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・せんちゃん、はじめての仮病
心が痛い
しおりを挟む「せんちゃん本当に大丈夫……? なんだか震えてない?」
──あまりにも悔しすぎて枕にぎりぎりと爪を立てているだなんて言えない。
むっちりとした低反発具合は優兄の腰からお尻へのラインを思い出す。恋しい。手を伸ばせばばっちり届くけど、今日は我慢しなくちゃバチが当たる。
「平気だってば……」
自分が不甲斐なさすぎて喉に力が入ったらしい。声が妙に低くなってしまった。
優兄はオレが怒っているのかもしれないと察したようだ。
「……そっか。ごめんね。うるさくしすぎた。こんなのお兄ちゃん失格だね。……カゼのときはゆっくり寝てるのが一番なのに」
ぽそりと呟いてオレの手を解放すると、小さい頃のようにぽふぽふと布団ごしに胸を撫でてくれた。
「ゆーにぃ……ごめん……」
「おやすみ、せんちゃん。あとでパイナップル持ってくるから食べてくれると嬉しいな」
いたたまれなくて、優兄のやさしさから逃げるように深く深くふとんの暗闇に沈んだ。
心が、痛すぎた。
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