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第4章 占拠された街

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エドガー平原でワッフルに乗ってさらに進むと、ジュンにとっては見慣れた建物が見えた。
「あれは、舟堀タワー!」
「あの建物を知ってるの?」
舟堀タワー。水江の駅から電車で2つ先の駅にある建物で、ジュンが住んでいる地域のメインとなる建物の一つだ。
そこの建物で役所の手続きや日常品の買い物も出来る。
「まさか、こんなこの異界でこの建物を見るとは思わなかったな」
「へー、あの建物はジュンの住む異界の物だったんだ。近くで見るとすごく高いよね」
「そうだね。眺めは凄く良いところだよ」
あの建物が見えたと言うことは、リフィリア王国まであと少しだ。ハイゴブリンとの戦いがあったから予定より時間は掛かったが、何とかここまで戻ってくる事が出来て、ルイーザはホッとした。
「あの建物がある街の先にリフィリア王国があるわ」
「リフィリア王国か。ルイーザの故郷だっけ?どんなところなんだろうね」
「良いところだよ。国に戻ったら、まずは報告しないと。その後は、昨日は未計画って言ったけど、更に西の方に進んでみようか。そっちはまだ行ったことないのよね」
「まあ、良いんじゃないかな?」
ジュンにとってはどこに向かおうが初めての場所ばかり。この世界を知る的な意味でも色々な箇所を知るならルイーザの知らない場所の方がより新しい情報も得られる。そう思った。
「あ、街が見えてきたよ」
舟堀の街が見えてきた。高校生の時の友達もこの辺りに住んでいたが、誰が知ってる人と出会うことはあるのだろうか。
この異界に来てから知り合いとは1人も出会っていないから。そろそろ知ってる人と出会うのではないかと予感した。
舟堀の町に近づくにつれ、ジュンにとって見覚えのないものまで見えてきた。
戦国時代や江戸時代に見かけた関所みたいなものが街の入り口に建っている。
「ん?街にあんなのあったっけ?」
リフィリア王国から来たルイーザにも見覚えのない建物だ。
「王国から出た時はあんな建物は無かった気がするが、あれは一体・・・」
関所の近くにワッフルを止めた。街の入り口に人が2人立っている。
「待て。ここから先は許可なく通行することはできない」
「え?誰に許可貰わないといけないのよ。この間まで、こんな建物無かったじゃない!」
「この街は我々のボスのものだ」
色々と理解が追いつかないが、今目の前にいる2人のボスが突然この街を占拠したということか。
「要するに不法占拠か」
「どう捉えてもらっても構わない。ただ、この街に住んでる者達の命運はこちらが握っている」
つまり、街の人たちを人質にして立てこもりをしている訳だ。
「で、あんたらの目的は何?」
「目的が無ければ人質を取って立てこもりをしてはいけないかな?」
「は!?」
こいつ、外道かよ。特に目的もなく街を占拠して人質を取っているのか。
「そういう訳だ。怪我をしたくなければ大人しく去るんだな」
この2人の行動に色々と腹立たしかったが、2人はその場を離れた。
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