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この時期、この町の港は漁港以外は閑散としている。定期連絡船以外は旅客も貨物も減る。検査官の仕事も減って、冬の港町に似合いの寒く湿った雰囲気になる。
「そろそろ行ってくる」
「おー」
だからばたばたと店に急いで飯を掻きこむ夏とは違い、同僚に声をかけるやりとりも足取りものんびりする。俺は職場の扉を開けて、吹き込むひんやりとした風に詰襟制服の前を掻き寄せた。
魚臭い漁港の大通りを抜け、目指す店は決まっている。青い屋根の建物、いくつか飲食店が並ぶ中で西側から三番目。外に出ている看板にチョークで書かれた文字を素早く横目で確かめ、食えない物や苦手な物ではないのを確認する。
フラッグ。名のとおりはためく旗が開店の目印、交差した旗のマークが看板の料理店だ。味は最高だが高級店ではない。この港で働く男たちの腹を満たしてくれる庶民的な飯屋。厨房が見える十席のカウンター、二人掛けのテーブルが二つの小さな店だ。
開店直後の一度目の盛況後が俺の飯時。腹を空かせて流れ込んだ漁師たちの波が引いたその合間の時間に滑り込んで席を確保する。
「おう兄ちゃん、お疲れさん」
「どうも」
ガラス窓で中の見える扉を引くと温かい空気と賑やかな声が漏れてきて、空腹を疼かせるいい匂いがする。カランとベルの鳴る下で気のいい馴染みの顔と擦れ違い――今日もほどよく椅子が空いたところだ。カウンターの端がとれた。ふ、と息を抜いて曇った眼鏡を畳んでポケットに突っ込み、厨房へと目を向ける。
丸い料理帽を被った店の主。後姿。帽子の端に僅かだけ覗いている毛先が栗色で、調理コートのベルトを縛った腰が細い。今はその腰に手を当てて、大きなスープ鍋を覗きこんでいる。
広い背中。仕事の為の筋肉で袖を張らせた腕。きゅっと締まる腰、尻、足。
俺はその様子を確かめながら、ピッチャーに手を伸ばした。行きつけの店だ。水は綺麗に磨かれ置かれているグラスに勝手に貰う。
振り返った彼と目が合う。グレーの瞳。小さい鼻と口の整った顔。にと笑って新しい客に歩み寄ってくる。
「いらっしゃいませ。パンとライスはどちらに?」
「今日はパンがいい」
「かしこまりましたー」
朗らかな声と共に再び踵を返して、俺の注文を用意し始める。
小さい店だ。冬になると雇いのウェイトレスも大体いなくて、こうして料理人が一人で切り盛りしている。それで十分な店の広さと手際のよさ。
料理が出てくるのを待つ間、俺は彼の動きを眺める。
鉄鍋を熱する傍ら卵を割り溶いて、塩コショウ、ナツメグの瓶を振る。たっぷりとバターを溶かし、刻んであったベーコンとハーブを放り込んで軽く炒めた上に真っ黄色が入って掻き混ぜられ、瞬く間にふわふわのオムレツへと仕上がっていく。
火を通す間に練りバターを薄く塗られたパンの上、そのかたちに合わせた楕円形のオムレツが寝そべった。サンドイッチはいつも具材がはみ出ないで上手くいくのに感心する。塩蔵イワシを使ったこの店の絶品ソースがスプーンの背で塗られて、
「いらっしゃいませ、今日もライスでいいですか?」
「ああ頼む」
他の客も迎えながら。葉野菜と玉ねぎのスライスが乗り、もう一枚のパンが蓋をするように載せられる。押さえるのは、洗い物も多いだろうにあかぎれなどは見当たらない清潔感のある手だ。
サンドイッチが食べやすいよう半分ななめに切られたところで俺は頬杖ついた。青い縁取りのいつもの皿に載って、店名になぞらえた仕上げ、旗のピックが刺されるのを見守る。旗があるともっとうれしいから、とは彼の弁。旗は――白地に青のボーダーだった。ふんと息が抜ける。
ちょっと――いやかなり残念だが、待ちに待った昼食だ。すぐに気分は上向く。
「はいお待たせしました。オムレツサンド」
今日のパンのセットは、ベーコン入りオムレツのサンドイッチ。薄切りの揚げポテトを添えて、マグにはラウ貝のミルクスープ、食後のトフィーつき。
ことことと静かな音を立てて食器が目の前に揃えられる。いい匂いがさらに近づいた。
「どうぞ」
「……ありがとう」
何度見ても模様の入っている旗から視線を上げるとグレーの瞳と擦れ違った。彼はすぐに別の客に呼ばれて行ってしまう。
俺は少し黙って、サンドイッチへと手を伸ばした。
「いただきます」
齧りついたサンドイッチはしあわせな味がした。じゅんわりとバターが染みたパンに挟まれたオムレツは期待どおりの柔らかさ、オムレツの熱でソースがとろけて香り立つ。まだ歯触りのいい野菜と混ざるとやっぱり絶品、とてもうまい。
「相変わらずウマそうに食うな、検査官さんは」
隣に来ていた釣具屋の爺さんが言う。俺はしっかりと味わったものを飲みこみ、口元を指で拭って頷いた。
「実際うまい料理だからな」
「俺も今日はパンにするかねえ。いっつも悩んじまうな」
同意だ。
この店は昼と夜の営業をしているが、昼はパンとライス、二つのセットだけでやっている。それぞれ料理が違って、今日のライス料理はタラとポテトの炒め物をハーブライスに添えたものだった。あれもうまい。知っている。ここの料理はなんだってうまい。辛い物は困るが、あまり無いし。
望めばパンとライスを入れ替えて提供もしてくれるが、俺としては考えて決められた献立を味わいたかった。
どうしても海産物が多いこの町で肉類を使ったメニューが豊富なのも魅力的だ。肉と言えば単純に焼くか、精々煮込んでシチューか、というこの辺りのつまらない肉料理じゃなくて、様々に工夫を凝らした物が出る。彼は山向こうの町の出身で、その地方の料理にここの食材や調理法を加えてメニューを開発しているのだと以前に聞いた。
ともかく、料理が大変うまい気に入りの店だ。……店、料理だけじゃなく彼も素敵で、気に入りというか、俺としては交際したいくらい好きになっている。料理の腕が抜群なことを置いといても、見た目も振る舞いもとてもいい。実際それを伝えもした。けれど彼は素気なく、あの約束をしてからも店の中では他の客と同じ扱いで、ちょっとした会話しか付き合ってくれない。いや、それも楽しいが、物足りない。最近、なかなか機会を与えてもらえないし。
俺は旗の合図を待っている。毎日。日によっては昼も夜も。
ざくりと噛んだポテトの塩加減も、サンドイッチを邪魔せずに丁度いい。まだ温かいそれをほくほくと噛みながら、スープを掻き混ぜて飲む。港町では飲み慣れたものだが、その分作った人それぞれの味がする。彼のスープは塩が控えめだが、いつも旨味の余韻が心地良く、やさしく包むような味がする。飲み干すまでに体はすっかり温まる。うまい。ああもう無くなる。
スープのおかわりを求めると、二杯目までは無料でよそってくれる。よく食う客が多いから、そこまでは織り込んだ価格設定なのだとか。
急いで掻きこむ必要はない。ゆっくりとサンドイッチを噛みしめて味わい、ポテトとスープを交互に楽しんだ。その間も手際よく動く、料理人の姿を眺めながら。
「ごちそうさま。うまかった」
食べ終わって水も飲み干し、金を取り出しながら声をかける。振り返った彼はまたにと笑って籠を差し出し、丁度の飯代を受け止めた。
「ありがとう。午後も頑張れ」
「――うん。それじゃあ、また」
そうして一言もらえるのが嬉しい。嬉しいが、名残惜しさは隠せなかったと思う。また明日、だ。俺は最後に小さな包みをぺりりと解いて、甘いトフィーを口の中で転がしながら仕事へと戻る。煮詰められたミルクの甘みはいつだって優しい。
「そろそろ行ってくる」
「おー」
だからばたばたと店に急いで飯を掻きこむ夏とは違い、同僚に声をかけるやりとりも足取りものんびりする。俺は職場の扉を開けて、吹き込むひんやりとした風に詰襟制服の前を掻き寄せた。
魚臭い漁港の大通りを抜け、目指す店は決まっている。青い屋根の建物、いくつか飲食店が並ぶ中で西側から三番目。外に出ている看板にチョークで書かれた文字を素早く横目で確かめ、食えない物や苦手な物ではないのを確認する。
フラッグ。名のとおりはためく旗が開店の目印、交差した旗のマークが看板の料理店だ。味は最高だが高級店ではない。この港で働く男たちの腹を満たしてくれる庶民的な飯屋。厨房が見える十席のカウンター、二人掛けのテーブルが二つの小さな店だ。
開店直後の一度目の盛況後が俺の飯時。腹を空かせて流れ込んだ漁師たちの波が引いたその合間の時間に滑り込んで席を確保する。
「おう兄ちゃん、お疲れさん」
「どうも」
ガラス窓で中の見える扉を引くと温かい空気と賑やかな声が漏れてきて、空腹を疼かせるいい匂いがする。カランとベルの鳴る下で気のいい馴染みの顔と擦れ違い――今日もほどよく椅子が空いたところだ。カウンターの端がとれた。ふ、と息を抜いて曇った眼鏡を畳んでポケットに突っ込み、厨房へと目を向ける。
丸い料理帽を被った店の主。後姿。帽子の端に僅かだけ覗いている毛先が栗色で、調理コートのベルトを縛った腰が細い。今はその腰に手を当てて、大きなスープ鍋を覗きこんでいる。
広い背中。仕事の為の筋肉で袖を張らせた腕。きゅっと締まる腰、尻、足。
俺はその様子を確かめながら、ピッチャーに手を伸ばした。行きつけの店だ。水は綺麗に磨かれ置かれているグラスに勝手に貰う。
振り返った彼と目が合う。グレーの瞳。小さい鼻と口の整った顔。にと笑って新しい客に歩み寄ってくる。
「いらっしゃいませ。パンとライスはどちらに?」
「今日はパンがいい」
「かしこまりましたー」
朗らかな声と共に再び踵を返して、俺の注文を用意し始める。
小さい店だ。冬になると雇いのウェイトレスも大体いなくて、こうして料理人が一人で切り盛りしている。それで十分な店の広さと手際のよさ。
料理が出てくるのを待つ間、俺は彼の動きを眺める。
鉄鍋を熱する傍ら卵を割り溶いて、塩コショウ、ナツメグの瓶を振る。たっぷりとバターを溶かし、刻んであったベーコンとハーブを放り込んで軽く炒めた上に真っ黄色が入って掻き混ぜられ、瞬く間にふわふわのオムレツへと仕上がっていく。
火を通す間に練りバターを薄く塗られたパンの上、そのかたちに合わせた楕円形のオムレツが寝そべった。サンドイッチはいつも具材がはみ出ないで上手くいくのに感心する。塩蔵イワシを使ったこの店の絶品ソースがスプーンの背で塗られて、
「いらっしゃいませ、今日もライスでいいですか?」
「ああ頼む」
他の客も迎えながら。葉野菜と玉ねぎのスライスが乗り、もう一枚のパンが蓋をするように載せられる。押さえるのは、洗い物も多いだろうにあかぎれなどは見当たらない清潔感のある手だ。
サンドイッチが食べやすいよう半分ななめに切られたところで俺は頬杖ついた。青い縁取りのいつもの皿に載って、店名になぞらえた仕上げ、旗のピックが刺されるのを見守る。旗があるともっとうれしいから、とは彼の弁。旗は――白地に青のボーダーだった。ふんと息が抜ける。
ちょっと――いやかなり残念だが、待ちに待った昼食だ。すぐに気分は上向く。
「はいお待たせしました。オムレツサンド」
今日のパンのセットは、ベーコン入りオムレツのサンドイッチ。薄切りの揚げポテトを添えて、マグにはラウ貝のミルクスープ、食後のトフィーつき。
ことことと静かな音を立てて食器が目の前に揃えられる。いい匂いがさらに近づいた。
「どうぞ」
「……ありがとう」
何度見ても模様の入っている旗から視線を上げるとグレーの瞳と擦れ違った。彼はすぐに別の客に呼ばれて行ってしまう。
俺は少し黙って、サンドイッチへと手を伸ばした。
「いただきます」
齧りついたサンドイッチはしあわせな味がした。じゅんわりとバターが染みたパンに挟まれたオムレツは期待どおりの柔らかさ、オムレツの熱でソースがとろけて香り立つ。まだ歯触りのいい野菜と混ざるとやっぱり絶品、とてもうまい。
「相変わらずウマそうに食うな、検査官さんは」
隣に来ていた釣具屋の爺さんが言う。俺はしっかりと味わったものを飲みこみ、口元を指で拭って頷いた。
「実際うまい料理だからな」
「俺も今日はパンにするかねえ。いっつも悩んじまうな」
同意だ。
この店は昼と夜の営業をしているが、昼はパンとライス、二つのセットだけでやっている。それぞれ料理が違って、今日のライス料理はタラとポテトの炒め物をハーブライスに添えたものだった。あれもうまい。知っている。ここの料理はなんだってうまい。辛い物は困るが、あまり無いし。
望めばパンとライスを入れ替えて提供もしてくれるが、俺としては考えて決められた献立を味わいたかった。
どうしても海産物が多いこの町で肉類を使ったメニューが豊富なのも魅力的だ。肉と言えば単純に焼くか、精々煮込んでシチューか、というこの辺りのつまらない肉料理じゃなくて、様々に工夫を凝らした物が出る。彼は山向こうの町の出身で、その地方の料理にここの食材や調理法を加えてメニューを開発しているのだと以前に聞いた。
ともかく、料理が大変うまい気に入りの店だ。……店、料理だけじゃなく彼も素敵で、気に入りというか、俺としては交際したいくらい好きになっている。料理の腕が抜群なことを置いといても、見た目も振る舞いもとてもいい。実際それを伝えもした。けれど彼は素気なく、あの約束をしてからも店の中では他の客と同じ扱いで、ちょっとした会話しか付き合ってくれない。いや、それも楽しいが、物足りない。最近、なかなか機会を与えてもらえないし。
俺は旗の合図を待っている。毎日。日によっては昼も夜も。
ざくりと噛んだポテトの塩加減も、サンドイッチを邪魔せずに丁度いい。まだ温かいそれをほくほくと噛みながら、スープを掻き混ぜて飲む。港町では飲み慣れたものだが、その分作った人それぞれの味がする。彼のスープは塩が控えめだが、いつも旨味の余韻が心地良く、やさしく包むような味がする。飲み干すまでに体はすっかり温まる。うまい。ああもう無くなる。
スープのおかわりを求めると、二杯目までは無料でよそってくれる。よく食う客が多いから、そこまでは織り込んだ価格設定なのだとか。
急いで掻きこむ必要はない。ゆっくりとサンドイッチを噛みしめて味わい、ポテトとスープを交互に楽しんだ。その間も手際よく動く、料理人の姿を眺めながら。
「ごちそうさま。うまかった」
食べ終わって水も飲み干し、金を取り出しながら声をかける。振り返った彼はまたにと笑って籠を差し出し、丁度の飯代を受け止めた。
「ありがとう。午後も頑張れ」
「――うん。それじゃあ、また」
そうして一言もらえるのが嬉しい。嬉しいが、名残惜しさは隠せなかったと思う。また明日、だ。俺は最後に小さな包みをぺりりと解いて、甘いトフィーを口の中で転がしながら仕事へと戻る。煮詰められたミルクの甘みはいつだって優しい。
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