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・阿須崎くんと優太くん(友情)

せんちゃんと阿須崎くん【close】

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「!!!!!!!」


 口を冷やそうにもメロンソーダはすでに飲み切り、グラスの水も空っぽだ。
 右往左往の大パニックな様を『ザマァ見ろスケベジジィ』という気持ちで眺めていたが、ふと気づいた。オレの手は無意識のうちにお冷の入ったポットめがけて伸びていた。


「ほら」


 憎たらしいヤツのグラスにこぷこぷと水をそそいでやりながら、どうしてこんなことをしているんだと考える。



 阿須崎のことはやっぱり苦手だ。

 下品で、身勝手で、調子が良すぎる。ムカつく。ウザい。キモイ。ちっとも面白くない。それは今も昔も変わらない。


 でも、優兄の親友であることぐらいなら認めてやってもいい。

 優兄の笑顔を増やしてくれることに感謝してやってもいい。
 オレの手が届かない部分を、支えてあげてほしい。


 ほんのちょこっとだけそう思えた──瞬間、オレと阿須崎の間にいた優兄が「やっぱり幸せ」と呟いた。





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