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Ⅱ‐回青の園

残雪*

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(三人称・主人視点)



 採石場や改装中の神殿の検分――別邸を離れた視察の只中、アルフはよく雪に見舞われた。仕事自体に支障はない、外歩きしていても大して邪魔にもならない、ちらちらと降る小さな雪片がほとんどだった。だが降られるたびに、アルフは仕事を放りだしたい気分になった。公人としての務めと微塵も表には出さなかったが、確かに、単なる退屈や疲労の所為とは違う心地だった。
 顔に、手に。アルフの肌の上に落ちた雪はすぐに溶け消えていった。地や他の場所に落ちたものもまた、多くは数瞬のうちには姿を消した。
 ――ハツカやビリムの掌では、眺めて遊べるだけそのかたちを保っていたものを。
 そう、一度過ぎると駄目だった。別邸に置いてきた、帰りを待っているはずの白奴隷アラグラルのことばかりを考えそうになる。雪を喜ぶあの笑顔が過ぎる。
 安全だと思わなければ置いては出てこなかった。アルフが不在の中奴隷だけを狙う輩などまずいないし、ましてやあの手の建物の中まで踏み込んでくるなどあまりにも考えづらい話だった。そのような逆賊の強襲も使用人の裏切りも、可能性は低いが対処した。そうして置いてきた。
 その判断をしたのはアルフ自身で――帰るまでその決定自体は疑わなかったものの、ただ早く顔を見たかった。
「ハリュール、夜駆けで戻る」
 とうとう堪えきれずにそれが口を突いた。仕事はやりきって、本当ならば提供された部屋で休みもう一晩泊まる予定だったが。
「畏まりました。整えさせます」
「……詳しく聞かんのだな?」
ジャルサの報せだというのなら仰ってくださいよ、もっと焦りますから。残してきたものが心配なのでしたら、早く戻るほかありません。道も悪くはないでしょう」
 言いつけに事も無げに応じる若い秘書に、彼には見抜かれていたのだと知ってアルフは僅かに眉を下げた。彼も前任に似て様になってきたなと思えば喜ばしいことでもあったが。
「ハツカを買ったとき誰が共に居たかお忘れですか。飛び出して行かれないだけ、一安心です」
 などと軽口さえ叩いてみせるのには納得もして、自嘲も交えて笑うしかなかった。
 ひとひら、ふたひら、居残れず消えていく雪を見ていると――そう、心配だったのだ。もしものことがあったらと泣いたハツカにはあのように言いきっておきながら、彼もまた、とても大事なものを失ってしまわないか、結局不安なのだ。
 そもそもの初めのときから、アルフはそうだった。
 奴隷市場でハツカを見つけたときの焦燥感を、アルフは忘れられない。どこか薄く透いた感じのする安奴隷の姿。早く捕まえて自分のものにしなければ、あの暑期ハアルを、あの瞬間を逃せば、もう二度と目にはできないと予感させた儚い妖精憑きネ・モ
 手に入れた後は少しほっとして、自分の手で何度も触れた。飢えないようにたんと食べさせ、癒した。愛した。今そうしなければ、与えたいものの行き先はなくなるやもしれぬと気が急いていた。それも近頃はようやく落ち着いたと、アルフも皆も思っていたのだが。
 環境に慣れて懐いたハツカはとても愛らしく、妖精の力を差し引いてもそれなりの奴隷に仕上がってきたところではあったが、抜きんでた美貌の持ち主などではない。横から攫われるような心配はしていなかった。
 それがわざわざ連れて出た先で、あのような目に遭おうとは。
 あの白く小さな作りの手に刻まれたのが他人の名前だと気がついたときはよくぞ取り乱さなかったものだと、アルフは自分に感心していた。今でもあの商人には何をしてやっても足りないくらいに憎く思ってはいるのだが、幸いに冷静だった。他ならぬハツカが、そんなものを跳ねのけるくらいにひた向きだったからだ。
 名を刻もうと、鞭や針に打たれようと、主人は一人だと言った。言わされたのではなく、言い通した。あの臆病な奴隷が、と思うと、そちらのほうが堪らなかった。
 ――私のものだ。
 白い息だけを吐いて、アルフは胸の内に呟く。あれは、自分のものだ。どんなに大切にしても足りない。
 かつてそれなりに恋を経験したこともある。思慕や愛情も知っているつもりだ。妻として迎えた女のことは愛して、子と共に慈しんでいる。他の家族も、家の従者たちも、また逆に主君として仰ぐ王のことも。
 だがハツカはわけが違った。自分のものにせずには居れなかった。強い衝動と執着に駆り立てられた。
 とてもとても、愛する誰かに懇願されたとして、王に命じられたとして、手放すことができようか。これほど寵する当の奴隷がもし唯一の望みと望んでも、叶えられる気はしなかった。あれが奴隷でよかった、と安堵したのはなにもハリュールたちだけではない。
 名実自分の持ち物として抱えていられる身分に、ハツカが歩んできたけっして楽ではなかった半生を思っても、アルフは安堵する。よくぞあの日まで生きていてくれた、もっと早く見つけていればと思いこそすれ。
 主人自ら馬に跨り急ぐ暗い道でも、思い出すのは白い姿ばかり。そんな自分に呆れる暇もないほどに、早く触れたくて仕方がなかった。

 馬と帽子だけ預けてまっすぐに部屋に向かったアルフは、静かに開けた扉を潜った。
 まだ主人の帰る予定の無かった部屋の中は暗く、手持ちのランプで照らしてようやく進む先が見える。迷わず机や衝立を回り込んで奥へと進むと、寝台の中に白い姿が浮かび上がる。灯りを吊るし、アルフはその頬に手を伸ばした。外からすぐに此処へと向かった主人の指先よりも冷えた肌は、妖精が寛いでいる証だった。
 ――ああ、ちゃんと居た。私を待っていた。
 などと思って、その必死さを笑う余裕もできる。
 命じたとおり部屋で待つ白奴隷はクッションを一つ抱えて眠っていた。のびのび、とはいかない、体を少し縮めた寝相は癖で、それでも警戒心はない。他者の気配に気がついて薄く目を開け翡翠色を覗かせて、すんと鼻を動かし、主人だと確認すると寝惚けた意識ですり寄る。
 起き上がろうとする、その前にアルフの箍が外れた。夜も遅いが意識も冴えている。明日特別に予定もない。
「ん、わ……」
 驚く声にも構わず身を寄せ、額に、鼻梁に、虫食い痕に口づけをする。人よりも随分低い氷精ヒエムの体温を楽しんで、唇も軽く掠めて首筋を吸う。主人と同じ香料を使っているはずの体はしかし、体温の所為か匂いが薄い。淡い髪や肌の色のように、ほどなく失せてしまいそうなその弱さに、アルフは無意識にも勢いづいた。
 翡翠の首輪を辿って胸をまさぐる掌に、ふと息を吸いなおしたのが伝わる。やはり手は止まらなかったが、発言を許可されている奴隷は臆さず声を出した。
「おかえりなさいませ、あの、まだ夜、ですか」
 以前ならばもっと動揺しただろう彼も、もう随分こうした流れには慣れた。落ち着いて、時間に合わせて常よりもさらに小さく囁くような声で言う。
 帰りは明日の昼だと聞いていて、まだ部屋は明るくさえなっていない。たっぷりとした布地や刺繍が豪奢な外回り用の外套も身に着けたままの主人に、これは夢ではと訝る調子だった。
「まだ暫くは明けん。急ぎで戻ってきた」
 アルフは笑い、常のように明瞭に答え――それは何か用があったのではと問いたげな唇を塞ぐ。抵抗はなく、柔く応える気配が好ましい。
 寒さも感じぬ氷精憑きネ・モ・ヒエム、今日は共寝の主人も不在だったハツカの寝間着は薄いシャツが一枚だけで、捲り上げるとすぐに素肌に触れる。頭まで上げてしまえば裸も同然だ。アルフの黒髪が胸元を擽る距離に、は、と緊張の息を吐いて、ハツカは小さく身構えた。
「……っ」
 吸われた胸の先端、やはり色の薄い一点がつんと濡れて尖る。いつもより暗い寝台の上で、貧相な体が艶めかしい色を帯びた。如実に性感を呼び起こす触れ方に、じんわりと甘いものが広がっていく。
 手でも口でも、あちこちに触れる愛撫が主人の好みだ。一般には奉仕させることが多い性奴隷の扱いとは対照的なものだとは知らないハツカは、どこに手を置いたらよいのかも分からないまま、脱がされきらなかった袖の下で手を握り、ただ受け止める。こうした温い拘束もアルフは好んでいる節があった。
 捧げるように晒された薄い腹も撫でおろしながら、舌は続けて胸を吸った。ちゅ、と吸い上げると身震いするが、逃げずにされるがまま。甘く鳴いて誘うような作法も教えられていない――アルフが教えたことしか知らない体だ。それがまた、彼を甚く満足させた。
 外套を脱ぎ捨て、素直に開く足の間に割り入って取り上げた容器からたっぷりと掬い取った油を含ませる。肉の抵抗は僅か、息を整えると容易く入り、押し上げると背が撓った。性器の裏側、とアルフが教えてやった前立腺や精嚢のあたりを撫でるとそれだけで身悶えする。丁寧に開発した体は一度始めると貪欲に快感を拾い、主人の指がそこにあるというだけでも、次の刺激や行為を期待して締めつけた。
 遠慮なく、しかし優しく触れて体を開くと、油が溶けて蕩けてくる。普通の人間よりは大分温いが、それでも内側は生き物の体温を残していた。
「……っん……」
 引き結ぶ唇の間から小さく漏れる声。乳首もまだ硬くなったまま、足の間で擡げはじめた先端に水気が滲んでいるのも、薄暗いながらによく見えた。主人の触れる一々に感じている様が。
 組み敷き覆いかぶさってしまえば隠れるような、小さな痩躯。細く伸びた手足、白く冷えた肌はやはり雪を連想させたが、触れても消えない。それどころか存在感を増して、アルフの傍にあった。
「まだ出すなよ、服が汚れると困る」
 上着こそ脱いでも外出着のままの身で、横暴に射精禁止を言いつけて――言いつけたくせに揉みしだいて、びくと跳ねてわななく体を見下ろす。息を荒くする口に接吻ししばらく手を動かしているとまたもがくように体が揺れた。命令どおり精は吐き出されず、その代わりに先走りがたらたらと溢れて油と混ざった。
 己の手に容易く翻弄される華奢な体躯に欲情して、アルフは着衣を寛げた。ハツカの物とも違わず上向いた陰茎を押しつけ、ゆっくりと中を満たしていく。
「あ、あ……っ」
 堪えきれずに逃げかける細腰を押さえつけ、根元まで。軽く突き上げると膝が揺れた。馴染ませるかの動きを数度繰り返すうちに、乱れた呼吸を整えてついてくるようになるのも調教の成果だ。性奴隷の振る舞いとしてはつたなく、控えめに腰が揺れ、合わせて中が収縮して絡みつく。
「は……」
 もっとよく訓練された奴隷や手練れの娼婦も、アルフの記憶にはあったが。まるで違う快感と充足がそこにはあった。込み上げてくる欲は征服欲も庇護欲も綯交ぜに、ただ目の前の存在を確かめ、求めた。
 翡翠と褒めそやす双眸が濡れて美しく、引き寄せられるように再び顔を近づける。金色の瞳に宿る光の強さに動けず、自然押しつけられる腰に喘ぐ息を吐いた口を覆い、舌を触れさせる。
 柔く、緊張を解すように舐って吐息を交わす。それだけで腹の中がきゅうと蠢くのがまた、堪らなかった。
「ん、ふ――うあっ」
 口を離して突き上げると体が波打つ。逃げかける体を押さえられるより先に押し留めて主人を受け入れる献身に、褒めるように中を突く。また勃ちあがってきた陰茎の先端からじんわりと水気が滲んだ。
「っあ、う……んっ……っ」
 性感帯を押し上げられて、揺すられるほどに途切れ途切れの声は止まらず。その甘い響きに酔う。
 狭く温い中を何度も擦り、形を覚えさせるように押しつけて――やがて、奥へと精液を放って息を吐く。
「あ……」
 余韻まで味わって引き抜けば、名残を惜しむように開きひくつく穴から白濁が滲む。
 腿を撫で、惚けた雰囲気で主人を見上げる翠色を眺めて、アルフは目を細めた。
「……いい子だった。出させてやろう」
「んッ……ぅ」
 身を離したところで改めて扱いてやれば、ハツカが再び達するのはあっという間だった。
 腹の上へと精液を絞り出し、自身の手と股を拭うついで、どろどろに濡れたそこから足の間、股から尻まで、ハツカが恥じらうのにも構わず――むしろ楽しんで拭き清めて、それで満足する。
 そうしてアルフが外出着のまま横になるのと入れ違いに、ハツカは気だるげな色気を顔に残したまま起き上がり、皺になった服の裾を足元まで下げて、もたもたと主人が脱いだ服を片付けはじめた。とはいえ、ハツカにできることと言えばなんとなしに畳んで寝台の隅に置いておくことくらいで――それも半端なうちに、手招き懐へと呼び寄せられる。
 火の気もなく涼しい部屋で氷精など寒々しいが、勿論そんなことには構わなかった。アルフも、ハツカもだ。
 いつもよりきつく抱き込んだのに気づいて身を寄せなおしたハツカは、腕の中でアルフを見上げた。金の瞳と目が合ってたじろぐのは、もうほんの一瞬、反射としてだけだ。
 むしろしっかりとその目を見つめ返して、口を開く。
「あの……言いつけられていた氷は綺麗にできそうです。きっと喜んでいただけるかと」
 どこかに出掛けていった後はいつも、不在の中どうしていたかを聞きたがる主人に先んじて。出がけに伝えられた仕事の出来栄えについて言うのは他のことよりも少し誇らしげで、アルフの頬も緩んだ。
「そうか。お前を連れてきた甲斐があった。……お前にはとんだ災難だったかもしれないが」
 が、白い髪を緩く梳きながら褒める間にも、今回の道中の出来事が思い出された。連れてこなければ遭わずに済んだ恐怖と痛みだっただろうと思えば、多少の後悔はアルフにもある。
 次いで呟き掬い上げて確かめる掌の傷はもうすっかり癒えて跡形もないが、まだ気になって事あるごとに目が向くものだった。ただ今日は、アルフより先にハツカが眉を寄せた。
「災難はご主人様じゃないですか……」
 たしかに酷い目には遭ったとはハツカ自身も思うが、それはついでに過ぎない。狙われていたのはアルフだ。しかも、友人である男に。
 いまだに憤りを孕んだそんな声音は、ハツカには珍しい。真剣に案じている様にアルフはつい口の端を上げて、なめらかな皮膚の戻った掌を擽った。
「そうだったな。たしかに、気に入りの奴隷にも手を出されたし散々だった。だがお前のお陰で助かった」
 その後はもうなんと、何に文句を言えばよいのかも分からず口ごもる小さな唇に接吻を落として、満ち足りる。
 狙われたこと自体は、アルフにとっては日常茶飯事――とまでは言わずともありふれたことだ。貴族の世界、政治の世界では誰もが謀をして、あれこれと策を弄する。今回功を奏した、魔鏡を用いて王都との連絡をつけていたのもその一つだ。
 暗殺騒ぎが立て続けにあったのも、何度も狙われたのだというよりも同じ人間が絡んでいたからに違いなく、今回の道中でというのも先日の失敗に焦ってのことだろうと察せられた。王都の脈から離れれば鸞の加護も多少散って、やりやすくなると見たのではとも思われた。
 首謀者を捕まえてしまえばもう止んで、そうすると数年は何事もなく、というのがいつものパターンだ。風邪と同じ、たまにはある不調。その程度のものだった。友人が敵対者だったというのは気落ちもするが、それも残念ながらままあることで、むしろ関係の遠い人間よりも近しい人間のほうが何かをはらに抱いているものだった。
 アルフに鸞の加護があるように、王にもタージャンの加護がある。賊は生まれようとも討たれ、王国の平穏は保たれる。油断は禁物だが、大したことではない。
 無論、他ならぬ自分が主人を殺すところだったのだと、未だ気にするハツカの心中に気づかないアルフではないけれど。
「奴隷が気負うな。持ち主が変われば使い方は変わる。私は自分で自分の胸を突く粗忽者に見えるか?」
「いえ――」
「ならば何も案じることはない。お前は私のものだ」
 いつもの調子で言いきればハツカの表情を緩めるのには足りた。主人の揺るぎない言葉は何よりもハツカを納得させる。
 友は裏切るかもしれないが、奴隷に間違いは起きない。アルフがハツカの主である限り、ハツカの主がアルフである限り。
「私のハツカ。次のときもきっとお前を連れて出る。王宮での勤めはともかく、こんなに長くは耐えられんからな」
「――はい、次はもっとお役に立ちます」
 溜息まじりにぼやくのは対照的に弱気な風で、他の者には聞かせられない中身だったが。ハツカは笑みを深めて返事をしてみせた。
 寒期バラドにできる仕事などろくにないと思っていたし、気軽に言葉にされた次のとき――来年などというものは、ハツカにとってはいつも不確かな未来の話だったが、今ならこの寝床から地続きの明日に連なるものだと信じられた。
「……一眠りするか」
「着替えと湯たんぽを頼んできます。寒いでしょう」
 欠伸を一つ。とりあえず今はと提案する声にも張り切ったようにすぐに応じる。
 寒期の寝支度も慣れた奴隷を褒めるのに頭を撫でて、裸足のまま歩いていく背を見送り――確かにひんやりとする寝床を探って、アルフは手近なところにあったクッションを掴んで撫でた。
 枕にもしやすい刺繍のない布地、青い織物の肌に触れて確かめるのは、内に隠した鸞の羽根の存在だ。
 たまにしとねに落ちる鸞の置き土産。今はほとんどを子供たちの持ち物に隠し縫いさせているが、幼い頃はこうして枕に入れて持ち歩いていたものだった。これがあれば大丈夫、鸞は傍にいてくれる、何かあっても夢の中に逃げ込めると、安心した。
 その効果――安心感は大人になってなお健在で、これがあればと、今回ハツカを置いて仕事に出る自身を納得させた最後の一押しだった。結局は早く切り上げて戻ってきてしまったが、それはそれだ。
 やはり昔のように持ち歩くべきかも知れぬ、などと護符代わりの羽根と愛しい奴隷の存在を重ねつつ。すぐに抱える位置まで戻ってきた白い姿を、クッションと共に抱きとめる。
 寝間着や湯たんぽは用意があってすぐに届けられた。居心地よく体も冷えずに済むようになった布団の中、アルフは数日ぶりに心行くまで、愛しい奴隷と身を寄せ合って過ごしたのだった。
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