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欲にも体の火照りにも負けそう※
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しおりを挟む「いま食べます? お茶いれてきましょうか?」
「いいよいいよ自分で、ぃでッ──!!」
立ち上がろうとした拍子にデスクに足をぶつけたらしい。
するとその振動でペン立てが倒れ、積まれていた本や書類の山にぶつかり、雪崩が起きた。あらゆる紙がバッサバッサと床へ落ちていく。
「あわわわ……明日片付けようと思ってたゾーンがっ!」
「わははっ地獄のドミノ!」
しゃがみこんであたふたしている一條さんを、かわいいなぁと眺めつつ鷲尾も片付けを手伝った。
真っ先に拾ったのは、気象コーナーで何を話すか考えたときの手書きメモらしきもの。
大きな丸で囲まれているのは『清明』だ。そこから線がのび、『生命力』とか『新緑』だとか連想ワードが書き込まれている。
一番下には『二十四節気ばかりに頼らないこと!』とセルフツッコミ入り。
「あ、あんまり見ないでよ。面白いこと書いてないよ……?」
「すんません、つい。一條さんの字好きなんです。見てるだけで癒やされるっつーか」
「そう? そんなの初めて言われた」
一條さんの字は小ぶりで線が細くてかわいい。既存のフォントでは出せないキュートさがある。
自分以外のやつらはそれに気づいていないのか、と鷲尾は鼻をふくらませて優越感にひたる。
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