死神の夜

もんず

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一章 イロイロハジマリ

1-3 「トンカラトン」

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トンカラトン、、トンカラトン、、
そんな言葉を歌いながら自転車は走る。
トンカラトン、、トンカラトン、、
「トンカラトンと言え、、、」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「トンカラトンですか、、?」
なんじゃそれといういかにもな雰囲気で私は問う。
「ああ、そうだ。聞いたことはあるか?」
いや、ないけどな、、
すると、結月さんが説明してくれた。
「トンカラトンというのはね、都市伝説の一種だよ、元は[花子さんがきた]というアニメで紹介されたんだけど、本来はただのスタッフさんの地元の噂話で、それを色々リメイクしてこの話を作ったんだけど、そのスタッフさんとの連絡が急に途絶えて、真相は謎のままなんだよ。そのアニメを見た多くの子供はトラウマになったんだろうけど、今じゃその意味がわからないねー」
へぇ、、すごい、、そう感心してると、仁さんが、
「で、そいつの特徴は全身ミイラで刀を背負ってて、トンカラトントンカラトンと自転車に乗りながら歌ってるんだ。そして、通りかかった人にトンカラトンと言えと命令し、従ったらそのまま通り過ぎ、従わなかったらその人を斬って、トンカラトンにして仲間を増やすんだ。なぜ増やしてるかはわからないけどね。」
え、何でそんなことするんだろう、、
「で、この任務を実際に実行するのは、亡の初任務という事もあって、全員で行く。存分に自慢大会を始めろ。」
あ、そういや結月さんと仁さんはどんな武器を使うんだろう。気になるな。
「よーし、じゃあ、今夜、依頼された場所に行くぞー。」
えー夜なの?まぁ幽霊とかがでる時間帯はそんなもんか、、、、

 *

「えーと、これと、、、あ、あとこれも、、、」
初任務になった私は、初めてなのもあり、色々準備に戸惑っていた。すると、
「緊張してるの?」
いきなり後ろから結月さんが話しかけてきた。
「あ、、、はい、、、」
「そりゃそうだよねー。初めては緊張するし。もうそろそろ出かけるよ。準備は終わった?」
「はい!充分です!」

 *

「あー、、ここがですか、、」
私達は、依頼主の神社の神主さんに話を聞いていた。
(あとちなみにここは、いつもおまじないかけたお札貰ってるとこ)
(あ、そうなんですか。知りませんでした。)
(ここにはいつも世話になってるからね、仲がいいんだ。)
結月さんが説明をしてくれた。
すると神主さんが、
「さぁ、夜までは時間はあります。ゆっくり休んでいってください。」

 *

「おー、広いですねー。」
「あははは、、、、、人が少なくてですね。、、、働き手は募集してるのですが、、、、」
、、、、そういや、何でこの神社は殺生屋と縁があるんだろう、、、
「あ、あの、、」
「なんだい?」
優しい声で話してくれる神主さん。坊主さんだけど、普通にモテるかも。
「殺生屋と縁があるのには何か理由があるのでしょうか?」
「ああ、、、、それはね、、、、」

 *

その日は、いつもより静かな夜だった。
「はぁ、、、はぁ、、、なんですぐに祓えないんだ、、、?」
その日の霊はいつもより粘り強かった。どれだけ祓おうとしても、全然祓えなかった。ましてや、お札も全部切れてしまった。
そう。いわゆる詰みだ。
「ああ、、、もうだめだ、、、」
必死に逃げるも、すぐに追いつかれてしまうだろう。
死を覚悟したその時。
「はぁ、、、、、お坊さんの癖に頼りねぇじゃあねぇか、、、、、」

 *

「あ、、、、私と似てますね。私もそうやって助けてもらいました。文句は言われてませんけど、、、」
「そうなのかい。じゃあ似たもの同士だね。」
朝日先輩はいっぱいの人を助けてるんだな、相変わらずすごいや。追いつけそうにないや。
「あ、、、、、もう夜だよ。行っておいで。」
もう夜ですか。じゃあ、私も行きますか。

 *

「遅いぞ、早く行くぞ。」
車の前にはもう朝日先輩達の姿があった。
「腕が鳴るねー、、、」
「久しぶりに暴れられるのか、、、」
おっと、二人が闘気ダダ漏れにしてる。一体どんな戦い方するんだろう、、、

 *

「よーし、着いたよ。亡ちゃん。ちゃんと見といてね。」
「あ、はい!」
「よーしきたぞー。例のトンカラトンだ。皆、武器を鎌えろ。」
そう言われ、私も銃を取り出す。
トンカラトン、、、トンカラトン、、、
だんだんその歌声が聞こえてくる。
「トンカラトンと言え、、、、、」
「よし!!出撃!!」
「「「おー!!!!」」」

 *

「わー!!あっちにもこっちにもー!!」
「騒ぐなよ。まだ5人ほどだろー。それよりか、あいつらを見てみろ。」
おっと、そうだった。結月さんと仁さんの戦い方を見ないと。
「ほおおおおれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
鈍い音と共に仁さんは叫ぶ。
「え!?拳で!?」
「ああ。一応丸めたお札を握ってるぞ。腕が鳴るだろ?一応でっかい斧も使うけどな。」
「物理的になっちゃってますよ!結月さんは、、、、、、?」
「はいはいはいはい遅い遅いー!!!楽ちんだねー!!」
包丁を使ってトンカラトン達を文字通り捌いていた。
「姉ちゃんは、あんな包丁の腕は凄いのに、料理自体の腕は腐ってるんだぜ?まるで星のカ◯ビィのコ◯クカワサキみたいだろ?」
「確かにそうですね!そろそろ私も動かないと、、、」
やばい。そう言いながら後ろを向くと、あら不思議、トンカラトンでびっしり。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」
怖い怖い!!
私は必死に撃ちまくる。
「おい。痛い。当たってる。」
「すいません!!気をつけます!」
実弾をくらって痛いで済む朝日先輩も朝日先輩ですけど。
ていうかこれ、完全にバトルになってるんだけど、、、、いつもこんな感じ、、、、、、?
「、、、、こんな感じ。」
「心読まないでください!」
「そんなこと話してる場合じゃないぞ。大物が来たぞ。」
そういい、朝日先輩が見た方向に私も目を向けると、仁さんぐらいあるトンカラトンが。
「でっっっっっっっっか!!!!」
思わず叫んでしまう私。こればかりはびっくり。
「いちいちビックリすんなよ。反応に面倒臭い。」
「だから心を読まないでください!!」
半ば涙目で訴える。
「うし、行くか。だいぶ堅そうだぞ。」
「僕が最初にいこう。」
「いや、私が。包丁でグサリよ!!」
、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「喧嘩しないでください!!わざわざそんなことしてる意味ないですよ!!」
「結月よ、流石に僕だって活躍したいんだ。」
「あんたはいつも武器作って活躍してるじゃん。たまには私にも言わせてよ!!」
「ああ、、そんなことしてると、トンカラトンが、、、、」
「トンカラトンと言えー!!!!!!」
やっぱりいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!
「「うるさぁぁぁぁぁぁぁぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」」
そう二人が叫ぶと同時に繰り広げた拳で、大柄なトンカラトンは呆気なく飛ばされる。
もちろん私達は口をあんぐりとしている。
「、、、、、、、、もう、俺たち出る幕なくね、、、?」
「そうですね、、、、、、」
もう、呆然としているしかやる事は無かった。
、、、、、、初任務、あんま活躍できなかったな、、、
「、、、、まぁ、次があるさ。」
「、、、、、、だから、心を読まないでください、、、、、」

 *

「ありがとうございます、、、トンカラトン達を祓ってくれて、、、」
神主さんが、優しい声で話す。
何でか、神主さんの声を聞いてると心がふわふわしてくるんだよね、、、なんでかな、、、?
「それじゃあ、俺達は帰りますねー。」
そうして、私の初任務はほぼ活躍出来ずに終わった。

 *

「ああ、、、、、全然活躍出来なかったな、、、、」
念願のお風呂タイム。やっぱ癒される。
「がっかりしてるねー。でも全然活躍出来てた方だよ、、?」
そうなのかな、、?
「初めての時は1体も祓えない事もあるんだよ?」
ええ、じゃあ私は活躍出来た方なんだ、、
「ましてや相手はトンカラトンだよ?元人間だ。残忍さも必要だしね、、」
そうだった、、、相手は元人間なんだ、、、、私、自分の命大切さに、何も考えずに相手をずっと銃で撃ってた。祈りもせずに、、、、、、
、、、、、、、、、、、
「相変わらず結月ちゃんはひどいねー。初任務をせっかく生き延びられたんだから。」
、、、、、、、、、、、、誰ですか?、、、、、って、、、、、
「なんでスッポンポンなんですか!!タオルぐらい巻きましょうよ!!!」
初対面でスッポンポンで出てくるという癖の凄さ。ていうか色々やばいのですが、、ていうか大きいですね、見惚れてしまいますよ、私なんて、、、まだツルンツルンで、、、、、いや、そんな事考えない考えない。
「ふうーー、、、、あったかいー、、、癒されるー、、、」
いやだからなんなんですかこの人は、そんなことも言えずに時は経つのだった、、、、

 *

「いつの間に帰ってきたんだよ。製雨。」
「あははー、ごめーん。ドッキリのつもりだっただけど、、、、、」
「いや、急すぎます。めっちゃビックリしました、、、」
すると、朝日先輩が「あっ」とした顔で私を見て、紹介を始める。
「こいつは薬造製雨(やくづくりせいう)。怪我薬の製作や、機械の製造をしてくれる。」
「ちーす。よろしくね。」
「ところでお前、どこ行ってたんだ?」
「薬の研究。これからは色々な薬が作れるよー。」
「私の胸を大きくできる薬はありませんか?」
秒で相談してしまった。
「お前は何言ってんだ。」
速攻朝日先輩につっこまれたけどね。
「まぁ、製雨も帰ってきたことだし、戦力は大幅アップだな。これからは、もっと忙しくなりそうだ。」
これからも、頑張りますか。
私はそう、気合いを入れたのだった。


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