瞳を閉ざした兄の世界に見えているのはオレだけがいい！

・これからどうするの？（もやもや）

欲求不満の帰り道

　

「はーあ」

　自分でもどうしてこんなに腹が立つのか不思議だ。


　優兄がオレの他に好きな人を作るなんてありえない。
　優兄はどこにも行かない。行かせない。ずっとずっとオレの腕の中。

　オレの居場所だって優兄の手のひらの下にしかない。


　分かっているはずなのに、信じているはずなのに、心の片隅に“もしかしたらいつか”というモヤモヤがある。

　そんな自分に腹が立つ。
　本当にイライラする。

「駄目だ駄目だ。落ち着け。こんなメンタルで帰ったら優兄にきっと心配されるぞ……」


　早く抱きしめられたい。

　今日の話をじっくり聞いてもらって、『あり得ないよ』って笑いながら全否定してもらいたい。

　慰めのなでなでをされながら、ホッと一安心したい。
　ついででいいから、おでこにチューもしてくれないかな。


　まあ、ここ数日、家に母さんたちがいるから、したいときに自由にハグしたりイチャイチャぺたぺたスリスリできないのも、モヤモヤの一因かもしれない。

　迫りくるテストへのストレスも重なって、とにかく欲求不満すぎるんだろう。


「いや！　分かりやすいなオレ！！！」


　セルフツッコミも冴えまくる。