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・これからどうするの?(もやもや)
謝るほど見えるもの
しおりを挟む「──優兄ごめんッ!」
気づいたら頭を下げていた。
吹き荒れる風に背中を押されたかのごとく、衝動だけが先走った。
「ごめんなさい! 優兄……ごめん……!」
自分でもなにを謝っているのか分からないまま、優兄の手を握りしめ、何度も何度も頭を下げ続ける。
優兄は不思議そうに小首をかしげていたが、なにも言わずにオレのエンドレス謝罪に付き合ってくれた。
手をぎゅっと力いっぱいに握られてきっと痛いはずなのに、振り払いもしない。
「ごめんなさいっ……!」
──いつもいつも、優兄のやさしさに甘えすぎててごめんなさい。
そして、このやさしさが好きなときに味わえなくなる危険を察位して不機嫌になってしまって、ごめんなさい。
「オレ、優兄がラジオ好きなの知ってるから、すっごく嬉しい。でも──」
優兄たったひとりに聞こえるよう、肩を抱き寄せ、耳元に唇をくっつける。
「さびしくて……やだ……」
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