探検隊ルイーザと不思議な物語

旅立 マス

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第5章 勇気と恐怖

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「ところで、調査の方は順調なの?」
「ああ、進展があったから団長と一緒に報告に戻ってきたんだ」
「ってことは、舟堀の街の人達の行方が分かったの?」
ヒロは困った顔をした。
「分かったと言えば分かったのだが、更に厄介な問題が発生して・・・」
何だか歯切れが悪いな。これ以上に厄介な問題があるのか。
「とにかく、ここからは騎士団の問題でホイホイと話せることじゃなくてね。悪いな」
「まあ、そういうことなら仕方ないな。騎士団の仕事頑張れよ」
そう言うと、ヒロは城の方に向かって行った。
「ヒロ君が言ったこと気になるね。更に厄介な問題って」
「僕らのこの状況以上に厄介な問題なら勘弁してほしいけどな」
ジュンは冗談っぽく言って笑った。本当はこの状況はお互い辛いのに、笑うことで辛さを和らげようとしてくれていることにルイーザは気づいていた。お互いの為に、そして始まりの異界を見つける為に頑張ろうと思った。
リハビリは次の日、また次の日と続く。進展がないまま更に数日が経った。
その日もリハビリによる進展は特に無かった。そして夕方、城下町の食堂でご飯を食べていると妙な噂を聞いた。
「なあ、知ってるか?最近、多くの兵士やギルド関係の者が行方不明になってるらしいぞ」
食堂で相席してる人が言うに、数日前に掴んだ国の情報からある場所に兵士達を送っている。ただ、そこから帰ってくる者がいないそうだ。
「国はどこに人を送ってるんだろうね?」
「王国兵士なら何か知ってるかもしれないが、ギルド関係者はなぁ・・・危険任務だからある程度実績がある奴らじゃないと引き受けられない任務らしいから情報が全く来ないんだよな」
男は複雑そうな心境だ。実績のある隊のみが受けられるクエスト。それを受けれるのは、実力をギルドに認められたということだ。危険なクエストでも受けたいというのが心情である。しかし、明らかに危険なクエストで命は落としたくない。受けたいけど、どこか受けたくない気持ちがある。矛盾した感情だ。
難易度の高いクエストだ。ギルドとしても実績のない人達を安易に送り込みたくはないだろう。
仮に受けたいと思ったとしてもジュン達のルイーザ探検隊はまだ作ったばかりの新米だ。当然、引き受けることはできない。2人にとっては縁もゆかりも無い任務だ。
とは言え、行方不明者続出してる任務。引き受けることはできなくても心配ではある。
「本当に大変そうな任務なんだね。行方不明の人は無事でいるといいね」
「ああ、そうだな。噂じゃ、この任務次第で国の命運も決まるとかいう噂だ。クエストクリアすれば名実共に大きく上がるだろうね」
そう言うと、相席していた人は去っていく。ジュンとルイーザはさっきの話題について話す。
「流石、王国のギルドだね。色々な情報がすぐに入るね。行方不明者続出のクエストか・・・」
「その辺りの話はヒロ君が何か知ってるんじゃない?」
「とは言え、話してくれるかね?」
「無理だとしても聞けるかどうか試す価値はあると思うわ」
「ったく・・・いろんな意味で逞しいな、ルイーザは」
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