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第5章番外編 きっかけは何でもいい

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光が消えると、ヒロは目の前の状況を疑った。船堀の街の外に見たこともない平原があるのが見えた。
「え?何これ?」
自分もそうだが、周りにいた人もこの状況が理解できていないようだ。
「これはどういう状況なのかな?」
それは、誰にも分からない。スマホを確認してみる。圏外になってる。当然、連絡する手段がない。
これはラノベでよくある転生したら異世界でした的なあれか。いや、そもそも死んでないし。もし、その設定に倣うなら、街ごと異世界に巻き込まれたという状況だ。そんなことがあるのか?どうせ巻き込まれるなら無双出来そうな世界が嬉しかったけどな。元の世界では人生のどん底にいるような気持ちだった訳だから。
「って、現実逃避している場合じゃなかった」
まあ、こんな状況になったら現実逃避したくもなるよな。とりあえず、どこから情報を収集しようか。
当然、この街にいる人は、自分と同じ状況で混乱しているから情報収集は期待できない。
ヒロはふと街の西を見た。自分が知らない街がある。あそこなら情報収集できるかも。ヒロは舟堀の街から西の街を目指す。
舟堀の街から橋で繋がっている。というか、いつこんな橋が出来たのか気になる。なんだか、自分の世界の常識と同じように考えてはいけない気がしてきた。
橋を渡っていると、前から何か向かってくる。
見たこともない生き物に乗った女の子がこっちに向かってくる。
女の子とその生き物はそのまま舟堀の街の方に向かって行った。
「危なっ」
自分の世界の女の子にあんな物騒な生き物を乗りこなす人は知らない。
やはりここは別世界なのか。そう考えていると、橋の向こう側の街に着いた。
RPGゲームとかでよくありそうな街だ。
ここで情報収集をしたいところだが、気になることがある。
言葉が通じるのだろうか。とりあえず店っぽいところに立っている人に声を掛けてみよう。
「こ、こんにちわ」
「おう、いらっしゃい」
驚いた。何と、普通に言葉が通じたのだ。
「おや、その反応は、俺たちの世界の住人って訳では無さそうだな」
ヒロが別世界の人間であることを見抜いた。このおじさん、只者ではない。
「分かるんですか?」
「お前さん、さっき俺と言葉が通じたことに驚いたな。異界を知らない証拠さ。俺たちの世界は別世界と繋がっているんでね。その辺りの人の見分けはつくんだ」
何と、異世界同士繋がっている世界があるとは。いや、自分が住んでいた世界が何処とも繋がっていなくて、繋がっている方が普通なのかも。
「と言っても、俺たちの街もどこか別世界に飛ばされたらしいからここが何処なのかも分からないけどな」
「そうなんですか」
「けどまあ、ここの情報くらいは教えられるな。ここはリフィリア王国だ。橋の向こうにある街はお前さんが住んでた世界の街かい?」
「そうですね。自分が住んでた街も飛ばされて来たみたいで、ここがどこか分からないんです」
「ははは、そいつは困ったな。お互い別世界からやって来たってか。こりゃ、ギルドと戦士団で調査隊が結成されるかもな」
「調査隊?」
「まずはここがどこか調査しないとな。もし困っているなら騎士団の本部に行くといい。何らか助けてくれるかもな」
かなり親切なおじさんは何から何まで教えてくれた。
「色々と教えてくれてありがとうございます」
「なに、こっちも向こうの街の情報を得られたからお互い様だよ」
ヒロは店のおじさんから得た情報を頼りに騎士団の本部があるところに向かった。
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