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・目の前のお兄ちゃんにもっと集中しなさい!(R18/ぷちケンカ)
よろしくね
しおりを挟む「これからもゆーちゃんをよろしくね。って頼むまでもないか!」
甘いけれど、きゅんと酸っぱい。
フルーツサンドをもふもふと頬張りながら、オレは考えていた。
優兄がどうして叩いてきたのか、きらいって言ったのか。
オレのことが大好きだからこそ、『きらい』って言わなければならないぐらいに嫌なことがあったのかもしれない。
それは一体なんなのか。
オレだけで悶々と考えたって、なにが正解なのかは分からない。
優兄に聞いてみなきゃ。ちゃんと話し合って、仲直りしなきゃ──。
「はいっ、せんきゅん!」
シズクちゃんがニッコリと差し出してきたのは、お土産用のフルーツサンドだった。
「ママね、もうお仕事に戻らなくっちゃ! なので、お届けものはせんきゅんにおまかせします」
「えっ……」
もしや、オレと優兄が仲直りするきっかけを作るためにシズクちゃんはわざわざお土産を買ったのだろうか。
「頼んだぞぉ、せーんーりーツ!」
一瞬なにを言われてるのか分からなかったが、どうやら出前サービスとオレの名前を掛けてるっぽい。
「分かりづらっ! 語感悪っ!」
「そうねぇ、ゆーたーイーツのほうがそれっぽいわねん」
手のひらの裏でホホホッとやさしく笑うお姫様。
オレもつられて笑ったら、頭の中の暗く重たい雲が晴れていくような心地がした。
「シズクちゃん。……どうもありがとう」
「あら? なんのことかしらん?」
今度は優兄も一緒にピクニックできたらいいな──。
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