一條さんとにじっぴ! 〜そのマスコットは気象予報士を愛しすぎている〜

雨宮くもり

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それでもゴールは相合傘の下

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◆ ◆ ◆



「にじぴたん超かわいかったよおおお!!」



 鷲尾は仕事終わりに葵に呼び出された。

 ファミレスで遅めの夕食。
 新人らしきウェイトレスが腕をガクガクさせながら運んできたのは、ピザにパスタにフライドポテト。
 これにドリンクバーが付いている。すべて葵が選んだ。

 なんの用事かと思ったが、とにかく話を聞いてほしいらしい。


「ふかふかもちもちのにじぴたん……癒やしのにじぴたん……ちょっとあざとい気もするけど、そこもイイよ、にじぴたんッ!」


 口を開けば、にじっぴたんにじっぴたんにじっぴたんとノンストップ。
 にじっぴたんと言いすぎて、にじぴたんになっていることにも気づかない。


「かわいいのは分かったけどよ、動画まで撮るってすげぇな。変なものに情熱かけんなよ」

「だってみーーーんなににじぴたんのかわいさに気づいてほしかったんだもーーん!」


 この熱気。
 天才画伯のみっこちゃんといい勝負だ。

 『好き』のパワーはすごいのだなと鷲尾は妙に納得してしまう。腕を組んでしみじみ。

 そもそも、にじっぴが一條さんを押し倒したことがすべてのはじまり。鷲尾が一條さんを好きすぎたのが発端。
 各々の『好き』が連鎖しまくってるともいえる。
 
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