探検隊ルイーザと不思議な物語

第6章 戦える者達

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ファランの名前を確認した3人は一旦その場から離れた。
ファランについてはクルールから強さは聞いている。彼苦戦することは無かったが、自分達に務まる相手だろうか。
「無茶よ、彼を相手にするなんて！」
ウェンディは既に諦めムードだ。彼からカードキーを得るには戦って勝つしかない。それは無理だ。相手は、レベル7。レベル3、4の探検隊メンバーが挑めばまず勝ち目はほとんどないだろう。勝つのが無理なら、せめてカードキーだけ手に入れて逃げるか、それもまた無茶だ。ジュンが言うに、ファランは素早さを得意とする相手だ。そんな隙はまず無いと考えた方がいい。絶望的な状況だ。
「ここで諦めちゃダメよ。今この場を何とかする為には彼をどうにかしないと、この状況は変えられないよ」
「そうは言うけど、ルイーザ、何か策はあるの？」
手元にある情報はクルールから得た情報だけだ。
「策はないわ」
「じゃあ無理じゃない！」
しかし、ルイーザは落ち着いて静かに答えた。
「確かに絶望的な状況よ、けど何もしないで待つくらいなら行動する選択肢を私は選ぶわ」
「どうして・・・？」
「私は始まりの異界に行くという夢があるわ。その夢をこんなところで諦めたくない。特に、何ができるのに何もしないで諦めることは絶対にしたくないわ。何故か、私達には戦う力がある。それがある限り、可能性は0から0じゃない数字に変えることができるわ。0じゃない限り私は行動するわ」
「0から0じゃない数字に変える・・・」
ウェンディはルイーザの言葉に何かを感じて、過去の自分を思い出した。それは、自分が医療の道を志した時のことだ。1人でも多くを助けたいという思い。その為に色々な所を旅して、様々な医学を学ぶ。そう、自分自身にも医療を通して叶えたい夢があるのだ。そして、医者になった。せっかく医者になれたのに、志半ばで諦めてしまうのか。それは嫌だ。ルイーザよ言う通りだ。ウェンディ自身にも戦う力がある。それを使ってこの場を切り抜けることが出来る可能性はある。それを活用しないでこのまま終わるのは嫌だ。そう思うと、ウェンディ自身にも勇気が湧いてくる。
「あなた、不思議な人ね。私も医療を通して多くの人を助けるという夢があるわ。それを成し遂げるには、まずはこの場を乗り切らないといけないわね」
「ウェンディ・・・！」
「ありがとうルイーザ。初心を思い出させてくれて」
「どうやら僕らが進むべき方向が決まったみたいだね」
「うん、私たちはファランに戦いを挑むわ、そして勝ってこの場を乗り切る！」
３人は、その場を離れて、ファランがいる建物の方へ向かった。