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第9章 クリスタルの洞窟

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洞窟の存在を確認して、3人は再びサルサの宿屋に戻った。
「どうじゃった?」
「お婆さんの言う通り、クリスタルの洞窟としか言いようがない場所だったわね」
「じゃろ。それでその洞窟の調査をワシは依頼したいのじゃ」
「調査してどうするの?」
「新たな産業にできないものか検討したいのじゃ。どうも、あの洞窟が現れてから村の人の出入りが減った気がしての」
クリスタルの洞窟なんて話題がありそうで村への人の出入りは増えそうな気がするけど。何でそんなに人が来ないのかな?
「どうも、最近はあの話のせいでこの辺りにまで人がなかなか来れないのじゃ」
「あの話?」
「うむ、この先の海沿いに行く為の道で通行止めがあるそうじゃ」
「通行止め?」
「詳しくは知らんが、通り抜けることができないらしい。そのせいで流通の方に被害が出ておるみたいでな。遠回りすれば来れなくもないが、わざわざこの村まで依頼を引き受けてくれる者も居なくてな。お前さん達が初めての依頼人なんじゃよ」
「ってことは、僕ら一番乗りってこと?」
「そうじゃな」
探検隊にとって一番乗りはとても嬉しいことだ。つまり、手付かずのものがたくさんあるということだ。何も情報もない所に行く。ワクワクが止まらない話だ。
「お婆さん!その依頼、ぜひ私たちの探検隊が引き受けさせてもらうわ」
「おお、本当かい?それはありがたい話だね。ぜひ、よろしく頼むよ」
「うん、私たちにお任せ!」
ルイーザ探検隊は、クリスタルの洞窟の調査を引き受けることにした。その為に、この宿屋を拠点にしていいとサルサに許可をもらった。
その後、3人は作戦を立てる為に部屋に入った。
ベッドが3つあり、真ん中には地図を広げるのに丁度いいテーブルもある。3人はテーブルを囲んで作戦を話し合い始めた。
「さて、引き受けたのはいいが、ノープランで洞窟に入るのも危険だよな」
ウェンディがふと思った。
「あ、さっき洞窟に近づいた時に冷たい感じがしたわね。洞窟の中は寒いんじゃないかしら?」
そうなると、暖かい格好で行かないとダメということだ。幸い、今ある装備でも問題は無さそうだ。
そして、もう一つ推測することができる。
「ウェンディの言う通り、中が寒いと言うことは、仮にモンスターが存在するとしたら、氷系の属性を持っている可能性があるわね」
氷系の魔物がいると言うことは、弱点である火属性の魔法、もしくはアイテムが必要になるということだ。ルイーザ、ウェンディが火属性の魔法を扱えるから戦闘面での心配は特にないということだ。
「今のところ心配することはこれくらいかな?」
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