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番外編
ハッピーメリークリスマス⑥
しおりを挟む「匠くん可哀想・・・」
「お前は、匠の事をわかっていなさすぎる」
「そんな事ないです。匠くんは天使であり、私のヒーローなんです」
「___馬鹿が」
「それよりもさっきの封筒はなんだったんですか?」
「関係ないと言ったはずだ」
「貴臣さんだけへのプレゼントだったんですね。じゃあ・・・気になるけれど、詮索しません。さ、シャンパン冷やしましょうか」
「___そうだな」
リビングに戻りながら沙也加の背中を見つめる。この小さな背中は私たち兄弟を大きく包みこみ、温かい気持ちをもたらしてくれている。何も求めず、全てを受け入れて理解してくれる人だ。溢れる熱い想いに苦笑をこぼす。
「さあ、僕は遂に、前に進まなきゃいけない崖っぷちに立たされたって事かぁ」
車内での独り言に返ってくる言葉は無い。窓から今し方出てきたビルを見上げる。
これが初恋だった。こんな気持ちで人を愛する事は二度と無いと思う。それくらい本当に好きだったし、過去形に出来る程傷は癒えていない。これから何度も顔を合わせるたびに、傷はジンジンと痛み治るのには時間がかかるだろう。それでも僕は進まないといけない。人を愛する事を知ったから。この先出会うであろう女性に愛される幸せを与えたいと、そう強く思う。
沙也加がキッチンに行っている間に、家族から貰った粋な図らいに頬を緩ませた。ただの紙きれに色んな想いが宿り、それが人生を掛けた男の決意となる。
恋人という期間は余りにも短く、辛い時間のほうが長かった。これからは愛する女の為に奔走するというのもいいだろう。最高のプレゼントを貰ったから、あいつに最上級の喜びと感動を与えてやろう。
今日はクリスマス。聖なる夜に、私はたった一人の普通で最高の女への愛を誓う。
ークリスマス編ー完ー
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