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第5章
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しおりを挟む「こっ恋人? デスカ? おもちゃとかそういうのでは?」
きょとんとしながら問うと、貴臣が呆れたように笑った。心なしか貴臣自身も少し萎んだ気がする。目を閉じて考えるそぶりをする貴臣の長い睫毛も、顔の両側に置かれた筋肉質な腕も何もかもが神の最高傑作の様に美しかった。
再び開かれた双眸は真っ直ぐ見下ろしてきて、先程までとは違う通常運行の貴臣に戻ったように見えた。
「___そうか。お前はそういうプレイが好みの変態なのか?」
「え? いやっ、ちちちっ違いま「じゃあ、私の”何”になりたい? ”どう”扱って欲しい?」
所々強調される言葉の空欄に当てはまる言葉が、まるでシンデレラの魔法が掛けられたみたいに光り輝いている。おもちゃが”恋人”に変わり、”モノ”の扱いが”優しさ”に変化する。
「私、しゃちょ___貴臣さんの恋人になりたいです」
「そして?」
「・・・そっ、そしてもっと・・・優しくしてください」
大きな舞台の上に立っているわけでもないのに、心が喜びに震えるのにつられて声まで一緒に震えてしまう。今までよくわからないまま振り回されてきたけれど、初めてちゃんとした関係になれた気がして嬉しかった。
「ふっ、何故そんな顔をしているんだ? 嬉しいか?」
「__ぐすっ、当り前じゃないですかぁ」
一人涙目になっている状況は、やはりどんなカタチであろうと貴臣の方が上なのだと実感する。だがそれは、心地いい上下関係だった。
「___くだらん」
ぶっきらぼうに涙を拭ってくれる貴臣の無表情の奥に、小さな”喜”のカケラが見えた気がした。
「・・・で? 優しくされたい?」
「へ? も、もちろんです」
「本気か?」
「そうですぅんん、あっんん、、」
いつの間にか復活した貴臣に緩く擦られて間の抜けた色声をあげてしまう。ストロークの浅いゆっくりな動きには、鼻から抜ける様なため息が漏れた。もっと、奥にちゃんと欲しい。そんな女の欲望が沸々と込み上げる。
「優しくが希望だろ? そんな物足りなそうな顔されてもわからない」
心の底から意地悪だと思った。でも、貴臣には敵わないのはわかっていた。
両足を貴臣の腰に回して思いきり引き寄せると、固いものが一番深い所に当たりぎゅうっとそれを締め付けた。
「ああぁん、はっはぁ___もっとください。優しくなくていいから、もっと貴方の思うままにめちゃくちゃに突いて」
「___良い子だ」
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