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第1章 現実とファンタジーの間で

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「とりあえず、病院行くか?」
「ちょっと、病院はやめて!っていうか信じてないの!?」
いきなり冒険家と言われて信じる方が難しいと思うが。
ちなみに、リズが言う冒険家とは色々な世界を巡る旅人のことであるそうだ。
色々な世界というのは、ジュンが住んでいる世界とは別の異次元の世界のことを言うらしい。
そして、その異次元の世界というのは、100、200・・・。実際にどれくらいの異次元世界があるかは分からないそうだ。
「にわかに信じられない話だが・・・・。まあ、リズの話を信じるよ」
嘘を言っているような子には見えないし、こういう話は信じないより信じる方が面白そうだと思い、
ジュンはリズの言ってることを信じることにした。
「ありがとう、ジュン」
「それはそうと、どうして家で倒れてたの?」
「ギルドの仕事でドジってしまってね・・・」
冒険するにしてもお金がいるもの。リズはお金を稼ぐ為にギルドというところで仕事を引き受けた。
その仕事の内容は組織を追跡する仕事だった。
その組織はギルドにとっても厄介な相手らしく、野放しにしておくと大変なことになるらしい。
ギルドが掴んだ情報を元に、その組織の動向を探ること仕事がリズが引き受けた仕事だ。
気づかれないで追跡していたつもりだったが、途中でバレてしまって逆に攻撃を受けてしまう。
ただ、リズを追い払うだけで済むなら良かったのだが、相手はリズを殺すつもりで追いかけてきた。
リズも命からがら逃げた。組織を追う為に通った異界と異界を結ぶ扉を通って、ジュンが住む世界に逃げてきた結果、
偶然にもジュンの家と繋がった。そしてそのまま力尽きたということらしい。
「へえ・・・」
「偶然とはいえ、無断であなたの家に入ってしまったことはごめんなさい」
「事情は分かった。けど気になることがあるのだが・・・」
リズが通った異界とここを結ぶ扉。その扉を通って、リズを追ってきた組織が来るということはないのだろうか。
「大丈夫だと思う。入力した異界の座標は適当だったし、私が通ったら、証跡を消すように細工はしたから」
ジュンが住む世界は他の異界とは交流のない世界。逃亡者がまさかそんな世界に逃げるとは考えにくいのだ。
どのような文化でそこに住む人がどんな生活をしているか分からない世界に逃げるのはリスクが高い。
逃げるならある逃亡先の情報がある異界を選ぶだろう。その方がまたその異界に戻る時に色々と準備ができるから。
「しかしまあ、そんなリスクがありそうなことをよくやったものだね」
「うん、それが出来るのも冒険家である所以だからね」
冒険家はそのようなリスクなど恐れない。むしろ未知を楽しむのが冒険する楽しさでもあるのだ。
「分かる気はするけどね」
どこか自分の趣味に似ているような感じがした。
ジュンが趣味でやっていることを目の前の女の子は自分より大きな規模でやっている。
そのことに羨ましく思うのだった。
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