59 / 66
夜
しおりを挟む
ライブが成功した……。
その日の夜、みらいは夢見心地だった。
わたしが人前で歌い、友だちが演奏し、大勢の人が喜んでくれて、拍手までしてくれた。
ものすごく気持ちよかった。
うれしかった。
ライブをするのはずっと怖かったし、いまもまだ怖いけれど、もうそれだけじゃない。
またやりたい……。
もっと若草物語のライブをやりたい……!
みらいはくり返しそう思い、眠りについた。
樹子は満足していた。
未来人が人前で歌声を披露した。大きな壁を突破した。
本当によかった。
これから、もっとたくさんのゲリラライブをやる。
メジャーデビューはきっと遥かに遠いし、できるのかどうかわからない。
でも、高みをめざして、いけるところまで行ってやる……!
樹子は手応えを噛みしめていた。
あっ、初ライブをラジカセで録音しておけばよかった、とも思ったが、それは後の祭りだった。
ヨイチは祖父母に今日の出来事を話していた。
「未来人がうまく歌えてよかったよ。あいつ、やるときはやるやつだ。楽しかったよ」
「それはよかったのう。ライブというのは、演奏会のことだろう?」
「うん。まあ演奏会だな」
「わしも聴きたかったな」
「あたしも聴きたかったよ」
「いつか機会があると思うよ。おれたちはこれからも活動をつづけるからさ!」
ヨイチはにっと笑い、祖父母も笑顔だった。
良彦はライブを回想していた。
楽しかったな。
樹子、ヨイチ、みらいちゃんは本当に凄い。プロになれるかもしれない。
でも僕は、少しベースが弾けるだけの平凡な人間だ。
音楽で食べていくつもりはない。
まあいい、しばらくは若草物語で遊んでいよう……。
「お兄ちゃん、何ぼーっとしてるの?」と妹のひまわりが言った。
「なんでもないよ」と良彦は答えた。
すみれは興奮していた。
人から注目されて、拍手喝采を浴びるって、気持ちいい!
もっと注目されたい!
有名になりたい!
若草物語がもっと成功すればいい!
今日はその第1歩だ!
すみれはスターになりたかった。
みらいちゃんよりも、園田さんよりも、注目されたい。
いまはまだ脇役でもいい。
いつかきっと、もっと注目されるチャンスがあるはずだ……!
その日の夜、みらいは夢見心地だった。
わたしが人前で歌い、友だちが演奏し、大勢の人が喜んでくれて、拍手までしてくれた。
ものすごく気持ちよかった。
うれしかった。
ライブをするのはずっと怖かったし、いまもまだ怖いけれど、もうそれだけじゃない。
またやりたい……。
もっと若草物語のライブをやりたい……!
みらいはくり返しそう思い、眠りについた。
樹子は満足していた。
未来人が人前で歌声を披露した。大きな壁を突破した。
本当によかった。
これから、もっとたくさんのゲリラライブをやる。
メジャーデビューはきっと遥かに遠いし、できるのかどうかわからない。
でも、高みをめざして、いけるところまで行ってやる……!
樹子は手応えを噛みしめていた。
あっ、初ライブをラジカセで録音しておけばよかった、とも思ったが、それは後の祭りだった。
ヨイチは祖父母に今日の出来事を話していた。
「未来人がうまく歌えてよかったよ。あいつ、やるときはやるやつだ。楽しかったよ」
「それはよかったのう。ライブというのは、演奏会のことだろう?」
「うん。まあ演奏会だな」
「わしも聴きたかったな」
「あたしも聴きたかったよ」
「いつか機会があると思うよ。おれたちはこれからも活動をつづけるからさ!」
ヨイチはにっと笑い、祖父母も笑顔だった。
良彦はライブを回想していた。
楽しかったな。
樹子、ヨイチ、みらいちゃんは本当に凄い。プロになれるかもしれない。
でも僕は、少しベースが弾けるだけの平凡な人間だ。
音楽で食べていくつもりはない。
まあいい、しばらくは若草物語で遊んでいよう……。
「お兄ちゃん、何ぼーっとしてるの?」と妹のひまわりが言った。
「なんでもないよ」と良彦は答えた。
すみれは興奮していた。
人から注目されて、拍手喝采を浴びるって、気持ちいい!
もっと注目されたい!
有名になりたい!
若草物語がもっと成功すればいい!
今日はその第1歩だ!
すみれはスターになりたかった。
みらいちゃんよりも、園田さんよりも、注目されたい。
いまはまだ脇役でもいい。
いつかきっと、もっと注目されるチャンスがあるはずだ……!
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
京都式神様のおでん屋さん 弐
西門 檀
キャラ文芸
路地の奥にある『おでん料理 結(むすび)』ではイケメン二体(式神)と看板猫がお出迎えします。
今夜の『予約席』にはどんなお客様が来られるのか。乞うご期待。
平安時代の陰陽師・安倍晴明が生前、未来を案じ2体の思業式神(木陰と日向)をこの世に残した。転生した白猫姿の安倍晴明が式神たちと令和にお送りする、心温まるストーリー。
※一巻は第六回キャラクター文芸賞、
奨励賞を受賞し、2024年2月15日に刊行されました。皆様のおかげです、ありがとうございます✨😊
エンジニア(精製士)の憂鬱
蒼衣翼
キャラ文芸
「俺の夢は人を感動させることの出来るおもちゃを作ること」そう豪語する木村隆志(きむらたかし)26才。
彼は現在中堅家電メーカーに務めるサラリーマンだ。
しかして、その血統は、人類救世のために生まれた一族である。
想いが怪異を産み出す世界で、男は使命を捨てて、夢を選んだ。……選んだはずだった。
だが、一人の女性を救ったことから彼の運命は大きく変わり始める。
愛する女性、逃れられない運命、捨てられない夢を全て抱えて苦悩しながらも前に進む、とある勇者(ヒーロー)の物語。
sweet sweet pain〜幸せになるためのstory〜
奏 隼人
キャラ文芸
平凡な日常に舞い込んてきた彼女との幸せな毎日…
周りの人を大切にして一生懸命に頑張る主人公:宮田 翔。恋心を抱いた時の胸の爽やかな痛みと様々な人との出会いを通して彼が成長していく姿を描いたストーリーです。
*この作品は他の小説投稿サイトにも掲載中です。
同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
菱沼あゆ
キャラ文芸
「同窓会っていうか、クラス会なのに、知らない人が隣にいる……」
クラス会に参加しためぐるは、隣に座ったイケメンにまったく覚えがなく、動揺していた。
だが、みんなは彼と楽しそうに話している。
いや、この人、誰なんですか――っ!?
スランプ中の天才棋士VS元天才パティシエール。
「へえー、同窓会で再会したのがはじまりなの?」
「いや、そこで、初めて出会ったんですよ」
「同窓会なのに……?」
後宮の系譜
つくも茄子
キャラ文芸
故内大臣の姫君。
御年十八歳の姫は何故か五節の舞姫に選ばれ、その舞を気に入った帝から内裏への出仕を命じられた。
妃ではなく、尚侍として。
最高位とはいえ、女官。
ただし、帝の寵愛を得る可能性の高い地位。
さまざまな思惑が渦巻く後宮を舞台に女たちの争いが今、始まろうとしていた。
千切れた心臓は扉を開く
綾坂キョウ
キャラ文芸
「貴様を迎えに来た」――幼い頃「神隠し」にあった女子高生・美邑の前に突然現れたのは、鬼面の男だった。「君は鬼になる。もう、決まっていることなんだよ」切なくも愛しい、あやかし現代ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる