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比喩の天才
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村上春樹は比喩の天才である。彼の作品はあきれるほど雑多な比喩であふれかえっている。「1Q84」BOOK1を適当に開いただけで、そこかしこにアクロバティックな比喩を見つけることができる。たとえばこうだ。
何かあっていったん黙り込むと、月の裏側にある岩みたいにいつまでも黙っている。
一方、みらいつりびとは比喩の非才だ。私の作品はあきれかえるほど比喩が少ない。そして短文だ。前文を私が書いたらこうなる。
いったん黙り込むと、いつまでも口を開かない。
以下、村上春樹とみらいつりびとの文章の比較を行う。天をも怖れぬ行為だな。天罰が下るかもしれん。
春樹→天吾は身体が大きく、早起きの農夫のような目をしていた。
私→天吾は大柄で、黒い瞳をしていた。
春樹→「芥川賞」と天吾は相手の言葉を、濡れた砂の上に棒きれで大きく漢字を書くみたいに繰り返した。
私→「芥川賞」天吾は相手の言葉をくり返した。
春樹→小松はコーヒースプーンを手に取り、指揮者がタクトで独奏者を指定するようにそれを天吾に向けた。
私→小松はスプーンを天吾に向けた。
春樹→ところがそいつが、深い穴の中に逃げ込んだ臆病な小動物みたいに、なかなか外に出てこない。
私→しかしそれが、なかなか外に出てこない。
ちょっと呆然とした。村上春樹先生と私の間には、「進撃の巨人」に出てくるあの壁があるようだ。私が超大型巨人に変身し、さらに鎧の巨人に変化しないことには、これを突破することができない。
つまり、不可能。
私は村上春樹に憧れているが、目指すのはやめておく。そんなこと、前からわかっていたが、春樹先生の比喩を書き写してみて、絶対に無理だということを再確認した。
私はシンプルで直裁な文体を極める方向へ行くことにしようっと。
何かあっていったん黙り込むと、月の裏側にある岩みたいにいつまでも黙っている。
一方、みらいつりびとは比喩の非才だ。私の作品はあきれかえるほど比喩が少ない。そして短文だ。前文を私が書いたらこうなる。
いったん黙り込むと、いつまでも口を開かない。
以下、村上春樹とみらいつりびとの文章の比較を行う。天をも怖れぬ行為だな。天罰が下るかもしれん。
春樹→天吾は身体が大きく、早起きの農夫のような目をしていた。
私→天吾は大柄で、黒い瞳をしていた。
春樹→「芥川賞」と天吾は相手の言葉を、濡れた砂の上に棒きれで大きく漢字を書くみたいに繰り返した。
私→「芥川賞」天吾は相手の言葉をくり返した。
春樹→小松はコーヒースプーンを手に取り、指揮者がタクトで独奏者を指定するようにそれを天吾に向けた。
私→小松はスプーンを天吾に向けた。
春樹→ところがそいつが、深い穴の中に逃げ込んだ臆病な小動物みたいに、なかなか外に出てこない。
私→しかしそれが、なかなか外に出てこない。
ちょっと呆然とした。村上春樹先生と私の間には、「進撃の巨人」に出てくるあの壁があるようだ。私が超大型巨人に変身し、さらに鎧の巨人に変化しないことには、これを突破することができない。
つまり、不可能。
私は村上春樹に憧れているが、目指すのはやめておく。そんなこと、前からわかっていたが、春樹先生の比喩を書き写してみて、絶対に無理だということを再確認した。
私はシンプルで直裁な文体を極める方向へ行くことにしようっと。
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