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第2章 お前の毒牙になら喜んで。
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しおりを挟む「社長! どうしてこんなところに・・・ぃっつぅ」
こちらを見た瞬間に驚いた顔で立ち上がった沙也加は、痛みに声を漏らして再びしゃがみこんだ。今の反応は、まるで浮気現場を見られた反応だが。沸々と湧いて来る嫉妬心と、何故私を頼らないんだという不甲斐なさを乗せたため息が出た。今、私はどんな表情をしてしまっているだろうか。
縮こまっている沙也加に近付き、目線を合わすようにしゃがむ。抱き締めてしまわないように、膝に頬杖をついて沙也加を見た。足首に巻かれた甘ったるいバニラの香りのするハンカチ、身体のラインにフィットしたベストに潤んだ瞳。震える子羊はどうしようもなく私を煽る。
「言いたい事はちゃんと言え」
「へ?」
「ヒールが合わないんだろ?言えばすぐに代えさせてやる」
今すぐに抱きたいと思っていた。身体に着いた他の男の匂いを、私で上塗りしたいと、そう思った。びくびくしている沙也加を両腕に抱えてしっかりと抱き締めると、柔らかな感触に少し安心した。じたばたと腕の中でもがく沙也加を解放してやるはずも無く、そのまま社長室へと強制連行した。滾る熱量は解放される事は無く、熱くくすぶったままに。
その夜は、貴臣のとっての我慢大会となった。
クルージング中に飲ませ過ぎた所為か、力の入らなくなってしまった沙也加をベッドまで運んだはいいのだが。
「んんぅ、しゃちょお・・・ちゅう?」
「__もう、十分してやっただろう」
「んやっ、足りないです」
「くそっ・・・はむ(ちゅっ、ぴちゃ)
この繰り返しの時間が既に一時間程続いていた。普段甘えてこない沙也加が、こんなにも求めてくる。嬉しい気持ちが八割と理性が二割。明日は大きな商談が控えている。昨夜も遅くまでこいつを抱いていたから、正直休みたい。しかし・・・
「あっ、そこ、好きです。__しゃちょ、好きです」
目の前で極上の獲物が甘く淫らに誘ってきている。何度も交わした口付けで、沙也加のイイトコロなど疾うに熟知していた。上顎を刺激するともどかしそうにびくつく身体も、貴臣を誘う甘い蜜でしかない。頬を撫でると猫のようにすり寄ってくる沙也加が、愛しくて堪らない。
「__私を悩ませる存在などお前しかおらん。胸を締め付けるこの苦しみだって、お前がもたらすものならば喜んで受け入れよう」
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