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欲にも体の火照りにも負けそう※
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しおりを挟む不機嫌なイバラがスマホでなにやら操作したかと思えば、目の前にあったガラスの壁が左右に開いていく。
第一のセキュリティ解除。
余計な音が一切せず、魔法のような動きだった。
なにをするにもギシギシガタガタと滞る鷲尾の部屋とはレベルが遥かに違う。
「こんなところに住んでるなんて凄いっすね」
「……ちっとも凄くなんかない。こんなとこ虫カゴだ。絶対に出てってやる」
「へ? なにっ──いでででででッ!!!」
右耳を急にぐいぐい引っ張られ、鷲尾は操られるように壁際へと導かれていく。
「あっちの柱の影に隠れろ!急げ!」
なにがなんだか知らないが、王子様のおっしゃる通りにするしかない。
大理石っぽいツヤツヤした柱に身を潜めた。
どうやら、他の住人がやってきたらしい。サラリーマンらしき人影が近づいてくる。
わざわざ隠れなくても──文句を言ってやりたくなったが、イバラは一応メディアに露出している身だ。
妙なところをだれかに見られるわけにはいかないのだろう。
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