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オシオキ

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「キ!」

「送迎ご苦労様。また頼むよ」

「キキ!」

会合から帰ってきた俺達は案内鳥を見送り一息付く。

はぁ、疲れた。

やはり会合は精神的に疲れる。

会合に参加する神々の多種多様性に驚く事は減ってきたが、ただ挨拶する関係から一歩進んだ交流する関係ではまた違った驚きがあり、相変わらず帰ってくるとぐったりしてしまう。

ありがたい事にそれを汲んでくれる神々も多いようで、こっちの事を気にしつつも気を使って会釈程度で済ましてくれる人も結構いた。

いずれそういう人達ともちゃんと話せるようになりたいものだ。

「さて、帰ろうか。・・・サチ?」

サチに声を掛けてもいつものようにこっちに来て転移してくれる気配が無い。

「ソウ、本日は申し訳ありませんでした」

・・・この感じ、前にもあったな。

「あーうん。どうしようかね」

この雰囲気はどうせ俺が許しても、サチが許してくれないという良く分からない状況に陥るだけだ。

なのでお仕置き方法を考える。

既に反省しているので本当は必要ないと思うんだが、本人がやらないと納得しないからな。どうしたものか。

アルテミナみたいに尻叩きしてもいいけど、今日は疲れてるのでやりたくない。

出来れば俺が癒されるような・・・。

「あの、ソウ?」

「うん、よし、決まった。帰ったら内容を説明するから覚悟しておくように」

「は、はい。わかりました」



「ど、どうですか?」

「うん、素晴らしい」

夕食後、俺が選んだオアシスの街の服装に身を包んだサチが立っている。

選んだ服装はメイド服。

メイド服と言っても情報館の天機人達が着ているような落ち着いたロングスカートのものではなく、ミニスカートの所謂接客向けのメイド服だ。

「あの、これ凄く丈が短いのですけど」

「ギリギリ感がいいな」

そうやって裾を下に下げようと引っ張る姿が逆にそそられる。いいぞ。

「じゃあそれで明日一日過ごしてもらうから」

「え!?」

こっちをみてサチの動きが止まる。

「それと俺の事はご主人様と呼び、語尾にはにゃを付けて話すこと」

「えぇ!?」

今サチの頭に猫耳のカチューシャ、腰には猫の尻尾が付いている。

そしてメガネの着用。

うむ、最強だな。

「あ、仕事中は話し方は戻していいから。服装はそのままでやってもらうけど」

「あ、はい。わかりました」

そもそも失敗した方がお仕置きを求めるというのおかしいのだ。

今回徹底的にやって、次からそんな事を言わせないようにするのが今回の作戦だ。



翌朝。

「おはようございます」

首を振る。

「お、おはようございますにゃ、ご主人様」

「うん、おはよう、サチ」

よしよし、案の定顔を真っ赤にしながら言ってる。

朝日と赤面のコントラストが素晴らしいな。

元気になるな。色々と。



今日の下界観察は主にオアシスの街を見ている。

オアシスの街には今のサチの服の元となった店が点在している。

店員は出した食事に美味しくなる魔法をかけている。

「こ、これをやるのですか?」

「うん、やってもらう」

サチは顔を赤くさせながら画面を見ている。

参考がてら一緒に見ているのだが、自分のやる姿を想像して恥ずかしがっている。いいぞ。

その後も願い事を処理しながらサチにあれこれ見せてやった。

やはりいざ自分がやる事となると見方が変わるようで、その都度いい反応していた。

帰ったら実践だな。



「お、おいしくなーれ」

「語尾」

「おいしくなれにゃー」

帰ったら早速お茶を淹れて貰い、美味しくなる魔法をかけてもらっている。

「あぁ・・・恥ずかしい・・・」

終わった後うずくまって顔を両手で塞いでいる。

「ほら、次やって」

「うぅ・・・わかりましたにゃ・・・」

恥ずかしがるサチに問答無用で次々やらせる。

個人的に一番良かったのは膝にお姫様抱っこのような体勢で座らせてクッキーを食べさせてもらうやつ。

顔が近いので照れるサチをまじまじと観察できたのが良かった。



「どうですかにゃ?」

「うん、いいぞー」

今はうつ伏せで背中をマッサージしてもらっている。

何度も頼んでいるおかげかサチのマッサージの腕はなかなかだ。

「にゃっにゃっ」

背中を押すときの掛け声が可愛い。

さっきまであんなに恥ずかしがってたのに、あれこれやらせてたら吹っ切れたのか、すっかり猫耳メイドになりきっている。

くっ、うつ伏せになっているせいでやっている様子が見れないのが悔やまれる。

まぁいいか、あとでマッサージのお返しするし。

ふふふ、たっぷり可愛がってやるとしよう。



「今日はどうだった?」

夕飯のおかずをつまみながら今日の感想を聞く。

ついついマッサージに熱が入ってしまって夕飯が遅くなってしまった。

「そうですね、色々な意味で刺激的でした」

お仕置きを終えていつもの服装に戻ったサチが平静を装いつつご飯を口にしている。

じっと観察していると、ちょくちょく思い出しては顔を赤くしている様子が伺える。

しかし妙なのが会合から帰ってきたときはあんなに落ち込んでいたのに、今はいつも通り、いや、普段以上にご機嫌だ。

「どうしました?」

「いや、これに懲りたら失敗しないようにしないとな」

「そうですね。ソウはやるとなったら容赦しないのがよくわかりました。以後気をつけます」

「うん。正直あの程度の失敗ならこんな事するつもり無かったんだけどな。今回は特別だ」

「そうなのですか?」

「そりゃそうだろう。お仕置きする側だって色々大変なんだから」

「そうですか」

なんでそこで少し残念そうにするのかな。

・・・そういうことか。

「それに今回はどちらかというと落ち込んだサチの気晴らしと言う意味が強くなっちゃったからな」

「そ、そんなことは」

「ないか?」

「う・・・途中から少し楽しくなりました」

やはりそうか。

うーん、方向性を間違えたかなぁ。

俺も楽しかったし良かったんだけど。

「俺としてはそれでもいいけど、お仕置きというのとはちょっと違う気がする。次回は夕飯抜きとかそういう方向にするか」

「!?それだけは!」

「そう思うならアルテミナみたいにお仕置き目的で失敗しようとするなよ」

「えぇ、それはもちろん。肝に銘じておきます」

「どうしても今回みたいな事したいなら自己申告してくれ。ちゃんと考えるから」

「わかりました」

「うん」

「では早速この後に・・・」

「・・・え!?」

そう来るとは思わなかった。

まさかあれだけ色々やったのにまだ足りないというのか。

しょうがない、言ってしまった手前もある。とことん付き合ってやるか。
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