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第1章 現実とファンタジーの間で
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ジュンに声を掛けてきたのは、狼の顔をした鎧を身につけた男だ。
ゆっくりとジュンに近づいてきた。
「遠くから見ていたが、ザコとはいえ、あのモンスターを倒すとはな。
この辺りには倒す力を持っている者はいないと思ったが」
「・・・あんたは?」
「おっと、オレは怪しい者じゃねえ。オレはリュカ。リュカ・ウルフ。戦士団のギルドでマスターをしている」
「ギルド?」
そういえば、今回の騒動についてリズが調査依頼を引き受けた依頼主がギルドとか言っていたような・・・
「ギルドは依頼があれば、問題を解決するお助け屋みたいなものだな。
戦士団ギルドは主に討伐関係の依頼を引き受けている」
ジュンはリュカに自分の名前を名乗る。
この男がどこまで信じていいのか分からないが、もしかしたら何かしら情報を持っているかもしれない。
「なるほど、悪くない行動だな。このオレがどこまで信用できるか見ていると言ったところか」
どうやら、この男、相当な修羅場を切り抜けてきたと見た。
こっちが考えていることはお見通しらしい。隠し事は出来なそうだ。
「こんな状況だ。いきなり何があっても疑いたくなる気持ちはわからないでもない。
信用しろっていきなり言う方が難しいだろうな」
「まあ、そうだね。そこでなんだけど、ギブアンドテイク、お互いがどんな情報を持っているか、
情報交換できないだろうか」
リズと出会って、戦う力を得たこと。
この町に潜んでいたギガロという男が作った機械が、自分達が住む世界を別世界に巻き込んだことを話した。
「なんと、リズとギガロのことを知っている者がいるとは」
「あんた、リズやギガロのことを知ってるの?」
「リズに今回のことを組織のことを話したのはオレだ。そして、ギガロはリズが追っていた組織の一員だ」
「その組織って言うのは何者なの?」
「残念だが、我々も全てを知っているという訳ではない。管理局の連中が追っている組織だということだけだ。
どうせ、ロクでもない組織なんだろうな」
「ところで、管理局って?」
そういえば、ギガロが言っていたな。リズは管理局の人だと。
組織については、ギルドから引き受けていたみたいだけど、本来は何をしているんだろう。
「そっか。お前さんは知らないのか。この世の中にはいくつもの異界があって交流があるんだ。
その中で管理局というのは、異界同士の秩序と平和を守る為にあらゆることを取り仕切っている組織のことだ。
リズも管理局の人間で、確か旅をした異界の情報を本部の方に送ることをしていたはずだ」
だから、リズは旅人を名乗っていた訳か。
それにしても、次から次へと知らない情報が出てきて考えが追いつかない。
自分達の世界が別世界に巻き込まれただけでも大事なのに、そこからさらに組織や管理局などが現れる。
だが、一番気になるのは、この疑問だった。
「結局、ここはどこなの?」
「そうだな。オレの見立てだと、この世界はいくつもの異界が混じり合ってできた世界といったところだな」
リュカの考えはこうだ。今いるこの世界は、ジュンが住む世界も含み、数ある異界から部分的に切り取られて、
一つに集められてできた世界ということだ。
どれくらいの異界が集められてこの世界が出来上がったのかは分からないが、
ギガロが作った装置は新しい異界を生み出したということらしい。
「そんなことがあり得るのか・・・?」
というか、こんな世界を作って、その組織とやらは何がしたいのか。
疑問はますます深まるばかりだった。
ゆっくりとジュンに近づいてきた。
「遠くから見ていたが、ザコとはいえ、あのモンスターを倒すとはな。
この辺りには倒す力を持っている者はいないと思ったが」
「・・・あんたは?」
「おっと、オレは怪しい者じゃねえ。オレはリュカ。リュカ・ウルフ。戦士団のギルドでマスターをしている」
「ギルド?」
そういえば、今回の騒動についてリズが調査依頼を引き受けた依頼主がギルドとか言っていたような・・・
「ギルドは依頼があれば、問題を解決するお助け屋みたいなものだな。
戦士団ギルドは主に討伐関係の依頼を引き受けている」
ジュンはリュカに自分の名前を名乗る。
この男がどこまで信じていいのか分からないが、もしかしたら何かしら情報を持っているかもしれない。
「なるほど、悪くない行動だな。このオレがどこまで信用できるか見ていると言ったところか」
どうやら、この男、相当な修羅場を切り抜けてきたと見た。
こっちが考えていることはお見通しらしい。隠し事は出来なそうだ。
「こんな状況だ。いきなり何があっても疑いたくなる気持ちはわからないでもない。
信用しろっていきなり言う方が難しいだろうな」
「まあ、そうだね。そこでなんだけど、ギブアンドテイク、お互いがどんな情報を持っているか、
情報交換できないだろうか」
リズと出会って、戦う力を得たこと。
この町に潜んでいたギガロという男が作った機械が、自分達が住む世界を別世界に巻き込んだことを話した。
「なんと、リズとギガロのことを知っている者がいるとは」
「あんた、リズやギガロのことを知ってるの?」
「リズに今回のことを組織のことを話したのはオレだ。そして、ギガロはリズが追っていた組織の一員だ」
「その組織って言うのは何者なの?」
「残念だが、我々も全てを知っているという訳ではない。管理局の連中が追っている組織だということだけだ。
どうせ、ロクでもない組織なんだろうな」
「ところで、管理局って?」
そういえば、ギガロが言っていたな。リズは管理局の人だと。
組織については、ギルドから引き受けていたみたいだけど、本来は何をしているんだろう。
「そっか。お前さんは知らないのか。この世の中にはいくつもの異界があって交流があるんだ。
その中で管理局というのは、異界同士の秩序と平和を守る為にあらゆることを取り仕切っている組織のことだ。
リズも管理局の人間で、確か旅をした異界の情報を本部の方に送ることをしていたはずだ」
だから、リズは旅人を名乗っていた訳か。
それにしても、次から次へと知らない情報が出てきて考えが追いつかない。
自分達の世界が別世界に巻き込まれただけでも大事なのに、そこからさらに組織や管理局などが現れる。
だが、一番気になるのは、この疑問だった。
「結局、ここはどこなの?」
「そうだな。オレの見立てだと、この世界はいくつもの異界が混じり合ってできた世界といったところだな」
リュカの考えはこうだ。今いるこの世界は、ジュンが住む世界も含み、数ある異界から部分的に切り取られて、
一つに集められてできた世界ということだ。
どれくらいの異界が集められてこの世界が出来上がったのかは分からないが、
ギガロが作った装置は新しい異界を生み出したということらしい。
「そんなことがあり得るのか・・・?」
というか、こんな世界を作って、その組織とやらは何がしたいのか。
疑問はますます深まるばかりだった。
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