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20話 旅に出る
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「なるほど、召喚されたとかではなく、死んじまった後に神様に連れてこられたと。にしても空上から投げ出されるとは!神様もイタズラ好きだな!」
転生した状況を話しているとギルマスに笑われてしまった。
「笑い事ではないですよ!落下で死ぬ事はないように魔法はかかってたみたいですけど、カエデが居なかったら大怪我してましたよあれは……」
落下中の事を思い出しブルッとしてしまう。
「ま、まぁ……そのお陰で私はご主人様と出会えたので……」
「カエデとガルムさんには感謝だな」
ガルムさんにも旅に出る前に挨拶しなくちゃな、めちゃくちゃお世話になったし。
「ガルム?インカース奴隷商館のガルムか?」
「はい、そうです」
「そういや、今日アイツが護衛クエスト出してたぞ?隣街のサンビークまでだな」
「ほんとですか?」
「あぁ、感謝してるなら旅ついでに受けてやったらどうだ?」
受けてもいいかもしれない、金銭面の余裕はあまりないからな。
そうなれば護衛対象はガルムさんと奴隷達になるんだろうな、カエデの知り合いがいれば楽しい旅になりそうなんだが。
「そうですね、なら今から……」
「まてまて、まだ話は終わってねぇぞ」
ギルマスが俺の肩を両手で抑え、座らせてきた。
「コウガに聞きたい事がある、お前の変身は制限とかあるのか?」
「制限?」
「あぁ、誰にでも変身出来るのか、それとも限られた誰かにしか出来ないのか。他にもカエデのスキルを使えるのは変身時だけなのか、1部だけなのか、とか聞きたい事は沢山ある。場合によったら1部隠して旅しねぇと誰かに狙われる可能性がある」
「誰かに狙われる……?」
「あぁ、お前の変身スキルの似たような物ならあるが、ハッキリ言ってコウガが使う変身は見た事も聞いた事もない、他人のスキルが使えるなんて前代未聞だ、こんなのが世に知られたら……戦い好きな国や研究者に狙われる、それは避けなきゃならない」
確かに、誰かに狙われるような旅はしたくない、正直に話しておくべきか……
「この変身スキルは俺以外には使えない物です、それに変身対象はお互いに一定の絆で結ばれて加護を授かる必要があります。スキルに関してはテイムは試してませんが、それ以外なら変身時のみ使えます。神様から貰ったスキルと加護ありきで使えてますから他人には不可能でしょう。ただ、確かに研究や戦いの為に狙われる可能性は0ではないかもですね」
「お前以外には使えないって分かっただけマシだな……」
ギルマスは顎を手で支えながら暫く考え込む。
「ねぇコウガくん、普段周りに見せていい魔法と隠しておく魔法と分けた方がいいわよ?」
「……やっぱり、多属性使えるとやはりマズイですか?」
「最多でも4属性じゃないとマズイわね、有名になりたいなら構わないけどね、AやSランクとなれば5~6属性使える魔法使いも居ない訳ではないから、それに勇者PTの魔法使いは全属性使えたみたいだし」
勇者か、確か半年くらい前に勇者によって魔王は倒されたんだったか、会えるなら話をしてみたいもんだ。
「有名になろうとは思わないですね……1~3属性が普通、それなら俺もそれに合わせとかないとな」
旅に出る前に普段使いの属性を決めておくか。
氷は確定、回復魔法の聖は必須だ、あとは火か水か風辺りを使えるようにしておきたい。
使い慣れてるのは火と風だから、この4つにしておくか。
「よし、なぁコウガ」
暫く考え込んでいたギルマスが何か決めたようだ。
「はい何でしょう?」
「お前、トライデント王国直属の冒険者にならねぇか?」
「王国直属の??」
直属冒険者、国や冒険者ギルドのお墨付き冒険者って感じだろうか?
「あぁ、王国の冒険者ギルドが直属認定すると、お前のギルドカードに王国印が押されるんだ、王国印があれば他国にが手を出そうとしてもトライデント王国の後ろ盾があるって事の証明になり、それで手を出されにくくなる訳だ」
なるほど、それは有難いな。
ただ直属となれば何か制約とかあったりするのでは……?
「直属になった際の制約とかあるんですか?王国から縛られたりとか指名依頼とか来たり……」
「Bランク以上の直属とかになれば、王国の近くに居るならあるだろうが、Dランクのお前達なら特にねぇな、一応直属冒険者専用の連絡手段を持って貰うが」
「連絡手段?」
「ギルドカードに入れる王国印に術式を編み込んでギルマスである俺と連絡を取り合う事が出来る、王国からの使命があればこれを使って連絡するんだ、まぁお前達にはまだ無いだろうから心配すんな」
「なるほど……分かりました、俺達は旅に出るので恐らく遠くに行くと思います。連絡されても行けるとは限りませんが、それでもいいなら」
「構わねぇよ、ストームキャットから守ってくれた礼だと思ってくれ。本来直属になるにはお前達の実績と俺のお墨付きがいるんだが、それはストームキャットの件で事足りる、直属判断も王国からギルマスである俺判断でしてくれて構わないと言われていてな、登録させてもらうぞ」
俺とカエデはギルドカードをギルマスに手渡すと登録をしに部屋から出ていく、ずっと黙って聞いてたミラさんが口を開いた。
「コウガくんカエデちゃんごめんね、私達も行けたら良かったんだけど……」
「気にしないでください、気持ちだけでも嬉しいです!」
「そうですよ!全てはあの人が悪いだけなんです、2人の分まで私達がフードの人を叩きのめしてきますから!」
「2人共、ありがとう……そうだ、これ受け取ってくれない?」
ミラさんがアイテム袋からアンクレット的な装備を出してきた。
「ブレスレット……いやアンクレット?しかも2つで1つになるような柄に見えますけど」
銀素材で出来ていて、片翼がデザインされていて綺麗だ、2つを合わせると湾曲がピッタリ合わさるようになっていて、片翼同士がくっつくと翼を広げた様なデザインになった。
「えぇ、これの効果が2人で着けてペア同士が近くにいるとステータスUPや耐性UPしてくれる装備よ」
「なるほど、貰って良いんですか?」
「もちろん!お守りみたいな物よ」
「「ありがとうございます!」」
鑑定してみると。
『銀片翼のアンクレット(素早さ小UP、対となっているこの装備を2人が着けて近くに居ると状態異常耐性小UP)』
早速2人で装備してみる。
「ご主人様!どう?似合ってる?」
「あぁ、翼のイメージとも合っていて似合ってるぞ!」
カエデは狼人だから、風のように走る姿が翼と良く合うんだよな、俺も変身で狼人になれば今よりも似合うかもしれない。
そうこうしてる内にギルマスが帰ってきた。
「これで登録完了だ。連絡のとり方は、この王国印に指を当てて魔力を流せ、そうすれば俺に繋がる。連絡がかかってくると相手の流した魔力が知らせてくれるからすぐ分かる筈だ」
「分かりました、ありがとうございます」
何か困った事があればギルマスに相談出来る訳だな?向こうからの徴集の可能性も0ではないが、ギルマスの情報に助けられる可能性もあるからな、有難い。
「まさかコウガを直属冒険者にする事になるとは、今日の今日まで思わなかったぜ……もう本当に俺がやれるのはここまでだからな、もう期待するんじゃねぇぞ」
「分かってますよ。助かります」
ギルマスから念を押されて話は終了し、執務室から出た。
ミラさんとジルさんはやる事があるそうで、ここでお別れとなる。
「2人共、大変な旅になるだろうけど頑張ってね!」
「特訓で2人の実力をみた、これから次第で何処までも強くなれるだろう、鍛錬を忘れるなよ?」
「はい!ありがとうございます!」
2人から激励を貰い、手を振って別れる。
ギルドから外に出るジルさんとミラさんを見送ってから、クエスト掲示板を見に行くとガルムさんの依頼があったので受注する。
「さて、ガルムさんの所に行くか」
「うん!みんなとまた会えるかな?」
「きっと会えるさ」
俺達は奴隷商館へ向かうと、玄関近くに馬車が用意されていた、商館の中へ入ってクエスト受注した事を伝えると、待合室に通されてソファーに座る。
カエデがソワソワしている、前に一緒になった子達と会いたいんだな。
ドアがノックされるとカエデの耳がピンと立ち期待した目でドアの方へ振り向く。
「失礼します」
その声に聞き覚えがあった、ドアが開かれるとそこにはドラゴンの尻尾と角が特徴的だったメイランの姿があった。
「メイランちゃん!」
「あら、カエデじゃない」
カエデがソファーから立ち上がり手を振る、尻尾がブンブン振られて俺の顔にファサファサと当たる、ここは天国か?
メイランがお茶を並べ終わるとカエデがメイランを抱き着きに行った。
もふもふないなった……
「メイランちゃん!元気にしてた?」
「えぇ勿論よ、カエデも元気そうで何よりだわ」
カエデがメイランに抱き着いてるのを見て興味が湧いたのかシェミィがメイランに近付く。
「にぃー」
「ストームキャット、貴方が噂のシェミィね?カエデがテイムしたっていう」
「にゃう!」
シェミィが返事するとメイランに近付きスンスンと鼻を鳴らす、カエデが親しくしているので気になったのだろう。
「シェミィの事、もう知ってるの?」
「えぇ、ガルム様の情報網は優秀だからね。私に興味あるみたいね、撫でていいかしら?」
「うん、本人が嫌がらなければいいよ!」
メイランがシェミィの顎の下を優しく撫でるとシェミィが気持ちよさそうな顔をした。
「にゃ~ん」
シェミィは御満悦のようだ。
和気あいあいとしてる所を見ているとガルムさんが部屋に入ってきた。
「お待たせしました。っておや?コウガさんではありませんか、護衛を引き受けてくれたのはあなたでしたか」
「はいそうです。ガルムさん、この前はお世話になりました」
「いえいえ。2人共ご活躍されているようで安心しました、2人の活躍は小耳に挟んでますよ」
ガルムさんがシェミィを見る、シェミィはカエデとメイランの2人に全身を撫でられて気持ちよさそうにしていた。
「この従魔が噂のストームキャット……確かシェミィって名前でしたか、美しいですね」
「ええ、カエデがテイムした自慢の仲間です、美しいだけではなく可愛くて撫で心地がいいんです」
「頼りになる仲間ですね、護衛もあなた達なら信頼出来ます。では改めて依頼内容の確認を、目的地はテラー大森林の先、隣町サンビークにあるインカース奴隷商館支店です、輸送対象は奴隷3人と積荷です、馬車は使用人が操るので皆さんは魔物退治と護衛お願いします」
「分かりました」
商館から出て馬車の中身を確認、輸送対象の奴隷3人を見ると見知らぬ奴隷2人しか居なかった。
「あれ?ガルムさん、3人と聞いてましたがもう1人は?」
「すぐ来ますよ」
すると先程までお茶を準備してくれていたメイランが荷物を持って商館の中から出てきた。
「お待たせしました」
「これで揃いましたね」
あと一人はメイランさんだったか、これで揃ったな。
「メイランちゃん!クエスト中一緒に居られるね!」
「そうね、楽しみだわ」
2人が話していると奴隷2人も気になったのかメイランさんに話し掛けに行ってカエデと自己紹介をしていた、みんな笑顔なので旅中も心配要らないだろうな。
「さぁ、行きましょうか。コウガさんカエデさんシェミィさん、よろしくお願いしますね」
「はい、任せてください!」
俺達は馬車の横に並んで歩く。
転生してきて5日。
俺は、この世界で初めての旅に出る。
1つはカエデの為、1つはシェミィの為、1つは自分の為。
色んなもふもふ達と出会えたらいいな。
転生した状況を話しているとギルマスに笑われてしまった。
「笑い事ではないですよ!落下で死ぬ事はないように魔法はかかってたみたいですけど、カエデが居なかったら大怪我してましたよあれは……」
落下中の事を思い出しブルッとしてしまう。
「ま、まぁ……そのお陰で私はご主人様と出会えたので……」
「カエデとガルムさんには感謝だな」
ガルムさんにも旅に出る前に挨拶しなくちゃな、めちゃくちゃお世話になったし。
「ガルム?インカース奴隷商館のガルムか?」
「はい、そうです」
「そういや、今日アイツが護衛クエスト出してたぞ?隣街のサンビークまでだな」
「ほんとですか?」
「あぁ、感謝してるなら旅ついでに受けてやったらどうだ?」
受けてもいいかもしれない、金銭面の余裕はあまりないからな。
そうなれば護衛対象はガルムさんと奴隷達になるんだろうな、カエデの知り合いがいれば楽しい旅になりそうなんだが。
「そうですね、なら今から……」
「まてまて、まだ話は終わってねぇぞ」
ギルマスが俺の肩を両手で抑え、座らせてきた。
「コウガに聞きたい事がある、お前の変身は制限とかあるのか?」
「制限?」
「あぁ、誰にでも変身出来るのか、それとも限られた誰かにしか出来ないのか。他にもカエデのスキルを使えるのは変身時だけなのか、1部だけなのか、とか聞きたい事は沢山ある。場合によったら1部隠して旅しねぇと誰かに狙われる可能性がある」
「誰かに狙われる……?」
「あぁ、お前の変身スキルの似たような物ならあるが、ハッキリ言ってコウガが使う変身は見た事も聞いた事もない、他人のスキルが使えるなんて前代未聞だ、こんなのが世に知られたら……戦い好きな国や研究者に狙われる、それは避けなきゃならない」
確かに、誰かに狙われるような旅はしたくない、正直に話しておくべきか……
「この変身スキルは俺以外には使えない物です、それに変身対象はお互いに一定の絆で結ばれて加護を授かる必要があります。スキルに関してはテイムは試してませんが、それ以外なら変身時のみ使えます。神様から貰ったスキルと加護ありきで使えてますから他人には不可能でしょう。ただ、確かに研究や戦いの為に狙われる可能性は0ではないかもですね」
「お前以外には使えないって分かっただけマシだな……」
ギルマスは顎を手で支えながら暫く考え込む。
「ねぇコウガくん、普段周りに見せていい魔法と隠しておく魔法と分けた方がいいわよ?」
「……やっぱり、多属性使えるとやはりマズイですか?」
「最多でも4属性じゃないとマズイわね、有名になりたいなら構わないけどね、AやSランクとなれば5~6属性使える魔法使いも居ない訳ではないから、それに勇者PTの魔法使いは全属性使えたみたいだし」
勇者か、確か半年くらい前に勇者によって魔王は倒されたんだったか、会えるなら話をしてみたいもんだ。
「有名になろうとは思わないですね……1~3属性が普通、それなら俺もそれに合わせとかないとな」
旅に出る前に普段使いの属性を決めておくか。
氷は確定、回復魔法の聖は必須だ、あとは火か水か風辺りを使えるようにしておきたい。
使い慣れてるのは火と風だから、この4つにしておくか。
「よし、なぁコウガ」
暫く考え込んでいたギルマスが何か決めたようだ。
「はい何でしょう?」
「お前、トライデント王国直属の冒険者にならねぇか?」
「王国直属の??」
直属冒険者、国や冒険者ギルドのお墨付き冒険者って感じだろうか?
「あぁ、王国の冒険者ギルドが直属認定すると、お前のギルドカードに王国印が押されるんだ、王国印があれば他国にが手を出そうとしてもトライデント王国の後ろ盾があるって事の証明になり、それで手を出されにくくなる訳だ」
なるほど、それは有難いな。
ただ直属となれば何か制約とかあったりするのでは……?
「直属になった際の制約とかあるんですか?王国から縛られたりとか指名依頼とか来たり……」
「Bランク以上の直属とかになれば、王国の近くに居るならあるだろうが、Dランクのお前達なら特にねぇな、一応直属冒険者専用の連絡手段を持って貰うが」
「連絡手段?」
「ギルドカードに入れる王国印に術式を編み込んでギルマスである俺と連絡を取り合う事が出来る、王国からの使命があればこれを使って連絡するんだ、まぁお前達にはまだ無いだろうから心配すんな」
「なるほど……分かりました、俺達は旅に出るので恐らく遠くに行くと思います。連絡されても行けるとは限りませんが、それでもいいなら」
「構わねぇよ、ストームキャットから守ってくれた礼だと思ってくれ。本来直属になるにはお前達の実績と俺のお墨付きがいるんだが、それはストームキャットの件で事足りる、直属判断も王国からギルマスである俺判断でしてくれて構わないと言われていてな、登録させてもらうぞ」
俺とカエデはギルドカードをギルマスに手渡すと登録をしに部屋から出ていく、ずっと黙って聞いてたミラさんが口を開いた。
「コウガくんカエデちゃんごめんね、私達も行けたら良かったんだけど……」
「気にしないでください、気持ちだけでも嬉しいです!」
「そうですよ!全てはあの人が悪いだけなんです、2人の分まで私達がフードの人を叩きのめしてきますから!」
「2人共、ありがとう……そうだ、これ受け取ってくれない?」
ミラさんがアイテム袋からアンクレット的な装備を出してきた。
「ブレスレット……いやアンクレット?しかも2つで1つになるような柄に見えますけど」
銀素材で出来ていて、片翼がデザインされていて綺麗だ、2つを合わせると湾曲がピッタリ合わさるようになっていて、片翼同士がくっつくと翼を広げた様なデザインになった。
「えぇ、これの効果が2人で着けてペア同士が近くにいるとステータスUPや耐性UPしてくれる装備よ」
「なるほど、貰って良いんですか?」
「もちろん!お守りみたいな物よ」
「「ありがとうございます!」」
鑑定してみると。
『銀片翼のアンクレット(素早さ小UP、対となっているこの装備を2人が着けて近くに居ると状態異常耐性小UP)』
早速2人で装備してみる。
「ご主人様!どう?似合ってる?」
「あぁ、翼のイメージとも合っていて似合ってるぞ!」
カエデは狼人だから、風のように走る姿が翼と良く合うんだよな、俺も変身で狼人になれば今よりも似合うかもしれない。
そうこうしてる内にギルマスが帰ってきた。
「これで登録完了だ。連絡のとり方は、この王国印に指を当てて魔力を流せ、そうすれば俺に繋がる。連絡がかかってくると相手の流した魔力が知らせてくれるからすぐ分かる筈だ」
「分かりました、ありがとうございます」
何か困った事があればギルマスに相談出来る訳だな?向こうからの徴集の可能性も0ではないが、ギルマスの情報に助けられる可能性もあるからな、有難い。
「まさかコウガを直属冒険者にする事になるとは、今日の今日まで思わなかったぜ……もう本当に俺がやれるのはここまでだからな、もう期待するんじゃねぇぞ」
「分かってますよ。助かります」
ギルマスから念を押されて話は終了し、執務室から出た。
ミラさんとジルさんはやる事があるそうで、ここでお別れとなる。
「2人共、大変な旅になるだろうけど頑張ってね!」
「特訓で2人の実力をみた、これから次第で何処までも強くなれるだろう、鍛錬を忘れるなよ?」
「はい!ありがとうございます!」
2人から激励を貰い、手を振って別れる。
ギルドから外に出るジルさんとミラさんを見送ってから、クエスト掲示板を見に行くとガルムさんの依頼があったので受注する。
「さて、ガルムさんの所に行くか」
「うん!みんなとまた会えるかな?」
「きっと会えるさ」
俺達は奴隷商館へ向かうと、玄関近くに馬車が用意されていた、商館の中へ入ってクエスト受注した事を伝えると、待合室に通されてソファーに座る。
カエデがソワソワしている、前に一緒になった子達と会いたいんだな。
ドアがノックされるとカエデの耳がピンと立ち期待した目でドアの方へ振り向く。
「失礼します」
その声に聞き覚えがあった、ドアが開かれるとそこにはドラゴンの尻尾と角が特徴的だったメイランの姿があった。
「メイランちゃん!」
「あら、カエデじゃない」
カエデがソファーから立ち上がり手を振る、尻尾がブンブン振られて俺の顔にファサファサと当たる、ここは天国か?
メイランがお茶を並べ終わるとカエデがメイランを抱き着きに行った。
もふもふないなった……
「メイランちゃん!元気にしてた?」
「えぇ勿論よ、カエデも元気そうで何よりだわ」
カエデがメイランに抱き着いてるのを見て興味が湧いたのかシェミィがメイランに近付く。
「にぃー」
「ストームキャット、貴方が噂のシェミィね?カエデがテイムしたっていう」
「にゃう!」
シェミィが返事するとメイランに近付きスンスンと鼻を鳴らす、カエデが親しくしているので気になったのだろう。
「シェミィの事、もう知ってるの?」
「えぇ、ガルム様の情報網は優秀だからね。私に興味あるみたいね、撫でていいかしら?」
「うん、本人が嫌がらなければいいよ!」
メイランがシェミィの顎の下を優しく撫でるとシェミィが気持ちよさそうな顔をした。
「にゃ~ん」
シェミィは御満悦のようだ。
和気あいあいとしてる所を見ているとガルムさんが部屋に入ってきた。
「お待たせしました。っておや?コウガさんではありませんか、護衛を引き受けてくれたのはあなたでしたか」
「はいそうです。ガルムさん、この前はお世話になりました」
「いえいえ。2人共ご活躍されているようで安心しました、2人の活躍は小耳に挟んでますよ」
ガルムさんがシェミィを見る、シェミィはカエデとメイランの2人に全身を撫でられて気持ちよさそうにしていた。
「この従魔が噂のストームキャット……確かシェミィって名前でしたか、美しいですね」
「ええ、カエデがテイムした自慢の仲間です、美しいだけではなく可愛くて撫で心地がいいんです」
「頼りになる仲間ですね、護衛もあなた達なら信頼出来ます。では改めて依頼内容の確認を、目的地はテラー大森林の先、隣町サンビークにあるインカース奴隷商館支店です、輸送対象は奴隷3人と積荷です、馬車は使用人が操るので皆さんは魔物退治と護衛お願いします」
「分かりました」
商館から出て馬車の中身を確認、輸送対象の奴隷3人を見ると見知らぬ奴隷2人しか居なかった。
「あれ?ガルムさん、3人と聞いてましたがもう1人は?」
「すぐ来ますよ」
すると先程までお茶を準備してくれていたメイランが荷物を持って商館の中から出てきた。
「お待たせしました」
「これで揃いましたね」
あと一人はメイランさんだったか、これで揃ったな。
「メイランちゃん!クエスト中一緒に居られるね!」
「そうね、楽しみだわ」
2人が話していると奴隷2人も気になったのかメイランさんに話し掛けに行ってカエデと自己紹介をしていた、みんな笑顔なので旅中も心配要らないだろうな。
「さぁ、行きましょうか。コウガさんカエデさんシェミィさん、よろしくお願いしますね」
「はい、任せてください!」
俺達は馬車の横に並んで歩く。
転生してきて5日。
俺は、この世界で初めての旅に出る。
1つはカエデの為、1つはシェミィの為、1つは自分の為。
色んなもふもふ達と出会えたらいいな。
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