一條さんとにじっぴ！ 〜そのマスコットは気象予報士を愛しすぎている〜

それでもゴールは相合傘の下

18

　

　──にじっぴは一條さんが好き。愛が重い。束縛キャラ。

　心の中のにじっぴのキャラ設定に書き込む。筆圧強めでメモメモ。


　大好きで大好きでたまんない一條さんの腰におもむろに手を回し、その背中にぎゅっと抱きついた。バックハグでがっちり束縛。


「ちょっ……にじっぴったら、もう！困ったなあ」

「きゃー！　にぴきゃわいい！！」

「そのままくっついてていいから、もう誰にも乱暴しないんだよ！　分かった？」


　もちろん。また葵がへらへら話しかけてきたら、短い足でおもいっきり股間を蹴り上げて追っ払うか、もう一度派手にタックルしてやるつもりだ──たくらみながらお行儀よく、こくん、とうなずく。



　しかし、その野心がほわほわと溶けてしまうくらいに一條さんの広い背中は心地よかった。

　ありのままの鷲尾で抱きついたときは野蛮なギンギンムラムラ大興奮という感じだったが、今はまったりほんわか癒やしタイム。

　にじっぴのボディがいい感じのクッションになってくれるおかげだろう。


　毛布にくるまりながら一條さんの背中にもたれているみたい。
　天気のいい日曜っぽい幸せ感。


　恋も仕事もうまくやってやるという数時間前の意気込みは、ひとまず明日にくりこし。



（ずっとこのままでいさせて……）



　そして数分後、「まもなく本番でーす」という声を聞いた。
　抱きついたまま電車ごっこのようにのそのそと定位置まで前進した。「10秒前！」のコールでもそのまま。

　そして放送開始時刻──。