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第3章番外編 始まりの予感

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エドガー平原。ある日、大量のゴブリンの群れが現れた。その群れはまるで軍隊のように統一された集団だった。その情報は水江に居たクルールに届いた。
「ゴブリンの軍団か・・・気になるな」
ゴブリンのような低レベルモンスターは本来なら集団で軍隊のような動きはしない。それはゴブリンより強いハイゴブリンが居ても同様。軍隊のような動きをすること自体おかしい話なのだ。
「これはギルドとして討伐するか、この集団について調査する依頼を出しておくか」
時間があるなら自分が調査したいところだが、それがなかなかできないのがギルドの長という管理職の痛いところだ。
何しろ、以前にジュンとルイーザがこの街で賊どもを倒した件について報告書を書いてて忙しいのだ。
あの2人をもう少し引き留めておくべきだったか。せめて、何かしら仕事をさせてから旅立ちさせても良かったのではないか。
色々とああすれば良かった、こうすれば良かったと考えてしまうクルール。
しかし、旅立たせて戻って来いと言うのもどうかと思う。
「悩んでいても仕方ない。まずは目の前の書類を終わらせて、一度様子を見に行くくらいならしてもいいか」
まずは、目の前の書類を片付けることにした。
書類を書きながら、クルールは2人のことを思い出す。出会いは突然だった。
ルイーザはこの異界の調査してて、誰が吹き込んだのかは知らないが、クルールに会うといいとか言って会いに来たのだ。ギルドで働いて長いけど、出来たばかりの異界について知ってる人がいる方が奇跡ではないだろうか。そもそもどういう目的で作られたか分からないこの異界。謎だらけだ。彼女にとって有益な情報を持っている訳ではない。とりあえずウルフから聞いたことと、今ギルドは世界を統一するために行動していることを彼女に話した。それを聞くと話の大きさに唖然としていた。そりゃそうだ。クルールでさえ、話の大きさに唖然としたからだ。
そして、次に現れたのはジュンだ。
ウルフからの招待で、この水江の街と同じ異界の出身だそうだ。リズに戦い方を教わったが、世界の改変が起きてからはウルフを師に色々学んだようだ。元々、管理局の管理下にある異界の出身ではないため、ジョブとかに縁もゆかりもないのだが、与えられた下級職を自分のもの以上に能力を発揮しているらしい。面白い存在だ。
そんな2人が組んで探検隊になったのだから、きっとまた何か面白いことが起きる。そんな予感がした。
「ふふふ、将来が楽しみな2人だな」
そう言うと、クルールは再び、山のように溜まっている書類の作業に戻る。今夜は徹夜になりそうだ。
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