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第10章 クリスタルのドラゴン

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扉の奥は、1番最初の分かれ道よりも遥かに広いフロアだ。壁にはあちこちに傷が残っている。これは、戦いの後だろうか?
「ここは・・・」
いかにもボスの部屋って感じの場所だ。ど真ん中に大きな氷の塊がある。
「あの氷の塊は一体・・・」
「ねえ、あの中に何かいるよ」
確かに、氷の中に何かいる。この形状はだろうか。
「もしかして、この中にクリスタルのドラゴンが!?」
「それが確かなら、クリスタルのドラゴンはかなりの大きさということよね」
「それより、氷の中にいるってことは封印か何かされてるってこと?」
仮に封印されてるとして、これをそのままにしておいていいのだろうか。いつか封印が解けるかもしれない。そうなったら・・・
「あれ?こいつの封印が解けたらどうなるんだ?」
見つけた調査書にはドラゴンの強さについては何も書かれていない。ただ、金品財宝をくれたと書いてあった。もしかしたらそんなに危険じゃないかも?
「とはいえ、こんな大きいの、どうするよ?」
「そうだなぁ・・・」
「我がなんとかしようではないか」
「誰だ!?どこにいる!」
「ジュン、あそこ!氷の塊の上!」
ドラゴンが封印されている氷の塊の上に黒いローブを身に纏った者が立っている。人の気配を感じなかった。いつの間に現れたのか。
「誰だあんたは?」
「我の正体より、お前ら、こいつを何とかしたいんだろ?その望み、叶えてやるよ」
「は?」
ローブを身につけた者は火の魔法を氷にぶつけた。氷が一瞬で溶けた。
「え?何してるの!?」
「お前達の望みを叶えてやったのだ」
「いや、氷が溶けてんじゃん!こいつの封印が解けるって!」
「氷が溶ける、封印が解ける・・・」
「いや、ルイーザ、変なところにツボ入らないでよ!?」
「私がツボにハマったことは置いといて・・・」
「置いとかないでよ!?」
「とにかく、何でこんなことを・・・本当にあなた達は何者なの!?」
「まあ、いずれ教えてやるさ、コイツに勝って、我に再び会うことが出来たらな!」
そう言うと、ローブを身につけた者は消えた。
「あのローブの人、移動の魔法で逃げたわね!」
「じゃあ、僕らもここから逃げるか?」
「ダメ、コイツを無視したら、村に被害が出るかもしれない!」
金品財宝をくれるだけのドラゴンかと思ったが、戦闘力もありそうだ。こんなのを見逃したらグリーンヒル村に被害が出てしまう。
「そうなると、力尽くで何とかするしか無さそうだね」
「はあ・・・結局そうなるのね、仕方ないわね」
「うん、みんなの話はまとまったわね。ジュン、ウェンディ、このドラゴンを何とかするわよ」
「「うん!」」
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