一條さんとにじっぴ！ 〜そのマスコットは気象予報士を愛しすぎている〜

それでもゴールは相合傘の下

37※

　

　昼間、あの場で本当に彼を抱いていたらどうなっていただろう。
　こちらの熱を無理やり当てがって、彼の想いを溶かしていたら──。

　鷲尾のイメージはリアルを飲み込み、枝葉のごとく広がっていく。


　壁に両手をつき、むき出しの下半身を卑猥に突き出して一條さんが震えている。

　突然の辱めに心の準備が追いつかないのだろう。
　涙は頬を伝うことなく、新緑からこぼれる雫のようにはらはらと垂直に落ちていく。濡れたまつ毛が美しい。


　可哀想──とは思わなかった。


　鷲尾は冷酷非情に抱きつき、彼が本心では嫌がっていると知りながら犯した。

　丸くかたちのいい肉を撫で上げてから、ワシ掴みにして揉みしだく。
　肉が歪むたび、うぶ毛が逆立つのは快感のせいか。それとも拒絶か。どちらでもいい。

　爪を食い込ませたままで肉を左右に開き、猛った自身を容赦なく割り込ませる。


（いち、じょお、さんッ……すきっ、すきだ……）


　熱くてやわらかい夢のような場所をギチギチに硬いもので強制的に拡張していく。

　逃げようとする体は壁に押さえつけた。
　
　ばちん、ばちん、と叩きつける度に尻が平たく潰れ、鷲尾の恥骨と擦れ合う。上質な弾力に溜息が漏れる。

　ぐち、ぐち、ぐちっ、と音の間隔が絶え間なくなるほど切ない。
　気持ち良さが尾てい骨から背筋を昇り、脳を揺らす。

　擦れ合う二人の体は次第に汗ばんで、互いの肌が吸い付く。

　まるで一つの生き物だ。