瞳を閉ざした兄の世界に見えているのはオレだけがいい！

・ピザがくるまで待ってられない（R18/超絶嫉妬）

グギッ

　
　圧倒的不慣れなのはむしろオレのほう。
　怒りのこぶしは石膏の壁に弾かれ、手首はグギっと変な方向に曲がった。

「──いっっっ！！！」

「ぎゃはーっ！　痛そー！　愉快愉快！」

　自業自得。
　優しすぎる兄のもとで幸せにぬくぬくと育ったオレは、上手なケンカの方法なんて知らない。

「……くそっ」

　痛いというより熱い右手は、みるみるうちに真っ赤に腫れ上がっていく。

「暴力、はんたーい！　千理はすみやかにイライラの原因のストレスを解消すべきだと思いまーす！」

「オレだって……そうしたい……、でも、ムリ……」

「一体どうしたんだよ？　詳細にゲロってみろよ。どーせ優太お兄さまに関することなんだろ」

「……。なんで分かんだよ」

「お前が爆裂ブラコンオリンピックの日本代表選手だからだよ」

「クソッ！　なんだその大会ッ！！　絶対優勝してやるッ！！！」