緑を分けて

綿入しずる

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伸びて絡まる*

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 一週間はセヴランの場合置けない。こんなことでデニスや他の園丁官に代わってくれとも言えない。カイは気後れを感じながらも二日後にはまたセヴランの家の緑の扉を叩いた。
 ノックし、数度呼んでも返事が無い。
 まだ寝ているか。寝坊、娼婦の連れ込み、もしや無断の外出――まさか何か、この前の花のようなものが生えて影響を与えていたら。
 眠りを齎す水仙、石化魔法の素材、竜殺しシャルシュテルン――は人には効かないものだが。恋の卵ツェ・アイの効果が如実であっただけに、ちらりと過ぎった不安はカイの中で一気に膨らんだ。
 合鍵は鞄の決まったポケットに入っていた。魔法で作られた銀の鍵はぴたりと嵌り滑らかに回る。
「セヴラン、入るぞ」
 もう一度声をかけても返事はなく、カイはいつもセヴランの背を追って入る居間を一人で覗いて、やはり姿が見えないのに階段を見遣った。セヴランの部屋は上だと普段の振る舞いで知れていた。返事ではなく、物音が聞こえた気がする。
「セヴラン――居るか」
 階段を上っていってまた呼ぶと、今度は確かにぎっと軋む音が聞こえた。上がってすぐのドアの奥からと思えた。
「待って、大丈夫――大丈夫入らないで」
「なんだ、居たか……」
 前に立ったところで声が聞こえたことにまずほっとする。こうして焦った分、逆に躊躇なくやってこれたなとも思って、カイはもう何度も訪れた家でも見知らぬ二階の廊下を見渡した。此処も埃で曇っている。家が立派な割に、花瓶などは一切置いていないのも少し寂しい印象がする。
「寝坊か? 下で待っているから」
「あーいや、今日はいい、生えてない、平気」
 しかし言うと、大変に怪しい言葉がドア越しに返ってくるのには眉が寄る。
 いつもは必ず顔を合わせて、庭の自己申告の上で体を観察する。それで発現なしと見なしてから帰る。本人からは見えない場所に小さく生えている可能性もあれば、会話だけで済ませるようなことはなかった。
「……本当に?」
「ほんとほんとほんと! 本当に平気だから、だから、あっ」
 明らかに怪しい応答に、カイは部屋の扉を押し開けた。鍵などはかかっていなかった。
「開けるなって!」
 ばたたっと音がして、埃が舞った。
 ベッドの上ではセヴランがシーツを引っ張り身を隠している。カイたちが聞いていたとおり、大きな窓を備えた居間と同じくらい明るい部屋だ。だが、その傍に置かれたベッドを取り囲む物は少ない。
 他に目立つものと言えば例の竪琴と、古びた、大きな犬のぬいぐるみくらいだった。元は白色をしていたのだろうそれは薄汚れて日に焼けている。後は一階と同じく、申し訳程度の家具が残っているだけだった。本や小物入れの箱が隅のほうに積み置かれている。がらんとして、どれもが所在なさそうにしている。
 それらに少し勢いを削がれ、カイは一度立ち止まる。静かに一歩踏み出して、それでも何も起きず、部屋の主にも拒絶されないので進む。セヴランはただ焦ってシーツを抱えていた。先日のように上は裸だ。
「悪い、でも今のは嘘だろ」
 カイは一応謝って指摘する。日が差して白く照る肩や腕には草葉は見当たらないが、隠された体を見下ろして床に重い鞄を置く。
「嘘だけど……いつものやつだし、今日はよくない?」
「どこだ。見せろ。――なんで隠す?」
「足だけど、ほら、このへん、だから……」
 すす、と捲ってシーツから突き出される、蔦の巻きついた右足がやけに艶めかしく映り、青い目は動揺に瞬いた。
 それでもどうにか視線を逸らさずにいれば太腿の内側、先日より何やら際どい位置が始点だと分かる。確かにセヴラン自身も見慣れてきた星葉蔦キッカだ。しかし似ていて違う植物だということもありうるし、標本はなるべく多いほうがいい。採取の為に来ている。園丁官には、いつものだからいいや、は通用しなかった。
 足なら止めるか、とも勿論言えない。
 朝起きてまた足に生えているのを見て、その有様に引っこ抜いてやり過ごそうか迷っていたセヴランは視線から逃れるように俯いた。実はシーツの下にはちぎった葉も隠れている。思ったより断然早くカイが中に入ってきてしまって慌てたのだった。
 セヴランのほうも前回のことを気にしているのが知れて、カイは動転していた。どうにか平静を取り繕う仏頂面をして、ベッドの傍に膝をついてシーツの端を叩く。
「……切るから座れ」
 促すと、セヴランは目を泳がせる。花より大胆に下着の裾から足先まで絡むのを見下ろして、溜息を吐く。
「自分でやったらダメ?」
「貴方は雑そうだし駄目だ」
 返事は予想どおりで、諦めてシーツを放る。近くにあったシャツを羽織りながら足を外側へと投げ出す。その間にカイが道具を取り出している。きつく手袋を嵌めた。
 これまでも何度も足からの採取はやったことがあるにもかかわらず、カイは非常に緊張した。彼は医者――に似た仕事に携わる者として医神ラウゲスに誓いを立てた身である。女性相手でもこのように感じたことなどなかった。
「あれから異常はないか? その、何かなったり」
 一等白い足元に傅くようにして、前回にも似た姿勢で蔦を解く時間があるのに重苦しい沈黙が降りかけたのを、意気込んで破る。
「あの後はなんもない」
「そうか」
「ちゃんと――送れたの? 枯れたりしてないよね? 根まで採っといて」
「ああ。今大事に調べてる」
 動く指先が以前より気になる、のはあの花やこの蔦の所為ではないだろうから、セヴランは言わなかった。根を張っていた恋の卵よりは随分と楽に終えて鋏が入る。直接触れて薬を塗るのがまた気まずかったが、二人ともどうにか耐えきった。
「じゃあちょっと、送ってくる」
 カイが標本を送る間に、服を着たセヴランも階下へと降りる。二人で居間に入って座り、顔を見合わせる。寝癖のついた頭の男と、ぴしりと軍服を着込んだ青年と。明るさだけは十分な部屋で向かい合い、一息。
「居留守はやめてくれ。何かあったかと思った」
 雑談ではなく注意にセヴランは肩を竦める。しかしその響きが満更でもなく、ちょっと笑いそうな唇を揉んで訊ねた。
「心配した?」
 妙に嬉しそうに言うのでカイの眉が寄った。溜息を吐いた口が説教の調子になる。
「本当に……脅かしたくはないが、今度は毒性のある植物が生える可能性だってあるんだ。貴方の庭は豊かだし、動けなくなってるかも知れないとか、色々考える」
「毒」
「いや滅多に無い。庭に影響があったという報告もほぼ無いし、万一のときも解毒できるし、安心してくれ」
 けれどセヴランが聞き返したので短く終わる。他の庭にも、不要な心配をさせるとあまり言っていないことだった。誤魔化しでもなく実際、影響を及ぼした事例は数少ない。場にあるだけ、または触れただけで効果を発揮するような特別な物だけだ。恋の卵のような。
 セヴランは胡乱がるが、だからと言って生える前からどうこうできるものではないことは、彼にも分かってきていた。信じるよと頷きを重ねて、カイが改めてカルテやペンを取り出すのを見守る。
「まあさ、そもそも男同士なんだから恥ずかしがることなかったよね。見てくれがアレだけどさ」
「……」
 その合間の静かさに堪えかねて、保護剤と包帯の感触がある腿を撫でつつ言ってしまうと次の沈黙が余程痛い。
 気にしていない、と言うとむしろ強調された。男同士、なんでもない間柄のはずなのにやってしまったことが、お互いに。
 お互い、相手のことは知らないまま。

 男同士で、あれは花の所為。なのに一度そう思うと他まで気になり、カイは意識してセヴランの顔など見るようになった。所謂普通の男の顔である。顎が細くて、頬杖をつくと歪む唇は薄い。以前弦を爪弾いた指は長い。男の骨張った手だった。白葡萄の実のような色の瞳がカイを見る。細めて、くだらないことを言う。
 この男がいつかの夜はあんな風に呼び止めてきたのだとも結びついて、またどうにも胸のあたりが疼き出す。
 いかがわしい想像も、少しした。現実からは離れた妄想になっていく。ただ実際、彼の裸体の大半を見知っているのがいけなかった。理想を描くのではなく妙に現実的に思い出してしまうのが最悪だった。発現の確認の為に何度も脱がせて観察した、痩せた手足、平らな胸、背中、不健康な白さの肌。腰の上に二つ並んだほくろがあるのを彼は知っている。それが今更気になった。
 見て抱くのはあくまで仕事の所見としての感想であり、個人的な思いは挟んではいけなかった。ましてや、欲情することなどあってはならない。カイは己を叱りつけた。
 禊をして医院のほうにある祭壇に供物を置き誓いを新たに加護を願いもした。祭日でもないのにそんなことをするカイを家族は訝しんだが、まさか相談はできなかったので、仕事でちょっと、と適当に言い訳をした。
 恋の卵はかくも恐ろしいのかと不安にもなったが、相手が女性でもなかったので誰にも言えないでいるうち、研究報告の第一弾が齎された。根まで得られたことで現在まで枯れることなく保管に成功しているという吉報だった。
 香りはその場限り、居合わせた異性を魅力的に見せる軽い魅了の効果はある模様。実験中だが効果が出るときと出ないときがある。魔法への転用が期待できるが、まず真価は口にしてこそ、確かに部位によって効果が多少異なり、根の効果は強烈だが一服程度なら一晩で治まる。もっと具体的には、男で言うと数発で治まる。極めて有効性の高い精力剤、媚薬である。
 その報告文を何度も読んで、用途をあれこれ話す同僚たちと笑って、カイは腕を組む。
 ――飲んでも一晩で治まるはずのものならこれは、何だ。
 自分はこうなっているので調べてくれと申告すべきか。――言えなかった。幾ら彼が堅物の類でも、それを憚る羞恥心と、一般常識というものがあった。これは封ずるべき邪念と思われた。
 それにセヴランのほうは休みも挟んでもう一度、二度と会えばいつもの調子に戻った。こめかみに生えた柳の枝で冠を作って戯れ、また音が聴こえないかと耳を澄ませたりする。特にそういったことはないまま、採取になった。
「カイさあ、ついでに髪切ったりできない? いい感じに」
 枝を切る間に、逆側で伸びてきた毛先を指に遊ばせて訊ねる。
「出来るわけないだろ、いい感じなんて尚更」
「残念。じゃあ終わったら鋏貸して、探すの面倒臭いや」
「貸さない」
 自分でやるから、というが大事な仕事道具をぞんざいに使われては堪ったものではなかったので断る。支給されたエリュース鍍金の一級品、切れ味よく錆や刃毀れもない品はカイとしてはいずれ家で使うのにも購入したいくらいのお気に入りでもあったので。大体、髪を切るには向かない。
「カイはなんで伸ばしてるの。面倒じゃない?」
「祖父も父も伸ばしてるから、それでまあ、習慣半分憧れ半分……」
 髪の手入れなど縁がない様子のセヴランを見て、カイは自身に言い聞かせる。
 ――ほら見ろ、全然そんなんじゃない。だらしない男だ。
 彼はあまり異性への欲や、結婚への望みがはっきりとあるほうではなかったけれど、それでもなんとなく、両親や姉夫婦のようにいつか自分も誰かとそういう仲になって家庭を持つんだろうという漠然とした期待はあった。
 ――小柄で。素直で明るく可愛らしい感じで、俺を頼りにしてくれるような、女性と。
 そういう夢だった。セヴランは全然違う。まず男で、ついでに可愛くない、別に小柄でもない。男にしては、いやそれでもこれは貧弱とか言うのだ。華奢じゃない。素直ではあるかもしれないけれど。
 そう確認して、芽生えた欲を忘れようとする。もうすっかり忘れたように気儘に振る舞う男に倣って。

 セヴランだって、実はまだ忘れてはいなかった。彼もまたどうにかして忘れようとはしていたが。
「ゲルダちゃんさあ、恋の卵って知ってる?」
「なぁにそれ。鳥の卵?」
 売春宿の一室、ベッドの上に寝転がったセヴランが訊ねた相手は娼婦である。すぐ服を脱いで晒される豊かな胸を揺らして、聞き返しながら上へと覆いかぶさる。艶やかな金髪が香った。二の腕、脇、乳房へと指を遊ばせ柔さを堪能し、セヴランはほうと息を吐く。
 ――そうそう、こういうものだ。
 欲はこうやって起こるものだと、改めて考え直す。
「んーん、媚薬になる花。この前生えてきて大変だった」
 あれはすべて花が引き起こしたことであり、相手がカイであるのは、ことに居合わせたからに過ぎない。そう言い聞かせる。男に欲情なんて、きっと間違いだ。久々に仲良くなれた人間だから心が誤認しているのかも知れないとも思う。
 それくらい、この前までは寂しかった。
 カイはセヴランに優しかった。
「生えたらムラムラするの?」
「した」
 ――体から草が生えてくる、いや冗談じゃなくて本当に。それで色々困る。金は貰えるけど。
 なんて、これまでにも聞かされているゲルダはくすくすと笑う。そういうことが起きるとは確かに巷の噂に聞いたことがあったので、この客の頭を疑わずに済んでいた。
「それであたしのところに来たの?」
「いや、もう無いよ。でもしたら凄かったと思うよ」
「すごいの?」
「凄い。神様の精力」
「気になるぅ」
 ろくに中身のない会話で笑い合い、触れ合い、事に及ぶ。セヴランは若くて感じやすいのですぐ勃起するし、あまり突飛なこともしないので慣れた娼婦には容易い仕事だった。した後にも甘えてずっと触れたがるのが面倒臭いのだが、まあそれも金を貰って時間内なら許容範囲だ。
 今日は彼女の主導で、陰茎が反応してきたところで積極的に顔を寄せた。
「まだ我慢よ、出さないでね」
「ん――」
 咥える前に何気なく言われるのに、セヴランの耳にカイの声が蘇った。動揺して右足が浮く。床ではなくシーツを裸足で蹴って、硬直した。
 今目の前に居る、そして身に触れる娼婦を押しのけるように一週間ほど前のことが思い出された。慣れた舌遣いで陰茎を刺激する口淫が、先日の自慰とも重なる。そうしてやがて――カイが女と同じように口で触れる妄想に育ち始めて、セヴランは息を詰めた。
「っと待って、」
 じわと滲む先走りに丁度顔を上げた金髪の娼婦が悪戯っぽく笑うのに、セヴランは情けなく愛想笑いを返した。
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