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23.響く声/共通点
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しおりを挟む「そうそう、ちょうどいいわ。一つ聞きたいことがあったの」
「え……?」
「どうしてわざわざあたしをかばったのか」
あのときの俺の行動は、響だけでなくケティにとっても予想外の出来事だったらしい。
「どうして、って……、聞かれても……」
――俺としては、当然のことをしたと思っている。
あの瞬間、思ったのだ。
これ以上、誰も傷ついてほしくないと。
ケティは兄さんからの罰を受けた。
愛しい人に殴られ、血を流すという罰を。
それで十分だろう。
今度は俺の番だと思った。
ずっと、誰かの手で罰せられたかった。
兄さんは俺を責めなかった。ケティは罪の上塗りを続けた。
だから、俺はその役目を響に負わせてしまったのだ。
彼は関係無いのに。
なんの説明も無しに――。
「ふーん……」
すべてを説明したというのに、返ってきた相づちはとても淡白だった。
「じゃあ、これからはその罪をつぐなうことね。あたしには関係の無い話だけど」
冷たく突き放すような言葉。
手に入らないのであれば、もう必要無いとでも言いたげだ。
そのまま、数秒間の沈黙。
まるで合わせ鏡のように互いの瞳に互いの姿を映していた。
それなのに、存在そのものは遠く感じる。
俺は背後から街灯の光を受けているものの、数歩先にいるケティの身には半分以上、影が落ちている――そのせいだろうか。
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