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Ⅱ‐回青の園
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第九の月 十一日
今日は晴れていた。まだ暑いみたいだ。
きゅう舎でビリムと仕事をした。ビリムはあんがい親切な感じがした。態度はあいかわらずだけど、別に乱ぼうでもないし、なんとなく力の……感じが合う、のか、やりやすかった。意外だった。話もできた。
馬も牛も大きいから少しこわいけど、離れて見ているとかわいい。黒くてひたいが白いヤツは、気が荒いらしい。ご主人様の馬はきれいな白い馬だった。
バラドの作業は前より細かいことが多くて不安だけど、なんとかなると思う。
「俺はお前のこと特別扱いしないからな。とっとと仕事覚えろよ」
ビリムとの初対面は、奴隷部屋の廊下でだった。俺をまっすぐに見て一番に言い放つのに呆気にとられる間に、タラブ様がごく軽く鞭で叩いた。俺のことを特別扱いしないことではなく、監督役の前での態度の悪さに入った鞭だった。
「喧嘩はするなよ。仲間として普通に接して仕事を教えろ。いいな」
「はい」
慣れっこなのか臆した様子もなく、気の強そうな顔つきでも言われたことには素直に返事をして。タラブ様が居たのであまり会話することもなく終わった。
最初は驚いたけど、その態度もなんだか様になっていたなと後で思った。
それからは――ろくに言葉を交わした覚えが無い。けど、他の奴が俺と話していると苛立って声を上げることが多い。俺は普通にしているつもりだけど、声とか態度とかが不愉快なんだろうか。
ビリムにはちゃんと追いついて、外に出て厩舎に辿りついた。屋敷の中にあると聞いたから精々一頭二頭飼っている家畜小屋程度かと想像していたが、牛飼いを商売にしている人の物のような広い建物がそこにはあった。
馬と、乳を搾る為の牛が数頭いて、当たり前だが動物の臭いがする。近くに作られた小さな畑では鶏も放し飼いにされている。それを横目に、俺たちは監督役から厩舎係の使用人へと引き継がれた。
まず屋根の下、馬や牛の棲家の中をそこそこの温度にする。閉じきった建物ではないので、日が昇ってきて暑くなった空気を払ったあと適温に保つのは室内より力を使うが、今の俺なら一日中やっても大丈夫そうだ。ビリムも、見た目だけじゃなくて氷精の力も上等だ。ながらでやってもちゃんと冷える。
此処ではすぐには椅子に座らなかった。ついでに厩舎係の仕事を手伝う。難しいことはしない。言いつけられて掃除とか、水汲みとか餌を運んだりとか、その程度だ。馬や牛に触る仕事はしない。
白、と俺たちを呼んで、使用人の指示が飛んでくる。難しいことはなかったけれど、俺は初めての作業に慌てて動いた。物の場所もよく分からないから時間がかかり、自然と足が急いで、ばたばたと忙しくなる。
「向こうにある。ついでに桶も持ってきておけ」
「うん」
「これも持ってけ」
「うん」
「あっちの牛にも。手が空いたら次は馬」
「ん」
ビリムが自分の仕事をしながらも、横で囁いてくる。タラブ様に言われてちゃんと返事をしていたように、仕事についてはだんまりじゃなくて教えてくれるようだった。
俺が困る前にてきぱきと声が飛んでくるのは幸いだった。使用人のほうに目をつけられずに済む。こういうときトロい奴がいると、仕事をしていてもいじめられる。
「おい白、早くしろ」
「はい」
それでもたまには投げつけられる、久々のきつい感触の声に咄嗟に返事をする。慌てて次の道具を取りに行く中で、話す声が続いた。
「いい、そっちは旦那様の気に入りだからあんまりせっつくな」
「ああ……」
――やっぱり、腫れ物に触るみたいだな。
余計なことを考える暇もなく働いていたのに、なんだか邪魔をされた気分だった。さっき教えてもらった気がする物の場所が分からなくなって、目が合ったビリムが寄ってきて代わりに棚から下ろして腕に押しつけてくる。
礼を言う前に彼はぱっと動いて次の仕事に向かってしまった。あ、と思ったけど、そんな場合じゃない。また怒鳴られる――こともなく面倒臭がられる前にと、俺も使用人の元へと駆け寄った。
やがて朝の作業は済んだのか、使用人のほうから来る声が少なくなってもう一度辺りを見渡す余裕ができてきた。
馬は色々いる。いつも馬車を牽いている葦毛の他にも、茶色いの、黒いの。黒馬は一際大きくて、身震いすると揺れる黒い鬣が寝るときに髪を解いた主人のようだ。
そんなことを考えて、指示もないので厩舎の端でちょっと立ち止まった。
「その黒いのにはあんま近づくなよ」
「え?」
不意にビリムの声がして顔を向けると、俺と同じ白い姿が歩いてくるところだった。
「気が荒い。今日は機嫌も悪い」
「分かった、気をつける、……ありがと」
声はぞんざいで顔つきも一見不機嫌そうだけど、やっぱり無視はせずに教えてくれる。ようやく相槌以外の返事ができて、さっきの分もと思って礼を口にした。ビリムは小さく頷いて、後ろを振り向いた。
「――もういいだろ。しばらく座ってるだけだ」
使用人たちのほうを窺って、顎で壁際、板を渡しただけの長椅子を示す。今度は俺が頷いて座ると、離れて端に腰掛ける。
そうして落ち着いたところで作業を振り返り――案外、ビリムとは仕事がしやすかったなと思った。もっと一人でばたばたすることになると覚悟していたのだが、大体そうなる前に助けてもらえて、どうにか決まった流れの中で作業することができたと思うし、物の場所なんかもなんとなく知ることができた。
助かった。別に、やっぱり、悪い奴じゃなさそうだ。ちょっとツンとしてるだけで。
まだ距離は掴めない。同じ椅子に座ったがその分離れているのが彼の意思表示のようだ。ただそれが定位置なだけかもしれないけど。
初めて一緒になる奴隷仲間が相手だと、いつもちょっと悩む。折角一人ではなく仲間がいるのだから、暇潰しになるように何か話したほうがいいのか、でも何を話せばいいか。嫌がられないだろうか。もしかしたら話していると怒る人がいるのかもしれないから、此処のことを知っている奴から口を開くまで待ったほうがいいか。
「お前はさ」
「え、うん?」
悩むうちにまたビリムのほうから話しかけられて驚いた。顔を向ければ薄青色の目は初めのときと同じようにじっと俺を見ていて、ザフラのことも思い出した。物を探すのに困っていなかったからビリムも目が悪いわけではなさそうだけれど、何か探るように俺のことを見ている。
返事をすると口はすぐに動いた。初対面のときと変わらない声が言う。
「旦那様の相手すんの、どう思ってんだ。好きでやってんの」
旦那様の、相手。
一瞬考え、すぐに思い至る。ビリムの言葉はからかう調子じゃなかったから逆に分からなかったが、そういう意味だろう。旦那様――主人に抱かれるのは、好きでやっているのか。いや、
「す、きではないけど……逆らえないし」
あれこれ思い出したのもあって声はちょっと上擦った。好きではない、はずだ。でも奴隷は逆らえないし、俺にはこれしかないし。だからだ。
ご主人様が求めるなら応える。あの人の奴隷として。
「――まあそうだよな」
すぐに納得した声が聞こえた。同じ奴隷としてよく分かる、そんな声音だった。
「ファロとか、うっさいだろ」
「ん、まあ……」
「そのうち止めるから気にすんな。暇なんだよ、分かるだろ」
そしてぽつぽつと続ける。視線は逸れて、飼葉を食む牛のほうへと向けられた。
きつい仕事を課せられるとそんな余裕もないが、余裕ができると暇を持て余す奴も出てくる。そういうことだろう。さっきは忙しかったが、全体で見れば此処の仕事は疲れてぐったりしてへたりこむほどじゃない。交替もあるから一日中ずっと力を使い続けなくても済む。
そうすると何かからかう先でも見つけたくなるのだろう。今回はそれが俺だってだけ。俺は大して面白味もないしすぐに飽きてもらえそうだ。
そういうビリムも、俺をからかいこそしないがこの時間を持て余しているように見えた。
「……お前も暇?」
「暇。特にこういうとき」
「こういうときが一番困るよな。……寒期になったらもっと暇? 忙しい?」
「ここじゃずっとちまちましたことやらされんだよ。飽きるぞ」
「俺は南の……視察? に連れていかれるんだけど、行ったことある?」
「あるけどあっちも別に楽しくはねえよ。まあ、屋敷の外に出れるし、そういう意味では新鮮だけど」
会話は思いのほか軽く続いて、緊張が抜けてきて、俺は揺らす爪先を眺めながら結構喋ってしまった。
ビリムとアスルさんは、寒期の遠出に連れていかれたことがあるらしい。寒い中で水に入る作業があったときのことだそうだ。
二人で緩く厩舎を冷やし続けて、昼からはビリムの言ったとおりちまちまと、ブラシのごみをとったり革に油を擦り込んだり、厩舎の道具の手入れをして過ごした。冷房をやっているときもこういうことをして奴隷は無駄なく使われて、寒期もこの手の作業をして過ごすことも多いという。あとはやはり、寒い中でやらなければならないことを押しつけられるみたいだ。
女は縫い物とか編み物をやらされるらしい。より細かい作業だと聞くとそっちがいいとは言えない。やっぱり力がなくても男として働くしかないみたいだった。薪割りも手伝ったが、久々だとやっぱり思うように動けなかったから気が重い。暑期明けはいつもこうだ。
でもまあ、アスルさんとか、ビリムとなら悪くないんじゃないか。他の奴ともきっと慣れるんじゃないかなって気がしてきた。
今日は晴れていた。まだ暑いみたいだ。
きゅう舎でビリムと仕事をした。ビリムはあんがい親切な感じがした。態度はあいかわらずだけど、別に乱ぼうでもないし、なんとなく力の……感じが合う、のか、やりやすかった。意外だった。話もできた。
馬も牛も大きいから少しこわいけど、離れて見ているとかわいい。黒くてひたいが白いヤツは、気が荒いらしい。ご主人様の馬はきれいな白い馬だった。
バラドの作業は前より細かいことが多くて不安だけど、なんとかなると思う。
「俺はお前のこと特別扱いしないからな。とっとと仕事覚えろよ」
ビリムとの初対面は、奴隷部屋の廊下でだった。俺をまっすぐに見て一番に言い放つのに呆気にとられる間に、タラブ様がごく軽く鞭で叩いた。俺のことを特別扱いしないことではなく、監督役の前での態度の悪さに入った鞭だった。
「喧嘩はするなよ。仲間として普通に接して仕事を教えろ。いいな」
「はい」
慣れっこなのか臆した様子もなく、気の強そうな顔つきでも言われたことには素直に返事をして。タラブ様が居たのであまり会話することもなく終わった。
最初は驚いたけど、その態度もなんだか様になっていたなと後で思った。
それからは――ろくに言葉を交わした覚えが無い。けど、他の奴が俺と話していると苛立って声を上げることが多い。俺は普通にしているつもりだけど、声とか態度とかが不愉快なんだろうか。
ビリムにはちゃんと追いついて、外に出て厩舎に辿りついた。屋敷の中にあると聞いたから精々一頭二頭飼っている家畜小屋程度かと想像していたが、牛飼いを商売にしている人の物のような広い建物がそこにはあった。
馬と、乳を搾る為の牛が数頭いて、当たり前だが動物の臭いがする。近くに作られた小さな畑では鶏も放し飼いにされている。それを横目に、俺たちは監督役から厩舎係の使用人へと引き継がれた。
まず屋根の下、馬や牛の棲家の中をそこそこの温度にする。閉じきった建物ではないので、日が昇ってきて暑くなった空気を払ったあと適温に保つのは室内より力を使うが、今の俺なら一日中やっても大丈夫そうだ。ビリムも、見た目だけじゃなくて氷精の力も上等だ。ながらでやってもちゃんと冷える。
此処ではすぐには椅子に座らなかった。ついでに厩舎係の仕事を手伝う。難しいことはしない。言いつけられて掃除とか、水汲みとか餌を運んだりとか、その程度だ。馬や牛に触る仕事はしない。
白、と俺たちを呼んで、使用人の指示が飛んでくる。難しいことはなかったけれど、俺は初めての作業に慌てて動いた。物の場所もよく分からないから時間がかかり、自然と足が急いで、ばたばたと忙しくなる。
「向こうにある。ついでに桶も持ってきておけ」
「うん」
「これも持ってけ」
「うん」
「あっちの牛にも。手が空いたら次は馬」
「ん」
ビリムが自分の仕事をしながらも、横で囁いてくる。タラブ様に言われてちゃんと返事をしていたように、仕事についてはだんまりじゃなくて教えてくれるようだった。
俺が困る前にてきぱきと声が飛んでくるのは幸いだった。使用人のほうに目をつけられずに済む。こういうときトロい奴がいると、仕事をしていてもいじめられる。
「おい白、早くしろ」
「はい」
それでもたまには投げつけられる、久々のきつい感触の声に咄嗟に返事をする。慌てて次の道具を取りに行く中で、話す声が続いた。
「いい、そっちは旦那様の気に入りだからあんまりせっつくな」
「ああ……」
――やっぱり、腫れ物に触るみたいだな。
余計なことを考える暇もなく働いていたのに、なんだか邪魔をされた気分だった。さっき教えてもらった気がする物の場所が分からなくなって、目が合ったビリムが寄ってきて代わりに棚から下ろして腕に押しつけてくる。
礼を言う前に彼はぱっと動いて次の仕事に向かってしまった。あ、と思ったけど、そんな場合じゃない。また怒鳴られる――こともなく面倒臭がられる前にと、俺も使用人の元へと駆け寄った。
やがて朝の作業は済んだのか、使用人のほうから来る声が少なくなってもう一度辺りを見渡す余裕ができてきた。
馬は色々いる。いつも馬車を牽いている葦毛の他にも、茶色いの、黒いの。黒馬は一際大きくて、身震いすると揺れる黒い鬣が寝るときに髪を解いた主人のようだ。
そんなことを考えて、指示もないので厩舎の端でちょっと立ち止まった。
「その黒いのにはあんま近づくなよ」
「え?」
不意にビリムの声がして顔を向けると、俺と同じ白い姿が歩いてくるところだった。
「気が荒い。今日は機嫌も悪い」
「分かった、気をつける、……ありがと」
声はぞんざいで顔つきも一見不機嫌そうだけど、やっぱり無視はせずに教えてくれる。ようやく相槌以外の返事ができて、さっきの分もと思って礼を口にした。ビリムは小さく頷いて、後ろを振り向いた。
「――もういいだろ。しばらく座ってるだけだ」
使用人たちのほうを窺って、顎で壁際、板を渡しただけの長椅子を示す。今度は俺が頷いて座ると、離れて端に腰掛ける。
そうして落ち着いたところで作業を振り返り――案外、ビリムとは仕事がしやすかったなと思った。もっと一人でばたばたすることになると覚悟していたのだが、大体そうなる前に助けてもらえて、どうにか決まった流れの中で作業することができたと思うし、物の場所なんかもなんとなく知ることができた。
助かった。別に、やっぱり、悪い奴じゃなさそうだ。ちょっとツンとしてるだけで。
まだ距離は掴めない。同じ椅子に座ったがその分離れているのが彼の意思表示のようだ。ただそれが定位置なだけかもしれないけど。
初めて一緒になる奴隷仲間が相手だと、いつもちょっと悩む。折角一人ではなく仲間がいるのだから、暇潰しになるように何か話したほうがいいのか、でも何を話せばいいか。嫌がられないだろうか。もしかしたら話していると怒る人がいるのかもしれないから、此処のことを知っている奴から口を開くまで待ったほうがいいか。
「お前はさ」
「え、うん?」
悩むうちにまたビリムのほうから話しかけられて驚いた。顔を向ければ薄青色の目は初めのときと同じようにじっと俺を見ていて、ザフラのことも思い出した。物を探すのに困っていなかったからビリムも目が悪いわけではなさそうだけれど、何か探るように俺のことを見ている。
返事をすると口はすぐに動いた。初対面のときと変わらない声が言う。
「旦那様の相手すんの、どう思ってんだ。好きでやってんの」
旦那様の、相手。
一瞬考え、すぐに思い至る。ビリムの言葉はからかう調子じゃなかったから逆に分からなかったが、そういう意味だろう。旦那様――主人に抱かれるのは、好きでやっているのか。いや、
「す、きではないけど……逆らえないし」
あれこれ思い出したのもあって声はちょっと上擦った。好きではない、はずだ。でも奴隷は逆らえないし、俺にはこれしかないし。だからだ。
ご主人様が求めるなら応える。あの人の奴隷として。
「――まあそうだよな」
すぐに納得した声が聞こえた。同じ奴隷としてよく分かる、そんな声音だった。
「ファロとか、うっさいだろ」
「ん、まあ……」
「そのうち止めるから気にすんな。暇なんだよ、分かるだろ」
そしてぽつぽつと続ける。視線は逸れて、飼葉を食む牛のほうへと向けられた。
きつい仕事を課せられるとそんな余裕もないが、余裕ができると暇を持て余す奴も出てくる。そういうことだろう。さっきは忙しかったが、全体で見れば此処の仕事は疲れてぐったりしてへたりこむほどじゃない。交替もあるから一日中ずっと力を使い続けなくても済む。
そうすると何かからかう先でも見つけたくなるのだろう。今回はそれが俺だってだけ。俺は大して面白味もないしすぐに飽きてもらえそうだ。
そういうビリムも、俺をからかいこそしないがこの時間を持て余しているように見えた。
「……お前も暇?」
「暇。特にこういうとき」
「こういうときが一番困るよな。……寒期になったらもっと暇? 忙しい?」
「ここじゃずっとちまちましたことやらされんだよ。飽きるぞ」
「俺は南の……視察? に連れていかれるんだけど、行ったことある?」
「あるけどあっちも別に楽しくはねえよ。まあ、屋敷の外に出れるし、そういう意味では新鮮だけど」
会話は思いのほか軽く続いて、緊張が抜けてきて、俺は揺らす爪先を眺めながら結構喋ってしまった。
ビリムとアスルさんは、寒期の遠出に連れていかれたことがあるらしい。寒い中で水に入る作業があったときのことだそうだ。
二人で緩く厩舎を冷やし続けて、昼からはビリムの言ったとおりちまちまと、ブラシのごみをとったり革に油を擦り込んだり、厩舎の道具の手入れをして過ごした。冷房をやっているときもこういうことをして奴隷は無駄なく使われて、寒期もこの手の作業をして過ごすことも多いという。あとはやはり、寒い中でやらなければならないことを押しつけられるみたいだ。
女は縫い物とか編み物をやらされるらしい。より細かい作業だと聞くとそっちがいいとは言えない。やっぱり力がなくても男として働くしかないみたいだった。薪割りも手伝ったが、久々だとやっぱり思うように動けなかったから気が重い。暑期明けはいつもこうだ。
でもまあ、アスルさんとか、ビリムとなら悪くないんじゃないか。他の奴ともきっと慣れるんじゃないかなって気がしてきた。
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