会があると思うよ。おれたちはこれからも活動をつづけるからさ!」
 ヨイチはにっと笑い、祖父母も笑顔だった。
 良彦はライブを回想していた。
 楽しかったな。
 樹子、ヨイチ、みらいちゃんは本当に凄い。プロになれるかもしれない。
 でも僕は、少しベースが弾けるだけの平凡な人間だ。
 音楽で食べていくつもりはない。
 まあいい、しばらくは若草物語で遊んでいよう……。
「お兄ちゃん、何ぼーっとしてるの?」と妹のひまわりが言った。
「なんでもないよ」と良彦は答えた。
 すみれは興奮していた。
 人から注目されて、拍手喝采を浴びるって、気持ちいい!
 もっと注目されたい! 
 有名になりたい!
 若草物語がもっと成功すればいい!
 今日はその第1歩だ! 
 すみれはスターになりたかった。
 みらいちゃんよりも、園田さんよりも、注目されたい。
 いまはまだ脇役でもいい。
 いつかきっと、もっと注目されるチャンスがあるはずだ……!
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